おとうとのレビュー・感想・評価
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家族って厄介なもの… 笑福亭鶴瓶が見事に体現
山田洋次監督にとって、2010年当時、久しぶりに製作する現代劇となった。
吉永小百合と笑福亭鶴瓶が姉弟を演じるというのも、大きな話題になったことを記憶している。
公開前に鶴瓶、加瀬亮をインタビューしたが、当然ながら「家族」の話題について話すことが多かった。山田監督も口にしていたが、「家族って本当に厄介なもの。それも含めて家族だから」と。
そしてそれをそのまま体現してみせたのが鶴瓶だった。
一家にひとりは…とまでは言わないが、筆者の祖父はだいぶ暴れん坊だった。
観ると、親族の誰かを思い出さずにはいられなくなる作品である。
切ないようなもどかしいような温かさ
冒頭からラストシーンまでずっと姉に迷惑をかけ続けた弟。 よほどの忍耐が無ければこの男とはつき合えないだろうと思った。
動画配信で映画「おとうと」を見た。
2010年製作/126分/日本
配給:松竹
劇場公開日:2010年1月30日
吉永小百合65才
笑福亭鶴瓶59才
蒼井優25才
加瀬亮36才
小林稔侍
森本レオ
キムラ緑子
笹野高史
中居正広
小日向文世
石田ゆり子41才
山田洋次監督79才
吟子(吉永小百合)の一人娘の小春(蒼井優)の結婚式当日。
歓迎されない吟子の弟、鉄郎(笑福亭鶴瓶)が現れた。
鉄郎のせいで、周囲の心配した通りに結婚式はめちゃめちゃになった。
酒を飲むなと言われたにもかかわらず、泥酔したのだ。
吟子と兄(小林稔侍)は新郎側に一所懸命に謝罪し、
やっと赦された。
他にも多額の借金、空気を読めない言動の数々。
冒頭からラストシーンまでずっと姉に迷惑をかけ続けた弟。
よほどの忍耐が無ければこの男とはつき合えないだろうと思った。
これを山田洋次監督はむりやり感動物語に変えようとしたのだと思うが、
御芝居ではあるけれどもあきれたというのが正直な感想である。
満足度は5点満点で3点☆☆☆です。
悪い人間ではないが、酒とカネにだらしなく、周囲に迷惑ばかりかけてい...
優しい人に囲まれて死ねる事
笑福亭鶴瓶の若い頃からのファンだ。パペポTVが大好きで本当に笑福亭鶴瓶は天才だなと思う。
ディアドクターで見せた演技も素晴らしかったが、ずっと気になっていて見た。
笑福亭鶴瓶の役柄は、本人そのままのようなキャラなんで、ちょっと演じる側も可愛そうなような、どう演じてもおとうとではなく、笑福亭鶴瓶になってしまう部分がミスキャストのようには思った。ただ良い伝わる演技だった。
吉永小百合の演技は何回かみたが、吉永小百合は常にどんな役柄でも吉永小百合なんだなと感じた。吉永小百合も演技なんだろうが吉永小百合そのもののような感じだ。それはそれで良い感じ。
酒を飲んで迷惑をかけたり、借金をつくったり、親族からも煙たかがれる存在の、てっちゃんだが、憎めない温かで楽しい人間。
人間なんて誰しも短所長所もっているもんで、テツオと付き合うのは親族としては大変な部分もあるかもしれないが、姉がいて、めいが居て、認知症の母がいて、みんな理解してくれていて、良かった。
最期をホスピスで迎えるが、ホスピスで働く小向文世や、石田小百合の演技の温かく優しい言葉が見ていて嬉しかった。なかなかこんな施設もないような気がする。
吉永小百合にてつろうが、私はあなたが居たから寂しいことなんてなかったよ、と伝える、てつろうが、おおきに、と姉に言ったところで涙が溢れた。小春に最後にかけつけた。愛される人たちに囲まれて死ねること、それは幸せなことに違いない。
吉永小百合の旦那がてつろうに娘の名付け親になってもらうくだり。良かった。旦那が懐の深い情に厚い人でそのエピソードだけなのに存在感を放つ。
細かいことはいろいろあるが、一つ思うのは、小春が小さなときのてつろうと姉との場面なども話の流れからは見たかったかな。
こんな中途半端な作品が山田監督の実力であるわけがない
厳しい
山田洋次監督のファン
とうよりも信奉者です
それでもこれは厳しい
まるで監督が名前だけを貸して新人監督に撮らせたのではないかと疑ってしまうほど残念な出来映えでした
終盤になってようやくなんとか持ち直した
