花のあとのレビュー・感想・評価
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北川景子
2023年2月18日
映画 #花のあと (2009年)鑑賞
#藤沢周平 の短編時代小説で架空の藩 #海坂藩 を舞台にした海坂もの
#北川景子 と婿養子として結婚できるとは #甲本雅裕 がうらやましい
北川景子の和装と武闘着が見どころ
剣術をたしなんでいた女性・以登(いと)。一度だけ竹刀稽古をした際に惚れた男性・孫四郎。江戸時代、家同士の話しで婚姻が決まる時代、お互いに婚約相手がいる間では結ばれぬ恋。そう諦念していたときに、孫四郎が自害してしまう。
孫四郎の許嫁と姦通していた男・藤井勘解由の策略にハマったのだった。あまりに真面目過ぎる性格が故のことだった。以登は孫四郎の無念を思い、復讐を遂げるべく、まずは、婚約者の将来の夫・才助に調査を頼む。
この才助、最初は食いしん坊だけの浮ついた男かと思いきや、和やかでかつ要諦を締めるなかなかいい男であるのが、時間がすすむにつれてわかってくる。
裏取りした以登は、決戦に出る(女の片手間の刀稽古だけで、本物の殺陣を立ち回れるとは思えないので、リアルには無謀なのだが)。最後、やられたかと思いきや、父から授かった短刀で仇を討った。
北川景子の和装や、髪を一束した武闘着のシーン、美しさを観れることがこの映画の一番の見どころ。ストーリ自体は、一目惚れした男のためというよりは(一目ぼれだけであそこまで命をかけるような動機になりずらいと思うので)、汚職や汚いマネを許さない矜持のようなものを感じた。北川景子のかなり練習したであろう剣術シーンもみもので、ピリッとしていた。
あえてもっと欲をいうならば、女性の剣術って、正攻法の剣術では、やはりどうしても力が弱く感じてしまうから、あれでなぜ勝つのか?って思ってしまうときがある。柔よく剛を制すような立ち回りがもっと欲しい。女流剣士ものって、そのジャンルがあるくらいそのギャップさが故に映画になるとは思いつつ、リアルさも大事。
【”海坂藩の女剣士、キッチリと恋心を抱いた男の無念を晴らすために筋を通す。”以登を演じた北川景子さんの美しき着物姿と、凛々しい女剣士として恋心を抱いた剣士の無念を果たす殺陣のギャップが見事な作品。】
■寺井家の一人娘・以登(北川景子)は、幼き頃から剣の使い手として一流の父(國村隼)に鍛えられてきた。
そして、芳賀道場の、二番手、三番手を破っていたが、道場の筆頭剣士であり且つ、藩内随一の剣士と噂される江口孫四郎(宮尾俊太郎:今や、ダンサーとしてご活躍。)と、父に嘆願し、剣を交わす事で、彼に恋心を抱く。
ー 女人だからと言って、変に手加減しない孫四郎の姿が、眩しかったのであろう。-
しかし、以登には決められた相手:片桐才之助(甲本雅裕)があり、孫四郎もまた上士の家の婿となる日が迫っていた。
孫四郎への想いを断ち切る以登だったが、江戸詰めになった孫四郎自害の報せが届き…。ー
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・北川景子さんが本格的な殺陣に挑戦し、一途な女剣士を見事に演じている。相当に、訓練を積んだのであろう。それが、随所で見て取れる。
ー 何故なら、私は剣道〇段なのである・・。(ホント、スイマセン・・。)ー
・江口孫四郎を演じたバレエダンサーの宮尾俊太郎の一徹な武士の姿も良い。
・卑劣な悪役で江口に”江戸での手順”を敢えて誤った手順を教えた、藤井勘解由を演じた市川亀治郎の姿も印象的である。
ー 市川亀治郎(現在、市川猿之助)は”龍馬伝”でも、龍馬を暗殺した人物を演じたが、この方は悪役を演じても、華がある。-
・今作の、影の主役は片桐才之助を演じた甲本雅裕である。長年、江戸詰めをした後に戻って来た彼は大飯食らいで、さりげなく以登の尻を触ったりする、一件下衆な男である。
ー だが、彼は、自分の婚約者のために、表面上はニコニコ笑いながらも、以登の無念の意を汲み、真実を探るのである。
器の小さな男であれば、自分の婚約者が自分以外の男の名誉のために真相を探ることには同意しないであろう。が、彼は、以登も目にした孫四郎の婚約者であった加世(伊藤歩:実は私、ファンなんです・・。)と、藤井勘解由の関係性を明らかにしていく。
片桐才之助の男としての器の大きさを感じさせる。(そして、年老いた以登のナレーションにあるように、彼は”以登と結婚後”、着実に出世していくのである。)-
・そして、藤井勘解由の悪行を手紙に認め、単身、藤井との決闘に臨む以登。藤井は、卑怯にも3人の手下を連れて来るが、以登は彼らを鮮やかに切り捨て、藤井との一騎打ちに。
絶対絶命の状況になった時の、以登の”必死剣”。
それは、本当は男の子が欲しかった父から授かった短剣であった。
<藤沢周平の”海坂藩シリーズ”に外れなしの法則を引き継いだ作品。
時代考証に拘った山田洋次監督作品集とは異なり、庄内弁は一切出て来ないが、しっかりと庄内平野を見下ろす、雪を抱いた月山が随所に背景としてどっしりと描かれている。
北川景子さん演じる以登を始め、海坂藩(ホントは、庄内藩)の誇りある人々の姿が印象的な作品である。こういう気品ある時代劇映画を、もっと製作してくれないかなあ・・。>
北川景子の恋する時代劇。まだあどけなさ残る彼女の剣士姿は必見。 主...
