「潜行せよ多層構造意識 [修正]」インセプション 浮遊きびなごさんの映画レビュー(感想・評価)
潜行せよ多層構造意識 [修正]
修正前は“夢への潜行”に関するルールを推察して書いてみたけど、鑑賞前の方に対して不粋なので削除。
さておき、クリストファー・ノーラン監督の作るサスペンスはやっぱり半端じゃあないですね!
最初の20分は正直、何が起こっているのか良く理解できない(笑)。
だがエレン・ペイジがチームメンバーに加入した辺りから“夢への潜行”のシステムが分かってきて、段々面白くなってくる。だんだん深みにはまっていく。
具現化される騙し絵、
重力を超越した格闘戦、
夢の多層構造の同時進行、“潜行”に必要なスタッフの技術、
映画史上最長レベルの落下シーン、
Inception(=意識植え付け)の方法の簡潔さ、
そしてクライマックスの複雑怪奇な“脱出”——
こちらの想像を越えたアイデアの連打に、もう頭の中がぐるぐるしてくる。細かい部分まではよく分からんけど、モノスゲー面白い。
まるで意味が分からないと思っていたファーストシーンがクライマックスにぴたりとハマった瞬間には、思わず鳥肌が立った。
なんて美しい着地だ!!と。
これだけ書くと理詰めで作っただけの無機質な映画に思えるだろうが、それだけじゃない。
夢は、夢を観る人物の感情の影響をもろに受ける。今作の場合、ある人物が抱える“罪悪感”が最大の敵となって襲い掛かるのだ。
この映画はその人物が己の過去と対決する人間ドラマにもなっていて、それが決着を迎える瞬間には目頭が熱くなった。
あとは不満点というか、良く理解できなかった点について少し言及。
映画はどうやら近未来が舞台で、“夢へ潜行してアイデアを盗む”という犯罪は一般にも周知されているらしく、“夢への潜行”に対抗する為のセキュリティなども存在している。
その辺りの背景やセキュリティの仕組みについてもう少し細かく説明して欲しかったかなあ。
それと、夢の階層が変わる度に、いったい誰の夢に移動しているのかが良く分からず混乱。未だに理解しきれていない。
どちらも単に僕の理解力不足だろうな。これは……もう一回劇場で観て確かめてみるしか無いか。
あのラストも気になるし……最後にちょっとだけ傾いたように見えたんだけどなぁ……。
最後の最後の瞬間まで、脳を絶え間なく刺激するステキな映画だった。秀作です!
<2010/7/17鑑賞>