劇場公開日 2010年2月27日

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「ただただ面白い」渇き 世間知らずさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5ただただ面白い

2010年12月14日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

興奮

パク・チャヌクの作品は今回初めて見ました。その上でこんなに作家を意識して見てしまった映画は初めてだなという感想を持ってます。僕の浅い映画人生の中で「面白さの基準点」的な位置づけをした記念碑的な映画になりました。この映画ざっくり言うと「笑っちゃう悲劇」といったところでしょうか。こういう作風はこの監督の得意分野なのかな~なんて思ったりして,鑑賞中に作り手の意図というものを見せつけられるような思いをしました。この映画はそこが心地良いポイントとなっていると思います。
 あと,パク・チャヌクの今作最大の成功をなんといってもキム・オクビンという俳優の発見ですよね。監督と同様,私はこの映画で初めて見る女優でしたが,最高です。共演のソン・ガンホという,間違いなく韓国を代表する俳優を文字通り喰ってました。(いやでもソンガンホも素晴らしかったです。神父の恰好がセクシーで且,童貞的な一面も見せる辺りは絶妙なバランス感覚だなぁ,さすがだなぁと思います。)彼女が女としてより魅力的になるに連れて魔性性も増し,さらに物語もよりダークで収拾のつかない事態になる。キム・オクビン演じるテジュの人生を約2時間の尺に凝縮させた「テジュの物語」としてこの映画を見ました。「テジュの物語」を成り立たせて余りある働きをしたキム・オクビンに個人的には2010年の主演女優賞をあげたいほどです。大好きですキム・オクビン。
 最後に,キャラクター造形の素晴らしさといったらないですね。サンヒョンとテジュ,その他のキャラクター達にも「本当はその辺にいるんじゃないか」と思うほど生々しさを感じました。それだけにラストシーンは感動というより放心してしまうような衝撃をもらいました。「本当にああするしかなかったのかな」なんて。
 エログロ耐性のない人は拒否反応起こすような映画ですけど,私は約2時間ほんとに楽しんで見ることができました。また見たいです。

世間知らず