北川景子の恋する時代劇。まだあどけなさ残る彼女の剣士姿は必見。
主人公が一瞬で恋に落ちる演出は良かった。相手役、誰?バレエダンサーだそうな。
残念ながら彼女には許嫁がいた。自由に恋も出来なかった時代。許嫁は誰だ?笑った。なるほど、納得。
話は仇討ちへ。ラストアクションはちょっときついか、ここは速回しで見るとカッコいい(笑)許嫁の行動がやや疑問符。
主題歌を疑問視する声もあるようだが、私的にはそれを含め音楽は概ね良かった。確かに北川景子だから見られる部分はあるが、評価ほど悪い作品ではないと思います。
来週放送あり。気になる方はぜひ(笑)
共演者の実力
当時の北川景子では時代劇は厳しかったか? 所作がなんともこなれていなくて、一生懸命なのだと思うが、ご本人が一杯一杯な感じが伝わってしまう。静の動きはぎこちない一方、動の剣術シーンは負けず嫌いがよく伝わって良かった。
そんな主演を共演者がしっかりサポートしている。甲本雅裕、宮尾俊太郎、國村隼、猿之助をはじめとして、伊藤歩や佐藤めぐみも良い味わい。主演者に頼らない映画作りを感じた秀作。
愛しさと切なさと凛々しさと
レビューのタイトルが歌謡曲のタイトルそっくりになってしまいましたが、一言で表すとそんな映画でした。
ひとつのジャンルにハマらず、中流武家のラブストーリー、陰謀、殺陣がさっぱりとバランス良く組み合わさってました。
悪く言えばどれも中途半端かなと思いますが、よく言えば先が読めない展開でした。
以登が婚約者に無関心過ぎて「なんで??」と思いましたが、登場して納得…これは無関心になるな、と笑
ただ、この婚約者、只者ではないのでおもしろかったですよ〜!
武家のラブストーリーは「山桜」でも観ましたが(これも切ないですがおすすめ)、基本的に男女話すのがタブーなので物語を作るのがそもそも難しいんですね…。
北川景子の殺陣もかっこよかったです!宝塚男役スターみたいで女性でも目がハートになりました。
「花のあと」を表すような儚さの雰囲気が北川景子をまとっていて素敵でした。
切ないねぇ
そして、単純なハッピーエンドじゃないところが好き。
才助の良さがじわじわくるのは、甲本さんのうまさか。
監督はひたすら北川景子の美しさに惚れこんでたんだろうな、この撮り方。
それにしても可愛いよなぁ。
意味深なラストシーン!
キネマ旬報のベストテンでは、
僅かの一票も入っていない作品だったので
「たそがれ清兵衛」や「蝉しぐれ」のような
期待が無いまま、
藤沢周平と同じ庄内藩(海坂藩)出身者
として鑑賞。
この映画、山田洋次作品と違い、
庄内弁が聞けないのは寂しいが、
流石に原作のチカラか、
最後まで飽きずに観せてくれた。
原作が短編のせいか、他の藤沢作品に比べ、
ストーリーそのものに深みは無い。
しかし、意味深なラストシーンだ。
大飯食らいでガサツな許婚が、
自刃した恋心の相手とは異なる魅力
を持った男性と徐々に描かれ、
素晴らしい資質の男性として
彼女の目に映る桜の下のシーンで終わるが、
将来、孫に語る晩年の彼女の独白
との関係で微妙な描写だ。
晩年の彼女の語りでは、
許婿との結婚生活で7人の子供を設けた等、
幸福に満ちた彼女の人生を匂わす。
しかし、
二度と花見をすることは無かったと。
一見、新たな異性との出会いは必要が
無くなったという単なる青春との惜別
とも捉えられなくもないが、
勿論それだけではないのだろう。
自刃した彼への秘めた想いを封印する、
彼女の熱い想いとの惜別の方は
どれ程だったのだろうか。
原作は短編とのことなので、
そこまで読み切れるかは解らないが、
その答えが原作の中に認められるか、
あるいは映画製作者側の意図なのか、
原作本を読むのが楽しみになった。
美人で和服が似合い凛とした佇まい
異色の時代劇で面白かったです。
北川景子さんがとても素敵。
美人で和服が似合い凛とした佇まい、いくつか観た北川景子さんの演じた役柄でこの作品の以登は一番のハマり役ではないでしょうか。猛特訓したであろう剣捌きも様になっていました。
それぞれに想う人
開花したばかりの桜の花のような美しい娘、以登を北川景子さんが艶やかに演じられていた。歩く夜道で浮かぶ横顔が一層美しい ✨
咲き誇る満開の桜、群生する水芭蕉、美しい雪山、美しい日本の情景が散りばめられていた。
甲本雅裕さん演じる才助の深い優しさ、ラストがいい。
