人間失格のレビュー・感想・評価
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感動するものではない太宰の作品
生田斗真扮する資産家子息大庭葉蔵は、父親が引退し自宅を処分したためアパートに引っ越した。伊勢谷友介扮する友人堀木は葉蔵を放蕩生活に引きずり込んだ。葉蔵は金も無いのに命がけで遊びたいと言った。
心中を図っても生き残るのは運が強いのか否か。金よりも更生しようという気持ちが大事と言われたが、葉蔵は画家になると言った。
太宰の作品だから良いのか悪いのか。演技の良し悪しではなく、正直人間失格候を観て感動するものではないな。
映像化成功!
生まれてきてごめんなさい
女に不自由していない葉蔵。「誰でも一度は女にモテる時期がある」なんて、最近はやりの“モテキ”じゃないですか。でも映画を見る限りではずっとなのかもしれない。
堀木(伊勢谷)と知り合い遊びを覚えていく葉蔵。カフェの女中・常子(寺島)と入水自殺をしようとしたが、自分だけ生き残ってしまった。やがてタバコ屋の娘・良子(石原さとみ)と結婚するが、堀木が遊びに来ていたとき、男と情事にふけっていたのを目撃してしまう。そして薬物へとハマっていき、ついには療養生活。
ほとんど太宰治の自伝的小説なんだろうけど、人間との付き合い方がわからない主人公がどうしてそうなったかわからない。「生まれてきてごめんなさい」と幼少時代に言わせていることから、生まれつきだったんだろうけど・・・
2009年は生誕100年ということで『斜陽』『ヴィヨンの妻』『パンドラの匣』、そして今作と公開され、まさに太宰治イヤーだった。やっぱり文芸作品は映像勝負。人間失格自体、まったく面白くないのだが、中原中也(森田剛)が出てくるシーンでCGを使い、とても印象的だった。線香花火が落ちてくるやつ。
もっとドス黒さが欲しかった。
本を読んだ時は
こんな人生は嫌だ。この男は腐ってる。と、
胃の底が重くなるような
心が黒くなるような感覚になったけど
この映画は、少し違っていた。
どす黒い部分はあまりないように思った。
可愛らしく儚げな主人公で美しい。
いつのまにか女性とくっついている。
女性とのあれこれは表立って描いてない。
だから、人間の闇や汚さがあまり感じなかった。
生田斗真はとても良かった。
モルヒネのシーンの演技が良かった。
世界観は崩れていない。
不思議な作風
昨年公開された『ヴィヨンの妻〜桜桃とタンポポ〜』を観る際に、太宰治の諸作品を一度も読む機会が無く、映画本来を完全に読み切れない自分の力の無さを痛感した。元々『ヴィヨン…』が、太宰治の多くの作品から引用した内容だとゆうのを知っての鑑賞だったのも有るが…。
今回は『人間失格』単品を映像化とゆう事も在って、意を決して遂に太宰作品を初めて読んでみた訳ですが…。
いや〜難しい。一夜漬けでは歯が立たん(苦笑)
一応原作では、太宰治そのものを自ら投影した、大庭とゆう人物が自殺した動機を、遺された手記から作者(太宰治)が、その真相を探る訳ですが…。…って言うか、この説明で合ってますよね!!
