母なる証明のレビュー・感想・評価
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息子の”母なる”証明
平日のお昼、映画館で見ました。
韓流ブームが続いているのか、ウォンビンファンが再集結したのか分かりませんが、”おばさま”ばかり。
香水や化粧品の匂いがぷんぷん。映画を見る環境としては、いただけません。。。
肝心の映画。
オープニングで母親が踊るシーン、それだけで「☆3」の価値があります。
そしてどのカットも美しい。
演出過多な印象もあり、たぶんに食傷気味になりますが、映画=エンターテイメントと思えば、これもまた良しです。
私はこの映画で「母の愛」について描かれているとは思いません。
これは「人間のあざとさ」でしょう。
息子は知的障害者として描かれています。しかしそれは先天的なものではなく、息子が5歳の時に起きた事件の後処理の為に、母の故意による所業なのでは?
そう考えると、母の行動は”愛”ではない。
罪を犯した母が、その罪を隠す。
「カエルの子はカエル」であるように、息子も罪を犯す。
その事実を認めたくない母は、結局息子の罪を隠す。
最悪な悪循環です。
きっとずっと続いていきます。
「母なる証明」という題名の意味、そこには「ここ母親にしてこの息子あり」ということでしょうか。
しかし韓国の警察、ずさんだな。
そして母役のキム・ヘジャさん、ラスト近くバスのガラスに写った顔が野中広務さんにそっくりでした。
本作の結末を予想できる人を予測できる人は皆無に等しいと断言できます。それだけ意外な結末でした。
2年前のヒット作『グエムル-漢江の怪物-』をご記憶でしょうか?漢江で実際に起きた化学兵器にまつわる事件を素材に、アメリカ軍を風刺したもの。作品には風刺的要素も含まれており、韓国内で記録的なヒットしました。
その作品を監督したポン・ジュノ監督が、自身の3作目となる問題作として発表したのが本作です。
前作までの手法でも、どこかで観たような作品を決して送り出さないこだわりを監督は持つだけに、本作の結末を予想できる人を予測できる人は皆無に等しいと断言できます。それだけ意外な結末でした。
韓国のとある町を舞台に、殺人事件の犯人に仕立て上げられた息子を守ろうと、真犯人探しに孤軍奮闘する母親を描かれます。
冒頭登場する母親が茫然自失の表情を浮かべながら草原でダンスをしている不思議なシーンから始まります。このシーンが意味している母親の絶望感の訳は、ラストで明らかになるのですが、冒頭のこのシーンが本作を語る上で、とてもシンボリックなシーンであると思います。
殺人事件の真相以上に強烈なのが、主人公の母親の愛情。いくら母子家庭とはいえ、完全にマザーコンプレックスになり、気弱に育ってしまった息子をこの母親は溺愛し過ぎていました。しかし、何があっても子供を守りぬく強い信念で、息子の無実の証明のために奔走する姿には、心打たれるところも感じた次第です。母親役のキム・ヘジャは、とても自然体で素晴らしい演技でした。
まぁ、同時にそこまでやるのか!という異常な執着心も併せて感じさせてくれました。
社会風刺が映画製作のモチベーションとなっているポン・ジュノ監督だけに、今回も警察の捜査のずさんさを浮き彫りにしています。
殺人現場に落ちていたゴルフボールだけで、それを拾ったトジュンを逮捕してしまうのです。明らかに気弱なトジュンを脅して犯人に仕立て上げる刑事達の意図が見え見えでした。事件を沢山抱える刑事達は、この山をトジュンで一件落着にしたかったようです。
だから年老いた母の言い分に警察は耳も貸しません。でも社会的に弱い立場に置かれた人たちを常に描いてきたポン・ジュノ監督ですが、権力だけを悪として描いているかといえば、一概にそうとも言い切れないのがこの物語の面白いところなんです。
何が善で何が悪なのか。さまざまな登場人物をめぐり、その振り子を揺らしながら、予想のつかない展開で観客をぐいぐい引き込んでいきます。
たどり着くのは、誰ものこころの中に眠る人間の本質へと迫ります。極限まで追いつめられた状況下で見えてくるのは社会の暗面。そして明かにされる事件の真相。それは思いがけない人物と母親が遭遇することで、突然浮上します。本作が面白いのは、ここまで描かれて、観客の誰も驚く真犯人とは違う真犯人を警察は検挙してしまうことなのです。
結局トジュンは釈放へ。しかし観客は釈然としません。最後まで真犯人は誰だったか。一緒に本作を見た観客同士で思わず確認してみたくなるほど、結末は考え込ませる仕掛けになっているところが秀逸でした。
世の中と骨太に対峙し、人間の本質を徹底的に掘り下げながらも、独自のユーモアを効かせ、息もつかせぬエンターテインメントに仕上げた本作。ポン・ジュノ監督の新作が世界で待たれる由縁に納得させられる作品です。
母親の心労には、善悪の価値観を越えて心揺さぶられました。
トジュン役は、映画出演は5年ぶりとなる人気俳優ウォンビン。気弱でバカ丸出しながら、バカと呼ばれるとすぐに切れてしまう繊細な難役を見事に演じ切っていました。
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