「似てない親子。」幸せはシャンソニア劇場から ハチコさんの映画レビュー(感想・評価)
似てない親子。
名画座にて。
なんだか舌を噛みそうな邦題^^;
「新春シャンソンショー」と並んで早口言葉みたい。
劇場を舞台にしているミュージカルっぽい活劇?ではあるが、
様々な要素がテンコ盛りに連なって大作ドラマ並の転がし方。
息子を取り戻すために劇場を再開させようと奮闘する元・裏方
ピゴワルを演じるJ・ジュニョが巧いので最後まで飽きないが
新人歌姫役N・アルネゼデールなどキャストたちの舞台演技を
もっと観たかった気がする。アコーディオンで日銭を稼ぐ健気な
息子ジョジョ役M・ペランが父譲りの美形で可愛すぎるせいか、
どう見てもピゴワルの息子だとは思えないところなんてご愛嬌v
第二次大戦前夜のパリを舞台にしているので、歴史的背景を
把握していれば、さらに入り込める話になるのだろう。
いつの時代にも、こんな風に下町で頑張っている役者勢がいて、
不遇な時代でも、ささやかな楽しみを享受したがる大衆がいる。
それを大切に思う気持ちを演劇人は忘れてはいけないはずだ。
ビジネスとしては全く成り立たない経営を続けてやがて閉館、
不況にあえぐ劇場の実態は昨今の現代に受け継がれている…
哀しいかな、好きなだけではオマンマは食えないんだもんね。
しかしそんな時代だからこそ、今よりもっと劇場演目そのものが
輝いていたような気がするのだ。古臭いお決まりなドラマの中に
そんな時代の空気を感じてほしいと思いつつ作られた感がある。
あまり…役者勢もフランス?的な感じがしなかったうえ(私には)
ミルー役C・コルニアックの声が若き日のM・ブランドの声&喋り
にソックリで(!)もうそう思ってしまったら、最後までずーっとそう
聞こえてしまって仕方なかった(爆)カッコ良かったし、いいのだが。
「巴里の屋根の下」(1930)を髣髴とさせる導入部、
ルネ・クレールファンを喜ばせる作りになっていて良かったと思う。
(親の欲目とはいうけど、子供には好きな事させた方がいいのよ)