それ位難解でしたね。
「これはどうあがいても映像化には向かないぞ!どうやるんだろう?」と思いましたが…。
映画本編は大庭とゆうキャラクターを掘り下げ。堀木との友情を立て軸にして、大庭の生き方に影響を与えて行く、多くの女性達との関わりを同時に描いていた。
原作だけを読むと、それらの関わり合い方がかなりややこしく、全く反芻出来なかったのですが…。
それでも映画を観終わって、例え内容面で解らなかったとは言え、ある程度の人間関係を予め理解していたのは、とても大きかったと思います。
映画を観ながら、「嗚呼!あのセリフがここで使われるのかぁ〜」や、「お!ここでそれを使うのか…」…と。何しろラジオが故障するネタが、ベルリンオリンピックに於ける「前畑ガンバレ!」の実況として生かされていたり…と。感心する事ばかりでしたね。
原作に於いてははっきりと解らなかった時代背景は、昭和16年から昭和19年12月7日の、日本軍による真珠湾攻撃による戦争開戦日に設定され。更には原作には登場しない森田剛演じる中原中也が絡んで来たりと、原作には全く縛られない自由な発想の脚本には感心しましたね。
監督自ら「(男女の)絡みは好きじゃない」との発言には、過去の監督・製作作品からして意外な感じがしましたが、結果として作品中には“その行為”は映さず、(男女の行為の)“その後”を観客の想像に委ねる事で、よりエロチックな画面作りをしていたのも驚きでした。
とても静かな画面構成で、昨今よくある音楽過剰な作品と比べると、時に濃密な空気感に息が詰まる時さえ有りました。その為に見る人を選ぶ作品かも知れません。個人的には、おそらく中身の半分も理解出来てはいないのですが、不思議な作風と相まって、味わい深い作品になっていると思います。
(2010年2月24日TOHOシネマズ西新井/スクリーン8)
とても美しい作品
前途茫々(ぜんとぼうぼう)
映画「人間失格」(荒戸源次郎監督)から。
ストーリーとは、まったく関係ないことが気になることもある。
今回は、会話の中に「ぜんとぼうぼうさ」という単語があり、
気になって、慌ててメモした。
帰宅して、ネットで調べてみると「ぼうぼう」は「茫々」と書き、
意味は「広大なさま。広々としたさま。遠いさま。はてしないさま。
盛なさま。明かでないさま。目のはっきりせぬさま。」といろいろ。
また、違う辞書には
「広々としてはるかなさま。「―とした大海原」「―たる砂漠」
ぼんやりかすんではっきりしないさま。「―たる記憶」
草・髪などが伸びて乱れているさま。「髪の毛を―とさせる」
波や風の音が激しいさま」とやはり、多くの意味が・・。
私は「前途」と言えば「洋々」が続くものだとばかり思っていたので、
「前途洋々」ならぬ「前途茫々」が、やけに私の記憶に残った。
物語としては「将来が全く見えない絶望に近い窮境」という場面で
使われていたように思うが、違うだろうか。
太宰治独特の暗い作品だったにも関わらず、気になる台詞は多かった。
しかし、もう一度観るか?と訊ねられたら、う〜ん・・(汗)
私の場合「原作、太宰治派」より「原作、伊坂幸太郎派」だからなぁ。
葉蔵が美しい!
生田斗真、美しいです!
生田斗真くんの演技に注目。
―『人間失格』
映画化が発表されてからずっと気になりつつも、観るには踏み出せずにいましたが、やっと行ってきました。
原作は昔読んだことがあるので、概要は知っている前提でした。
・・・これは原作知らない人には不親切では、というストーリー構成に感じました。雰囲気や心理描写を芸術的に抽象的に表現している、といった印象を受けました。
原作では最初に書かれている葉蔵の子供時代の話などかなり端折られています。私的にはこの葉蔵の子供時代が、この『人間失格』をより深いものにするのでは・・・と思うのですが、その部分は冒頭にちょこっとだけでした。
森田剛さん演じる映画オリジナル「中原中也」。
かなり重要なポジションだったのには驚きでしたが、でもそうじゃなければわざわざ出しませんよね^^;
彼の役どころがなかなかおもしろく、映画版ならではの良い味を出していたと思います。でも森田さんではちょっと物足りなかった気もします・・・。
全体的にはやはり主演の生田斗真さんの演技力が見物です。
難しい役どころの葉蔵を見事演じきっているのには感嘆しました。
いや、本当に素敵で、それ目的で見て欲しいくらいかっこ良いです。
監督も、葉蔵の話だから当たり前なんですが、彼の撮り方には相当こだわったのではないかと思います。現代人ではない、その時代に生きる人の姿。
そして太宰治の『人間失格』という世界観。
話的にはやっぱり良い意味でも悪い意味でも日本文学、と言った感じで、
好き嫌いは分かれてしまうのではないかと思いますが、
そう言った作り手側のこだわりや芸術的な映像を見るのもおもしろいかもしれませんね。
あとは葉蔵を取り巻く女性陣を演じる女優の方々も素晴らしかったです。
俳優さん方の演技力と、芸術的な映像を見るには良い作品だと思います。
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