「情緒不安定な女」嵐が丘(1939) 根岸 圭一さんの映画レビュー(感想・評価)
情緒不安定な女
孤児(ヒースクリフ)が金持ちに拾われその娘(キャシー)と恋に落ち、性悪な兄と対立するあたりは、王道のストーリーという感じ。そこから先はキャシーの言動がよく分からないシーンが多い。
後の結婚相手であるエドガーが、ヒースクリフを下賤な身分の人間だと蔑む。キャシーはそんなエドガーを心底嫌いだと言うかのように罵倒する。にもかかわらず何故か二人は後々結婚する。何で?そうやって蔑まれるヒースクリフをキャシーが庇ったかと思いきや、その後に今度は彼女が何故かヒースクリフのことを同じ理由で蔑み始め、二人の関係に亀裂が入る。でもその後やっぱりヒースクリフへの愛に気づいたという趣旨の発言を家政婦にするが、既にヒースクリフが去った後で遅かった。
こんな感じでキャシーの言うことが二転三転して意味が分からない。二人のすれ違いや、本心とは異なる言葉が出てしまい愛する男と衝突してしまう女の心情を表現したかったのかもしれないが、単に彼女が情緒不安定な女にしか見えない。そのため序盤から感情移入できなかった。
後半でエドガーの妹とヒースクリフが恋に落ちるが、これもいつの間に恋愛関係になったのかと思うし、何で好きなったのかも分からない。最後までつまらなかった。
名作である『ローマの休日』を撮った監督と同じ監督の作品とはとても思えない出来に驚いた。
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