完全なる報復のレビュー・感想・評価
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見た人と話がしたくなる一本
主演2人のクォリティの高い演技に最後までひきつけられました。
素晴らしい映画だと思います。
ただ、残念なのがストーリー展開。
タイトルが示すように「市民」が「法律」を逆手にとって復習を繰り広げていくところにこの映画のカタルシスがあるのに、途中から「市民」でも「法律」でも無い展開になってしまいます。もっと、知的な復習劇を期待していましたが、これはこれで、楽しめたから、まあ良かったです。
どうしても腑に落ちないのが、冒頭クライドが襲撃されるシーン。彼にあんな特殊能力があるなら、もっと違った展開になったはずです。
そしてラスト。
ラストは2人を対比して描くことでいろいろ考えさせられます。
クライドは、自ら死を選んだとも取れます。獄中にいて「事件」が起きていくことが市民を恐怖におとしめるとはいえ、クライドは独房に戻ってくる必要もないし、爆破をキャンセルする方法は必ず用意されていたはずなのに、それをしなかったからです。
そしてニックが娘の演奏会に出席するようになったことで、生き方を改めたことを描きたかったのでしょうが、もっと詳しく掘り下げて欲しかった。そうすることで、クライドが命がけで遂行した計画の本当の狙いが見えてきたのになあと思いました。
例えば、妥協することなく、犯人に応報の刑罰を要求する検察官になるとか。
とにかく、観た人と話がしたくなる映画です。
不完全で未熟な世界
男たちは命をかけて何を学んだのだろう
ともに愛する家族がいる
しかしどこで二人は違う道に分かれたのだろう
自分の才能を社会のために使う二人
家族を奪われても仕返しではなく法で裁いてほしかった男
法に従い自分の仕事をおこなった男
家族を殺されて法で裁かれても納得はいかないだろう
たとえその手で復讐したとしても悲しみは消えない
真っ当に法で裁かれてはじめて自分に折り合いをつけるように自分を納得させるしかない
その罪を決めるために何がなされたのか
それすらも法に守られている
所詮は人が作り出したルールでしかない
信じられない人々が多くいるから、ルールを作りその枠の中で生きればそこそこ安心、その程度だろう
信じ合い信頼していればそこにたいしたルールなど要らなくなるだろう
野生の王国にはそれがある
つまらない罪など存在しない
ごくごくシンプルな欲求しかないからかもしれない
この作品に出てくる二人に正しさはない
一人は罪を犯しもう一人はその罪を生涯背負うことになる
それをわからせる為の偽物の話
法に携わる者にどのように映るのだろう
たぶん、へとも思わないのだろうな
法社会を逆手にとった問題作
【”目には目を。歯には歯を。そして、愚かなる司法取引の果てに惹き起こされた事。”愛する妻子を惨殺された男が10年掛けて行った報復を描いた作品。】
■フィラデルフィアが舞台。
妻子と幸せに暮らすクライド(ジェラルド・バトラー)の自宅にある夜、二人の暴漢が侵入。
家族を殺害した犯人は逮捕されるが、検事のニック(ジェイミー・フォックス)が司法取引したため、犯人の一人は、極刑を免れる結果になる。
10年後、怒りに燃えるクライドは犯人のみならず事件関係者に壮絶な復讐を計画し、牢獄内から次々に実行していく。
◆感想
・クライドが10年掛けて、報復のために準備していた事の壮大さに彼の怒りが見える作品である。
・故に、ジェラルド・バトラーが好きという事もあるが、彼のクレバーさに唸った作品である。
・アメリカの司法制度の不備を暴くため、犯人だけでなく関係者全員を標的にした点も斬新である。
<本当に大切な人を殺された男の無念の思いを、ジェラルド・バトラーが好演している作品である。
司法取引などと言う制度は、即刻撤廃すべきだと学生時代から思っていたが、他国の制度ゆえに、静観していた。
だが、日本でも2014年に司法取引制度が新設された時には心底腹が立ったモノである。
今作のラスト、ジェラルド・バトラー演じるクライドが、亡き娘の”DADDY”と記されたネックレスを手に炎に包まれて行く姿は哀切であった作品である。>
タイトルなし(ネタバレ)
憎しみという燃料で積年の復讐劇を果たす映画
その残虐性と怒りの強さにどんどん引き込まれる
