ソラニン : インタビュー
入社2年目で会社を辞めてしまった元OLの芽衣子(宮崎あおい)と、音楽の夢をあきらめきれず、フリーターとして働きながらバンド活動を続けている彼氏の種田(高良健吾)が、東京の片隅で、将来に不安を抱きながらも支え合って生きる姿を描く青春恋愛映画「ソラニン」。夢と現実のギャップに葛藤する若者たちのリアルな姿が多くの共感を呼び、累計70万部を超えるベストセラーとなった浅野いにおの同名コミックの映画化となる本作について、主演の宮崎と共演の桐谷健太、近藤洋一(サンボマスター)に語ってもらった。(取材・文:編集部/写真:堀弥生)
宮崎あおい、桐谷健太、近藤洋一…それぞれの挑戦と「ソラニン」への思い
桐谷が演じるビリー、近藤が演じる加藤は、種田と組むバンド「ROTTI(ロッチ)」のメンバー。ビリーがドラムで、加藤はベースだ。種田がいなくなり、ぽっかりと空いた心の穴を埋めるかのように、芽衣子がギターを手にビリーと加藤の助けを借りてロッチを引き継ぎ、種田の残した歌「ソラニン」を歌う。その場面は、映画のクライマックスとして必見の名シーンになっている。
桐谷はドラム経験があるが、本作のために個人レッスンを重ねた。人気バンド「サンボマスター」のベーシストが本職の近藤は演技は初めて。そして、宮崎も初めて自らの歌声を披露し、ギターにも挑戦した。
■「逃げずにきちんと向き合いたかった」(宮崎)
――出演の決め手になったポイントは? 宮崎さんはギターや歌、近藤さんは演技など、それぞれ初挑戦で越えなければいけないものがあったと思いますが。
宮崎:「私は歌とギターがあるからこそ、出たいと思いました。いままでは逃げていたんです。私、歌は苦手で、ちょっと歌う場面があったりすると、『このシーンなければいいな……』と思ってしまうこともありました。でも、逃げずにきちんと向き合いたいなという気持ちもあって、やらせていただくことにしました」
近藤:「僕は漫画の『ソラニン』を、ライブハウスで出待ちしていた10代くらいの男の子たちに教えてもらったんです。『近藤さんにそっくりなベーシストが出てくる漫画がある』って。それで読んでみたら、プロフィール的な部分もソックリ。いま、日本で大学6年生のベーシストといえば僕のことですから(笑)。そういうこともあって、お芝居はやったことないですけど、せっかくの縁ですから飛び込んでみようと思いました」
桐谷:「僕はオーディションだったんです。もともと漫画は友だちの家で読んでいて、いいなと思っていたから、話を聞いたときは出たいと思いました。それでオーディションにも受かったのでうれしかったですね。オーディションではドラムばっかり叩いてたんですけど……」
近藤:「顔で叩いてたもんね」
桐谷:「その時はまだフィルインとか出来なくて、8ビートだけだったんですが、とにかく『叩いてます!』って顔でやってましたね(笑)」
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