ずっとあなたを愛してる

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ずっとあなたを愛してる

解説

6歳の息子を殺害した罪で15年間服役していたジュリエットは、出所して妹レアの家に身を寄せることになる。ジュリエットは福祉事務所に就職先を紹介してもらうが、重罪を犯したジュリエットの受け入れ先は簡単には見つからなかった。息子殺害の理由を一切語らないジュリエットだが、レアはジュリエットの部屋で事件の真相に迫る秘密を発見してしまう。主演は「イングリッシュ・ペイシェント」のクリスティン・スコット・トーマス。フランスの小説家フィリップ・クローデルの長編監督デビュー作。

2008年製作/117分/G/フランス・ドイツ合作
原題または英題:Il y a longtemps que je t'aime
配給:ロングライド
劇場公開日:2009年12月26日

スタッフ・キャスト

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受賞歴

第66回 ゴールデングローブ賞(2009年)

ノミネート

最優秀主演女優賞(ドラマ) クリスティン・スコット・トーマス
最優秀外国語映画賞  
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映画評論

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映画レビュー

5.0死ぬことも、生きることもできない

2013年7月24日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

泣ける

悲しい

幸せ

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momogaria-no

4.0観る、見る、魅る

2011年4月9日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

悲しい

幸せ

フランスの小説家、フィリップ・クローデルが監督を務め、名優クリスティン・スコット=トーマスを迎えて描く、一人の女性が辿る小さな再生の物語。 様々な色が入り混じる瞳が、印象的である。人種から来る色だけではない。好奇の色、疑惑の色、思慕の色。一つの物語の中で、人間の眼差しを通してこうも複雑に、豊かに伝わってくる心の機微。むせ返るような困惑の熱気と、そのもやもやを乗り越えた先に広がっていた、爽やかな風。 事件のような事件が一切起こらない毎日を淡々と描く世界を観賞する一時。そこから見えてきたのは、余りにシンプルな、そして魅力的な市井の人々の暖かさと、面倒くささだった。 15年間、自分の息子を殺した罪で刑務所に服役していた女性、ジュリエット。本作は、彼女がなぜ、愛する息子を手にかけたのかという一つの疑問を解き明かすというテーマを最初に提示し、始まっている。だが、観客は物語に寄り添っていくうちに、気が付く。 そんなことは、もう、どうだっていいんだ。 彼女が15年の苦悩の先に開け放った日常には、過去を受け入れられない自分に苦しみながらも、女性を見つめる妹。女性を戸惑いながらも見守る人間たちが、いた。女性を根本的に助け出す答えは見つからない。でも、何も言わずに、笑顔で支える。その無関心ではない素っ気無さが、嬉しい。 ゆっくり、静かに、立ち上がっておいで。 上手くいかない毎日の中で、きっと自分一人が生きているような孤独に苦しめられる人がいる。そんな自分を平気で苦しめる人間がいる。それを承知したうえで、本作はそれでも誠実に、不器用に生きていく一人の女性を肯定する。それはそのまま、日常に打たれ、前に進めない私達もまた肯定してくれる。 人とぶつかるのは、本当にややこしい。嫌になることもある。でも・・どうしようもなく暖かいことだってある。女性が最後に見せる眼差しは、部屋に差し込んだ光に照らされ美しく輝いてる。それで、救われた・・・誰が?彼女が? いや、私達が。

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ダックス奮闘{ふんとう}

4.0静なる絶望と幸せ。

2010年6月26日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

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ハチコ

5.0真実は時として滑稽である

2010年1月22日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

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知的

妹レアの友人達が集まったホームパーティ-。アルコールも入り、あけすけな言葉も飛び交う。その中で、レアの姉ジュリエットについての質問が向けられる。突然レアの姉としてレアの友人達のまえに現れたジュリエット。美貌だが、あまりに人と語らおうとせず、陰のある女。人々はジュリエットがこれまでどうしていたのか、なぜ妹の前に何年も姿を表さなかったのか、疑問に思っている。酒も入った勢いで一人友人がその来歴について執拗に問いかける。レアもその夫リュックも質問を遮ろうとするが、男は意に介さない。ついに語るジュリエット。「殺人罪で15年間刑務所にいたのよ」巻き起こる哄笑。誰もジュリエットが真実を話しているなどとは思わないのだ。唯一、レアの大学の同僚のミシェルだけがそれを真実の告白として聞いていた。  映画の中盤あたりで訪れたこのシーンで私は、滂汰の涙となった。意を決して語ったジュリエットの言葉を誰もが真実の告白とは思わないのだ。「幸せな」人には、酷薄すぎる事実はつまらぬ嘘のようにしか思われないのだ。愛する友人の姉が殺人犯であるという真実を知ることを敢えて望む人がいったいどこにいるのだろうか。そんなことを知っても誰も幸せにはならない。刑期を終えたとはいえ、殺人犯だった姉を持つ者と誰が友人であろうとするのか。仮にそれが事実なら愛する友人と距離を置かざるを得なくなるだけだ。だが、しかし真実というのはそういうものなのだ。このシーンだけで私は今年の映画の中でも、この作は最高傑作だと思った。そのあとに描かれるジュリエットが殺人の経緯についての描写は、正直蛇足だと思われた。出来れば、語られてしまえばありきたりのものでしかない殺人の動機について描かれないことを望んだ(その望みは、予想通り裏切られることになるが)。  興業を考えれば、付け足さざるを得ない動機の解明の部分(それもあからさまでない形で最低限の慎みは維持されていた)はさておいて、先に述べたジュリエットの告白の場面とそれを聞いて大笑いする妹レアの友人の姿を描ききっただけでこの映画は、素晴らしい。真実は滑稽である。しかし、それは妹友人達がジュリエットの告白を聞いて笑ったからではない。真実は、ジュリエットにとってむしろ滑稽なものだと、この告白を通じて示されたのだ。ジュリエットの行為の意味は誰にも理解されないということ。それは語り得ぬものだということ。それを見事に示したこの映画は、本当に素晴らしい。

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prof1961