因果応報がこれほど刺さる映画はない
自分の為だけに生き他を鑑みない生き方はやめよう
個人的にはクライドに気持ちが傾くけど、
最後ニックの家族を狙わずに司法のトップを殺そうとしたところに残念さを感じる
セブンみたいなバッドエンドでも良かったんじゃないかと思うんだよな
ニックのせいで大勢が被害にあったんだから、
嫁の肩を抱いて子供を見つめるなんてエンドは生暖かすぎる
不完全なる報復
邦題がミスマッチなので、本来なら表題のようにすべきだろう。原題は「法に従う市民」であり、内容に対して実に皮肉が効いている。
残念ながら、凶悪犯罪を起こす人間はその生育環境が劣悪であったり、社会のあらゆるセーフティーネットからも漏れた結果、歪んだ人格を形成し、他人に危害を加えることがある。これはほとんどの国で見られる現象であろう。
貧富の差やネグレクトなど、様々な要因で犯罪者が生まれるが、生まれながらの犯罪者は存在しない。誰も犯罪者になりたくてなるわけではない。彼らの置かれた状況が犯罪者を作り出す。本作の凶悪犯ダービーもやはりそういった生育環境に育った一人だろう。
近年先進国ではほとんど死刑制度が廃止されている。人権意識が高い国ほどそうである。何故なら先に述べた通り、死刑に値する凶悪犯罪を犯した人間にも事情があり、そして人権もある。
人権を重んじるはずの国がそれに反する人権侵害の最たる刑罰である死刑を実行することに矛盾を感じたからこそ死刑制度を廃止したのであろう。
だが、死刑にしないということは犯人の更生に向き合わなければならない。果たして通常人では考えられないほどの凶悪事件を起こした犯人を更生させる術を社会は持ち合わせているだろうか。
裁判所は刑期を定めて言い渡すだけ。刑務所は刑期が満了になれば解放する。それで更生して社会に順応できるかといえば、受刑者の多くは再犯で再び刑務所に戻ることとなる。
犯人の歪んだ人格を矯正出来るシステムが未だ社会では構築できてないのだ。
完全なる報復という邦題に値する内容としては本作の犯人であるダービーを更生させ、社会に復帰させることであろう。そうすることにより二度と同じような悲劇が生じない社会を作ってゆくことこそ完全なる報復の文言にふさわしい。
ただ、本作はアメリカ映画、それもサスペンス映画なので、堅苦しいことは言いっこなし。やはり被害者が凶悪犯に報復する様は見ていて溜飲が下がるのも否定できない。
しかし、単純な娯楽作として本作をとらえてもやはり不完全なる報復と言わざるを得ない。作品ラストで娘の発表会を見るニックの客席の下には爆弾が仕掛けられていて、そこで終わりとしたなら、邦題に相応しい作品にはなったであろう。
妻子を殺され、主犯は司法取引で数年でシャバに。男の復讐が始まった。...
司法制度の問題点に焦点を当てた復讐劇
ネタは抜群
人は人を裁けないのか?
司法制度の限界か!?誰のために法律はあるのか?正義って誰のため?とか冒頭から色々考えさせられる。確かにバトラー父はクレイジーサイコだが、目の前で家族を殺され、正義という名で司法取引し、犯人が3年で出てこられる、いや、生きてるだけで、気が狂う。殺しても家族は戻ってこないことは分かっていても。しかし、弁護士、同じ房の囚人まで殺してからは完全に共感出来なくなってくる。高慢でいい加減な判事にはムカついたけど。裁判に関わった人全てが標的になる。やっぱり独房に移ったのは訳があったのだけど、流石に隣の工業用地を買い取って、独房まで穴掘って繋げてたのは分からなかったし、ちょい有り得ないかなと。ちょくちょく抜け出しては外で犯行を重ねてた訳だけど昼間もあったし、その間看守は何してたの?最も憎いのはジェイミー・フォックスだろうけど、普通最後まで殺さず取っておくのも分からないし、殺人者と取引しないってことを知ってほしかったのだろうが、わかってその後どうしたかったのか。市長も法を超えても、バトラーをよそへ追いやれって、法律とは本当に何なんだろうと考えさせられた。バトラーはとっくに人としては死んでいて、ただ人間として生きてるだけであり、それを動かす糧は彼なりの正義の正当性であって、彼の復讐ではないことから、邦題は合ってない。いつもの法律上の正義感に燃えるバトラーではなく、法律を超えた、法律を問う正義感に燃えるバトラーが見れた。
殺人の天才
全然期待してなかったけど、これはなかなか骨のある作品。凶悪犯を野放...
