「極限の引力」渇き ダックス奮闘{ふんとう}さんの映画レビュー(感想・評価)
極限の引力
「オールド・ボーイ」などで知られる、韓国の鬼才パク・チャヌク監督が挑む異色の吸血鬼映画。
パク監督の作品に見られる極端なまでの寓意性を乱暴に物語に投げ込み、練りに練った脚本作りに反抗するように、瞬間瞬間の爆発的エネルギー、人を無理やりに物語に誘い込む強力な引力を発揮する。毎日のぬるま湯的生活に慣れきってしまった一般人には到底真似することのできない挑発、欲望の表現が異様に心地よい。
一人の男の吸血鬼としての苦悩を描く物語かと思いきや、後半のある事件が起こってからは、修羅場そのもの。男が愛した女性が後半に見せる恍惚の微笑み、喜び。血まみれのはずなのに、その目は輝き、生の喜びを感じさせる。吸血鬼を描く映画には様々な描き方があるが、ここまで凄惨に描ききる力と衝動。これは、病み付きになる。
パク監督が、前作までの「復讐3部作」を終えて、次に挑むものがここにある。まだまだ、期待させてくれそうだ。
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