NHK - BSを録画にて鑑賞
女剣士北川景子
北川景子扮する以登は、城の花見に出かけた。以登の剣術はちまたで評判であった。宮尾俊太郎扮する江口孫四郎が話しかけて来て、以登はすっかり恋に落ちた。以登は、父親に頼んで孫四郎と手合わせをした。ふたりとも許婚がいたが気を惹かれ合ったが父親から二度と会うまいと言われた。甲本雅裕扮する以登の許婚片桐才助が江戸から帰り、祝言を迎える段取りとなった。そんな折、孫四郎に江戸行きの命が下ったが、江戸での仕事で粗相があり切腹し、以登にも父親から伝えられショックを受けた。以登は、才助に孫四郎ははめられたのではないかと相談した。果たして帰らぬ孫四郎の汚名を返上させる事が出来るのか? 北川景子は、演出ゆえか若干表情が固く辿々しさがあった様に感じたが、やはりハッとする美しさがあったね。それにしても展開のペースがとてもゆっくりだったな。
堅実で丁寧な演出
中西健二監督はなぜかwikiもない映画監督ですが青い鳥という名作を撮っています。青い鳥ゆえ、ググったときぞろぞろ違うものが検索されそうなタイトルに難はありますが、個人的にはカルトだと思います。
この映画と青い鳥を見ると中西監督の秀でた演出力が解ります。主張はしませんが堅実で丁寧なのです。
山田洋次の藤沢周平がアクション映画としてカウントされることは無いのですが、殺陣シーンでは緊張が走ります。実質的にはその「寡」をもって、たとえば無限の住人の大量殺戮を凌駕していると思います。そのように掉尾へ向かって紡いで、切羽詰まらせるのが藤沢周平の復讐劇です。案外、コミックを翻案した時代劇より、はるかに高い興奮度を持っていると思います。
この映画の特異性はひとえに女侍ということです。
戦う女性はありふれたモチーフですが、邦画中ではICHIやあずみが時代劇として類似するかもしれません。近現代なら極妻か女囚か刑事か、あるいはスプラッター系かコスプレ系か露出系になるのでしょうか。総じて海外は戦う女性が巧いのですが、日本のばあいアニメを除けば戦う女性に拙い印象があります。
前述のごとく藤沢周平がアクションにカウントされることはありませんが、この映画の以登は、考証と現実味を備えた剣の使い手であり、骨格のあるヒロインでした。偏りのある言い方なのは認めますが、有りそうで無かった、まともな戦う女性の実写映画だと思います。絶対的な希少性でした。
以登が復讐を決意するのは、たまたま父を訪れた孫四郎と手合わせをしたのがきっかけでした。弱石高の三男ですが使い手です。
いざ手合わせをしてみると孫四郎は女子の剣であることをあなどりません。また組頭の令嬢であることをおもねりません。以登と真摯に勝負したのです。
それを太刀筋で理解した以登は孫四郎に恋心を抱きます。
ところがその後、孫四郎は江戸詰になったものの御用人藤井の奸計に遭い切腹を余儀なくされてしまいます。
以登の復讐は孫四郎と手合わせをしたときの回顧によるものです。真剣に打ち合ってくれた孫四郎が忘れられず、その孫四郎を切腹に陥らせた藤井の謀が許せません。「ただ一度竹刀を合わせただけ」それだけのために命を懸けます。
それらのくだりを丁寧に描き終局の果たし合いへ持っていきます。丁寧に描くほどに、果たし合いが怒濤の興奮度を孕んでくるのです。藤沢周平の独壇場でした。
余談ですが、日本の時代劇では、役者はしっかり化粧しきれいに結い汚れもほつれもなく、建造物やロケーションもしっかり整備されていることが多いのです。個人的にその垢のない世界がとても気になります。
スポンサーや製作委員会の都合ではアート/リアリティへ落とせないのかもしれませんし、大河ドラマに画面が汚いと文句をつけるほど潔癖な人もいますので、一概には言えませんが、映画世界にはそれに見合う不協和が必要だと思っています。
私なら画面がきれいと文句をつけるでしょう。
世の中にはきれいで興醒めする人もいるわけです。この映画も危うく興醒めするところでした。しっかり見て良かったと思います。
ちなみにだいぶ前に見たのですが、私はこの映画でそれほどでもなかった北川景子が好きになりました。また甲本雅裕がいつもながらいい味を出していましたし、市川猿之助の憎まれ役も既に堂に入っていました。
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