標的は司法制度!
女性判事?の電話の仕掛けが1番ビックリしました! テトロドトキシンでしたっけ? 動けなくなるけど痛みの感覚はそのままという便利なものがあるんですねえ~(笑) それから墓地だったかな? 遠隔操作の武器で攻撃するのは少し『ジャッカル』みたいでした! クライドが刑務所から注文したステーキが美味しそうでした(笑)
レクターより凄い
有罪率96%を守るため、何としてでも有罪判決に持ち込まなければならないプライドの高いニック・ライス。決定的な証拠不足のため、このままだと2人とも無罪になってしまうと恐れ、司法取引に持ち込んだのだ。なにしろクライドは真っ先に刺され、気を失ってたのだから・・・不満が残るクライド。主犯格のダービーの言葉「運命には逆らえない」が虚しく響く・・・
エイムスの薬物による死刑執行。苦しまないはずなのにもがき苦しむ断末魔。何者かが薬物をすり替えたのだ。そしてその死刑執行前の殺人事件ということで、ダービーを捜査しようとする警察。だが彼は拉致され廃倉庫にて25片もの切断。薬物や医療にも詳しい残虐な殺人事件だ。真っ先に疑われたクライド。彼は発明家でかなりの資産家となっていて、廃倉庫も彼の所有物だった。物的証拠は完全ではなかった。しかもニックの家に娘の演奏会のDVDと欺き殺害現場のDVDを送りつけるなど手の込んだ悪戯。やがて取引(要求はマットレス)によって自白するが、次の取引ではダービーの弁護士が穴埋めにされていた。時間を守らなかったばかりに死んでしまったが・・・
拘置所では同室の男をナイフで刺し殺す。そいつは関係ねーだろ!と思いつつも、何らかの関係がありそうだ。そして判事の女性が携帯電話爆弾により殺される・・・。そして「明朝6時までにすべての告訴を取り下げなければ皆殺しにする」と脅迫されるニック。検事局の職員が帰宅する瞬間、6台の自家用車がそれぞれ爆破。ニックの部下サラ(ビブ)も爆死してしまう。そして彼らの葬儀の帰り、同僚のジョナス(ブルース・マッギル)も遠隔操作の殺人マシンに殺される。共犯者がいるんじゃないか?と躍起になる捜査陣。ようやく亡きサラの恋人からクライドが購入した工場跡地をチェックしていくと・・・なんと刑務所のすぐ横にもあることがわかった。そこには爆弾や犯罪に使われるすべての武器が揃っていて、しかも刑務所のすべての独房までトンネルが掘られていたのだ。驚き!金と知能にものをいわせ、あくまでも一人でフィラデルフィアと司法制度に戦争を仕掛けてきたクライド。ここまで凄い犯罪映画は見たことがない。性格も冷静なところはどことなくハンニバル・レクターをも彷彿させるが、心理面での攻撃じゃなく全て実弾という点も凄まじい。
すごく面白い
犯人(被害者)が司法そのものに挑戦しているのが徹底していてすごい。もう充分だろうってくらいやっていた。
特に刑務所の隣の土地を買って独房全部にトンネルを掘り、どこに入れられてもいいようにして、自在に外に出入りしていたのがかっこよすぎる。協力者はいなさそうだと思って見ていたけど、まさか本人が出入りしていたとは思わなかった。
矛盾や歪みはどこにでも存在しているけど、こうして声をあげる人がないとなかなか正されないものだ。最初から最後まで見ているこっちを圧倒してやろうという気概に溢れていた。
天才による復讐劇
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