ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2 : インタビュー
D・ラドクリフ、E・ワトソン、R・グリント「ハリポタ」10年間に思いを馳せる
J・K・ローリング原作のベストセラー小説を実写映画化した人気ファンタジーシリーズ「ハリー・ポッター」。2001年に第1章「ハリー・ポッターと賢者の石」が公開され、原作を忠実に再現した世界観に世界中が魅了された。8作品にわたって映画化された同シリーズも、「ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2」で完結。命がけの冒険をくぐり抜け、互いの成長を見続けてきた主演の3人が、10年間の歴史を振り返った。(取材・文:編集部)
シリーズ最終章にあたる今作では、ハリー・ポッターら魔法使いの学び舎であるホグワーツ魔法魔術学校が決戦の舞台となる。シリーズを通してハリー役を演じてきたダニエル・ラドクリフは、崩壊したホグワーツを目の当たりにし「あれだけ巨大で立派なものが、ガレキの山という無残な姿に変わり果てたのを見て、奇妙な感覚だったね」と振り返る。
ハリーの最良のパートナー、ロン・ウィーズリー役に扮したルパート・グリントも、無惨な光景にショックを受けたという。セット破壊の現場に立ち会ったそうで、「作業する人たちがハンマーで壁を壊している様子を見て『間違っている!』と思ったんだ。僕たちが成長していった場所なんだから、特別な思いがあるんだ」と思いの丈を語った。そして、「基本的には戦争映画みたいな感じで、常に戦いがあるんだ。とても素晴らしい大作になるはず」と自信をのぞかせた。
「ハリー・ポッター」シリーズは、10年間にわたってキャラクターとともに出演者が成長を遂げることで、単なるファンタジーとしての枠を打ち破った。長年にわたって見守ってきたファンにとっては、スクリーンを通して登場人物の成長を感じられることも人気の要素であったのだろう。額に稲妻形の傷をつけた少年は、多くの冒険、友情、恋愛を経験し、魔法界の未来を担う存在になった。
ラドクリフがハリー役に抜てきされたのは、オーディションのスタッフが両親と芝居を見にきていたラドクリフを見かけたことがきっかけだった。難航していたオーディションに参加したラドクリフは、見事にハリー役を射止める。役どころと運命の出合いを果たしたラドクリフは、子役にもかかわらずマギー・スミス(ミネルバ・マクゴナガル役)、アラン・リックマン(セブルス・スネイプ役)らベテラン俳優とぶつかり合うことになった。
「小さかったころは、大ベテランとの対決シーンではやはり委縮していた。だから、自分自身のレベルを上げなければならなかった。でも、リックマンとの共演はいつも楽しいよ。素晴らしい俳優だと思う。個々のシーンの捉え方や分析が面白く、こちらも影響される。特にリハーサルでは彼の考え方を学ぶことが出来るから好きだね。大ファンだよ」
一方のエマ・ワトソンは、ハリーたちを厳しく鼓舞し、優しく支えてきた理知的なハーマイオニー・グレンジャーになりきった。演じたキャラクターを、「最初から最後までガッツある子だったと思う。苦しい局面に立たされても冷静さを失うことはない。それに、頭脳派にしては行動にちゃんと移すタイプ」と分析し、演技に臨んだ。
「ハリーとは、長い時間一緒に過ごして、いろんな苦境を一緒に乗り越えてきているから、あうんの呼吸が出来ていて、魂がひとつになっている。ハーマイオニーがバジリスクの牙を投げ、ハリーがそれをキャッチして分霊箱を突き刺し、そこへロンが走り込んで蹴る、というシーンがあったんだけど、3人がまるで時計仕掛けのようにうまく連携するの。だから、ハーマイオニーはチームワークが得意なのかもしれない」と連帯感を強調する。
いよいよ完結を迎える同シリーズ。10年間の歴史には、それぞれの抱く思いは並大抵のものではない。子役としてスタートしたキャリアの節目として、今後の自分自身を見つめる機会となったようだ。
「この10年間を一言で表現するのは時期尚早かもしれない。まだ最中だからね。自分がこの体験からどういう影響を受けたかを語るには、 大分後になってから振り返らないといけないんじゃないかな。ただ少なくとも、ものすごく楽しかったし、友だちと別れるのもさびしい。それと、これなしの生活はまだ想像がつかない。だからきっと変な感じになると思う」(ラドクリフ)
「これに終わりがくることはないと思う。どこへ行っても、この作品(の思い出が)ついてくると思うし、自分の一部になると思う。何年たっても、自分の人生の一部としてとらえることになるでしょう。撮影後、どのように感じるかはまだ分からないけどね。変な感じだけど、とにかく素晴らしい経験だったわ。こうやって選ばれて、こういうチャンスを与えられ、これを人生の一部にできたことに感謝しているわ」(ワトソン)