劇場公開日 2010年2月27日

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「唇カサカサに渇き、喉カラカラに渇く」渇き septakaさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5唇カサカサに渇き、喉カラカラに渇く

2009年12月2日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

怖い

第10回東京フィルメックス
クロージング作品として上映

会場は満席。
観客賞、グランプリ発表など、
授賞式のあとに上映をされました。

『息もできない』(08)
観客賞・グランプリW受賞、
来年日本公開決定済み。ヤン・イクチュン監督、
W受賞を喜ぶ変態ダンスがスクリーン一杯に大きく映し出され、場内大爆笑。

劇場があたためきられた中、
今作パク・チャヌク監督の
簡単な作品説明ののち上映はスタートしました。

☆彡     ☆彡

いやぁ、よくここまで盛り込んだなぁ
それなのに、なにこのまとまりようと見終わった後の高揚感は・・・

いや、そこで終わったほうがいいよ、危険だよ、って
ところで終わらず、話を続け、驚きのクライマックスを用意
なんて韓国作品に、最近よく出会います。今作もまさにそれでした。

「ヴァンパイア映画と肩肘張らず
 笑いたいところは笑ってください」パク・チャヌク監督上映前談

この説明が事前にあってよかったです。
そうしなければ、ヴァンパイア映画=怖い作品、
というモードにチャンネルを切り換えてしまうところでしたから。

と、改めて書くくらいです。
ヴァンパイア映画なのに、かなり笑えます(苦笑)
感動シーンでホロッと涙した直後に笑える場面もあり、
おもわず、涙を浮かべながら笑ってしまいました(笑顔)

◇   ◇

ソン・ガンホさんが吸血鬼役。
一体、どんな吸血鬼になるんだろ?
これにも興味がありました。あのおじさまが、夜中に、
女性の首筋に牙を立てて生血を吸う姿がまったく想像できなかったんです。

そして答え。
まさかそうくるとは・・・。
まさかこんなに笑えるようにするとは想像もしませんでした。
これは、観てのお楽しみ、ということでとっておきましょう(苦笑)

キム・オクヴィンさん。
ソン・ガンホさんの恋人役。
この女優さんを初めて見ましたが、
彼女の体を張った熱演・怪演なしに、この作品は成立しません(断言)

『愛のむきだし』(08)
ソン・ガンホさんが司祭役、
キリスト教が出てきたからかもしれませんが、
鑑賞をしながら、この作品と似ている部分を感じたのです。

そうです!
キム・オクヴィンさんの演技から、
満島ひかりさんの、あの熱演に匹敵する
強い力を感じさせられたのです。この女優さん要注目です!!

今作の素晴らしさは、
笑いをとるだけでなく、
心象描写も、キッチリと描かれた点にあると思います。

人のエゴとか醜さとかにも触れています。
人の愛しかた、愛されかた、不貞行為にも触れています。

観客を笑わしつつも考えさせる部分も挿入する。
“盛り込みすぎじゃないかと思えるけどまとまっている”
冒頭に記した感想へと結びつくわけです。

特に終盤なんて、
そこまで笑わすだけ笑わせているのに、
一瞬にして深慮させられるシーンに転換しちゃいますからね。
それでも、ちょいちょい笑える部分を入れている、それなのに
話の軸を乱さず、しっかと一本筋を通しきっているのが、さすがです。

ラスト
好きです、あの終わりかた。
あれも、立派な愛の表現のヒトツでしょうから。

☆彡     ☆彡

上映終了後には大きな拍手が
しばらく鳴り止みませんでした。
わたしも立ち上がらんばかりに拍手をしてしまいました。

渇き
気がつくと唇カサカサ、喉カラカラ。
ペットボトルをグイと、ひと飲み。喉の渇きを潤しました。

笑えて泣けてジーンとする。
芳醇な132分をありがとうございました。

◆   ◆

【 補記 ~韓国メディアが騒いだこと~ 】

 上映後のQAで監督の口から語られて
 やっぱりそうだよね、見間違いじゃないよね、
 とポンと手を叩いたのですが、、、、、

 今作、
 ソン・ガンホさんの局部が
 ぼかしなしで映るシーンがあります。

 作品の中で重要な意味を持っていますので、
 ソン・ガンホさんにも説明し撮影したそうです。

 韓国ではマスコミのかたが、
 このシーンにさしかかると、
 上映中にもかかわらず、一斉に
 「今、ソン・ガンホの局部が映りました」と
 大騒ぎされてしまったそうです。

 いい映画ですので、
 そこだけに注目せず、作品全体を見てあげてください(笑顔)

septaka
septakaさんのコメント
2010年2月2日

こちらこそ
素敵なメッセージありがとうございます。恐縮です。

私もソン・ガンホさん好きです。
「殺人の追憶」「シークレット・サンシャイン」大好き。
「グット・バット・ウィアード」はソン・ガンホさんはよかったです。

「渇き」
私が観たときとは画像に修正が入るようで、
追記に記載した局部にはボカシが入るそうです。

満島ひかりさん
直近だと「食堂かたつむり」に出演。
タイトル忘れられた作品は、たぶん「カケラ」4月公開主演。
5月には「川の底からこんにちは」主演で公開されます。

もし、よろしければご覧下さい^0^

septaka
2010年2月1日

「渇き」のレビューありがとうございました。
何作かDVDを観て気になるソン・ガンホさんの主演の映画なので。是非観たい!反面バンパイア映画だと怖くてたまらないのでは…不安と二の足を踏んでた時に、このレビューを読みました。
試写会の場にいるような臨場感あふれる文章から始まり
読み終わった時にはすっかり早く観たい気持ちになっていました。
(前売り券も買ってしまいました(^^ゞ)
満島ひかりさんが紹介されていました。朝連ドラ「瞳」に出演されていた記憶があります。
「愛のむきだし」

近々公開の(タイトル忘れてしまいましたゴメンナサイ)パーツデザイナーの女性と恋愛?の映画も併せて観てみたいです。
重ねてステキなレビューありがとうございました(^_^)

chanpe