「最後のライブシーンだけ、もう一度見せてくれないかなぁ」ソラニン septakaさんの映画レビュー(感想・評価)
最後のライブシーンだけ、もう一度見せてくれないかなぁ
宮崎あおいさんって歌、上手いねぇ
ラストのライブシーンで一気に持って行かれたね
ラストのライブシーンだけ、もう一度みたいな!!
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攻めの宮崎あおいさんと
受けの伊藤歩さん、岩田さゆりさん。
ラストのライブシーン
この構図が最高のシーンを生みだしています。
攻めの
宮崎あおいさんは、
表情や間だけでなく、
ピックひとつの動かし方、
指先まで研ぎ澄まされた演技を魅せてくれます。
受けの
伊藤歩さんは、いつも通りの安定感。
驚いたのは、岩田さゆりさんの表情演技。
いつの間に、こんなに上手くなったんだ、とビックリ!
ライブシーン中は
「早く岩田さんのカット来い!
早く岩田さんのカット来い!!」と頭の中で念じてしまうほどでした。
とりあえずお隣にいた
ARATAさんが霞んで見えました。
◇ ◇
〈 過去の自分に別れを告げる 〉
〈 現在の人生に納得しているか 〉
ラストをいきなりクローズアップしたのは、
そこまでが、ちょっと厳しかった裏返しでもあります(苦笑)
原作未読のため、なんとも判断がつきかねるのですが、
ラストのライブシーン以外は、かなり原作に忠実に描こうと
しすぎたあまり、悪く言うと、間延びしたシーンが連続してしまったのかな、と。
映画を見ながら
「陰性のハチクロ」のような気がしたんです。
モラトリアムっていうんでしたっけ。
こんな風に人生に悩み続ける時期ってありますよね。
予告編で流れていたので書いちゃいますが
振り返るとこの時期って、生きつづけるか、
死んじゃうのかって紙一重な部分ってあると思うんです。
死で生が途切れることに恐怖を感じる一方で
生がこのまま続くことに恐怖を感じる理性も存在する。
周りに支えてくれる人がたくさんいるのに
地球上に自分ひとりしかいないような気持ちになってしまう。
ある程度、年齢や経験を重ねると
そこまで、積み上げてきたものや、
あきらめがあって、この手の作品を見ると
「甘えるんじゃない!」と一喝したくなる部分が
あるのは否定しませんが、作品世界と同年代の人が観た場合、
「悩んでいたのは、自分だけじゃなかったんだ」と救われるのかもしれません。
“国民的女優”と試写会場でもアナウンスされていましたが、
宮崎あおいさんは、遠い存在になりかけた自分を、今作に出演することで
みんなから手が届くポジションに戻りたかった、またそう思わせたかった、
だからこの役を受けたのかな、なんてことも、エンドロールを眺めながら考えてしまいました。
☆彡 ☆彡
客電点灯後、前方からパラパラと拍手が起きました。
わたしは、ラストのライブシーンで一気に高揚させられましたが、
これは、拍手しちゃいかんだろう、との意識のほうが強く働き、拍手はしませんでした。
役者さんやスタッフを含めた満足感や充実感と
観客側におこる感覚に乖離のある作品になってしまった気がします。
ラストのライブシーンって実際に演奏されていますし、
相当練習したでしょうから、やりきった感は、かなり強いでしょうから。
ただ、そのやりきった感が、お客さんにも起こるかどうかは、また別問題でして・・・。
花火のところとか好きなシーンはあったんですけどねぇ。
ライブシーンも演奏だけでなくて、演奏後にもこだわりは見られたんですけどねぇ。
ライブシーンが良すぎただけに、
なんとももったいない作品になっちゃったかな。う~ん、もったいない。