劇場公開日 2010年6月5日

「この映画は、映像も音楽も内容も、すべてがほぼ満点なんじゃないかと思う。」告白(2010) うえあおいさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0この映画は、映像も音楽も内容も、すべてがほぼ満点なんじゃないかと思う。

2016年6月30日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

異常に高い周りの評価と、予告編で見た映像美と、
音楽の迫力につられて観に行きました。
初めは、娘を殺した犯人を捜し出すのかと思ってたら、犯人は序盤に判明。
彼らに対する復讐劇と、登場人物それぞれの心情の告白をもって
ストーリーは進んで行きます。
この映画は、映像も音楽も内容も、すべてがほぼ満点なんじゃないかと思う。

映像:教室の中のほの暗い雰囲気を醸し出す色は、グレースケールのよう。
かと思いきや、突如鮮明に映し出される鮮やかな赤と白の液体が混じり合う映像。
これは、、血?
熱血先生に対しへつらう態度で踊る生徒たちは、すこぶるシュールです。

音楽:特にクラシックが多様されててよかった。ものすごく重いシーンにコミカルな音楽を持ってくることで、目をあてることが出来た。

内容:驚きの連続。みんな異常だけど、もとは普通の人。
少年Aは、母によって異常になった。
少年Bとモリグチ先生は少年Aによって異常になった。
少年Bの母は少年Bによって異常になった。
熱血教師はモリグチ先生によって異常になった。

連鎖。

ドミノが倒れていくように、前の人が後ろに続く人を巻き込んで倒れていく。
結局誰も止めることが出来ない救いのない話です。

この映画、特に委員長の死を持って思うことは、
人って簡単に人を殺せるってこと。
素手でだって、飲み会でのビール瓶でだって、チャンスはすぐそこに潜んでる。
けど、ほとんどの人が実行しないのは人間に理性が備わっているから。
でももし、ホームの最前列で電車を待っている時、
ふと後ろの人の理性がなくなったら。
どん。
それだけで自分は死ぬ。
誰がいつ理性を失うなんて分からないから、
もしかしたら親友が自分を殺すかもしれない。
まぁ、自分が信じた親友なら、それはもう運の問題。
けど、少年Aのように、精神が異常だとわかってる人には、

近付いちゃいけない。

理性がなくなる確率は、他の人に比べて桁違いに高く、
理解しようと思ってはいけない。同情すら自分の首を絞めるようなもの。
死は運のような偶然のものではなく必然的になってしまうからです。

「告白が、あなたの命につきささる。」

監督 中島哲也
2010/6/9@多摩センター

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うえあおい