「数日間余韻が残るほどの衝撃作」告白(2010) yamappleさんの映画レビュー(感想・評価)
数日間余韻が残るほどの衝撃作
なんで上映していた時に観なかったんだろう…と思うほどの仕上がりだった。
湊かなえさんの作品は何冊か読んでいて、どれも面白いのはわかっていたけれど、告白はまだ読んでいなかった。今回、Amazonプライムでなんとなく視聴して、釘付け。面白くなかったら止めよう…くらいの勢いだったけど、最後は床に正座?してガン見してしまった。
松たか子。こんなに演技うまいのか…マジで感動した。
松たか子は、女教師森口役。淡々と、自分の娘が、自分が担任だったクラスの生徒A,Bに殺されたことを告白し、「夫のエイズの血液を2人の牛乳に混ぜた」と話し、教師をやめる。
Aはお母さんに振り向いて欲しかっただけ。BはAと仲良くなりたかっただけ。2人とも、誰かに振り向いてほしくて、命の重みも理解していなくて、至ってしまった殺人。
「殺人をするつもりだったのに出来なかったAと、するつもりなかったのにしてしまったB(実際にはその瞬間芽生えたけれど)」
実際にありそうな、リアリティがある動機と行動だった。
Bはエイズになることを恐れて、そして命の重みを知り、狂ってしまう。Aは対局。自分に降りかかる問題はなんとも思わない。むしろ母親に知ってもらえるチャンスだと感じる。
最後、Aは一番自分を分かってくれる同級生の女の子を殺してしまい、そして、一番大切だった自分の母親を、森口の計らいによって、お手製の爆弾で自らスイッチを押して殺したことを知る。初めて見せるAの悲壮感。
そこへ森口が登場し、「なぜ関係のない人たちを、母親に知ってもらうために、自分と巻き添えで殺そうとするの?貴方が見てもらいたいのは母親でしょう?なら、その相手を殺しなさい。」と、淡々と言う姿が、本当に怖かった。
命の重さはすべて等しいのだ。なのに、それを人は忘れがち。それをここまで痛烈に感じさせるやり方があるだろうか。
大切な人を失うことが、どれだけ重たいか、なのに人々は命の重みを忘れてきていないか?世の中に問いかけ、優しい人がここまで変わると言う怖さを見せられた作品だった。