劇場公開日 2010年6月5日

「原作を上回る迫力を魅せた中島監督の映画力」告白(2010) septakaさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0原作を上回る迫力を魅せた中島監督の映画力

2011年1月17日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

怖い

興奮

知的

いや、これはスゴイわ!
映画館のスクリーンで観られてよかったわ!!
でも、拍手起きんかったなぁ。こんなんなら、
『トロッコ』のときみたいに、先陣を切って拍手すればよかった!!!

〈 わたしにはわかる 〉

■原作既読者の感想です
 私事ですが、私は本のレビューはAmazonに
 書いているのですが、原作本の評価は星4個をつけました。

 読後感があまりにも悪かったのと、
 余韻を残したエンディングに、これは
 残しすぎじゃないかな、との、不満があり星を1個減らしました。

 ただ一方で
 「一体この作品を、どう映画化するんだろう」との
 疑問と期待は公開初日へ向けて膨らむばかりで、それは
 スクリーンに東宝のマークが大写しにされた瞬間、鳥肌が立ってしまうほどでした。

 登場人物、エンディングに
 原作との、違いがありますが、
 よくここまでほぼ原作に忠実に作り上げ、
 しかもエンディングで監督の味も出している。
 月並みな表現で申し訳ないのですが、感嘆しました!!

 ただもう一人の私もいまして、
 「原作既読だから予備知識もあって鳥肌立てたけど、
  原作未読の人が、いきなり今作を受け入れられるのかな?」

 原作にないエンディングのセリフは
 絶望だけで終わらせるのでなく、光と
 エンタテインメント性の双方を、求めたものと
 私自身は受け取ったのですが、そこに至るまでが
 あまりにもダークで深い闇に、覆われているので
 果たして一筋の光として届いたのかどうか疑問に感じたからです。

 原作未読で今作を鑑賞された人のレビューに大変興味があります(笑顔)

■ストーリーを彩る音楽、符牒にも感動!
 作品全体を通して音楽が、とても良かったです。
 そして場面の間だけでなく、エンドロール中も
 流れますが、ああいう空の、使い方、すごく意味深で
 この先どうなるのかとか、これまでどうだったのかとか
 自然に考えさせられてしまう。暗転とは、また違う方法で
 お客さんに一呼吸入れさせる。空がスクリーンに映るたびに、
 空に映るもの、空の向こうに映るものに思いを巡らせてしまいました。

■松たか子さん、木村佳乃さん。そして芦田愛菜ちゃん
 “松たか子さんが出演オファーを受けてくれること”
 それが今作を映画化するにあたり中島監督の絶対条件。

 中島監督、学生役の子たちには、携帯電話を落とす位置まで
 細かく演出をしたそうですが、松さんに対しては放置状態だったそうです。

 まるでロボットのように無機質に淡々と話すかと思えば、
 ネタバレ防止で最も心に残ったワンシーンだけにしますが、
 終盤路上でしゃがみこんで慟哭してみたりと、感情を捨て
 復讐を機械の様に正確無比に遂行しようとしながらも、人として
 教師としての理性を完全に失うことはできない、その、なんとも
 表現しがたい微妙な感情の匙加減を完璧に演じられているようにみえました。

 ひょっとしたらひょっとして
 日本アカデミー賞最優秀主演女優賞連覇もあるかもしれませんね。

 木村佳乃さんの最大の見せ場は
 まるで洗濯物を干しにいくかのように
 (中島監督に、こう演出されたそうです)
 あることをしにいく場面でしょう。素直に巧かったです。

 芦田愛菜ちゃん。
 松たか子さんの娘役をした女の子。
 今作の撮影時、まさか上映開始日の頃、
 『mother』という日本テレビのドラマで
 5歳なのに実年齢より上の小学生を大人顔負けの
 演技を魅せ話題沸騰しているなんて想像もできなかったでしょう。

 想像していたら、もっとセリフと出番が多かったはずですもんね(苦笑)

☆彡     ☆彡

『殺人の追憶』のような
映画を日本でも製作してヒットさせてみたい

そんな願望も今作にはこめられているそうです。

願望成就へ一歩進みましたよね。
『アリス・イン・ワンダーランド』の連続首位の座を奪取しましたから(笑顔)

ストーリーを知っているのに
スクリーンから眼を離させない中島監督の映画力。

原作は
星4個をつけましたが、
映画は5点満点です!!

な~んてね♪
なんて言葉は続きませんよ(苦笑)

septaka