それでも物語が最後に収束していくのも、見事というよりはあざとい、こざかしい
これ見よがしだ
一言でいうと脚本がまるで練れてない
いつもの監督なら5割以下の脚本の完成度合いで撮ってしまったように思えてならない
山田監督は本来こんな程度ではない
テーマが散漫で焦点が定まっておらずフラついている
視点もフラついている
構成も時系列で並べただけだ
鉄郎の臨床シーンから始まり、倒置法で小春の視点から物語を語るとかの構成を山田監督なら普通選択してくるはず
何の工夫もなく漫然と撮るわけがない
主人公の吉永小百合の演じる吟子の台詞も全く練れてなく、まるでト書きのようだ
ただでさえ微妙な彼女の演技が余計に微妙さを増してしまっている
見ていて辛かった
今は遠くの街に住んでいた十代からの友人を自分もホスピスに見舞いに行ったことがある
その4日後に亡くなった
その経験を思い出した
良い題材だったと思うだけに本当に残念
ホスピスのこと
誰からも期待されないおとうとのこと
年老いて邪魔扱いされる義母のこと
小春と吟子の親子のこと
本当の山田監督ならこれらを全部かき混ぜて高いレベルで統合した物語に昇華させる力があるはず
こんな中途半端な作品が山田監督の実力であるわけがない
踏みつけてきた
抱えきれないような近親者をどのように社会が抱えることができるかという問いかけ。現政権の自助・共助・公助という言葉もあるが、小日向文世が都合よくいてくれて良かったではなく、そういった役割に社会が報いることができるか、自らがそうなれるかという点に集約される。
吉永小百合の存在が絶対的であり、芝居としてのバランスが微妙であるが、こういうのがスターらしさかとも恐れ入る。しかし、130万は払っていけないと思う。
ちょくちょく顔を出す加藤治子のコメディ演技にニンマリ。最後の回収は見事。鶴瓶は達者であるが、流暢すぎて売れない役者には見えないという難点もあった。
冒頭の上流階級云々のくだりは極端で安直。大工・加瀬亮のあげ方も平凡に感じた。
ホスピスで死ぬということ
ピンクのリボンがやっぱり印象に残るけど、この民間経営のホスピス「みどりのいえ」がとてもいい。生活保護などの支給金額内で面倒みるといっても、医者も雇ってるんだし、ボランティア精神がなければやっていけない。石田ゆり子がそのままそこの従業員に同化している感じだったし、笑顔で送ることができる精神も素敵だった。
夫を早くに亡くし、昔ながらの薬局を経営する高野吟子。一人娘の小春の結婚式から始まる物語。冒頭に寅さんの映像もあるし、佐藤蛾次郎も出演していることから、市川崑監督『おとうと』と山田監督自身の『男はつらいよ』を足したような雰囲気。これで笹野高史が運転手として出てきたら『釣りバカ日誌』まで足したような映画になったに違いない。
ダメな弟、いつまでたっても迷惑をかける鶴瓶。兄の小林稔侍からは縁を切るとまで言われたけど、鶴瓶の作った130万円の借金をなけなしの貯金を叩いて返す健気な姉の吉永小百合。さらには捜索願まで出すという姉弟愛に涙してしまう。
ストーリー的には蒼井優の結婚、離婚といった筋が中心となり、近所のアイドル的存在だったことや、大工の加瀬亮と仲良くなっていく。“大工の嘘”という言葉も新鮮だったし、「離婚してヤッターって思った」なんてのも印象的。仮定の話、山ちゃんと離婚したらヤッターと思うファンもいるのかもしれませんね・・・
市井の人々
さらにしつこく山田洋次監督作品で。 すぐ前に書いたレビュー、蒼井優...
さらにしつこく山田洋次監督作品で。
すぐ前に書いたレビュー、蒼井優のチャリから始まりびっくり(笑)
小百合様の美しさは神がかり。年齢的にはややきつい役のはずだが違和感を感じさせない。
鶴瓶もはまり役ですね。だけど、こんな差のある姉弟はありえない(笑)
もちろん蒼井優もいい感じ。だが私には若き石田ゆり子が魅力的。つぎの神がかりは彼女ですね。
この映画、テーマが悲しすぎた。正月に見る作品ではなかった。最後の加藤治子まで悲しすぎる。
こんな費用のかからぬホスピスってどのくらいあるんだろう。父親をかなり強引に入院させられたので、私的にはホスピスにはいいイメージがない。さて私はどこで終末を迎えようか。
やっぱり正月に見る作品ではない(笑)
●みどりのいえに救われる。
好きだなあ。この映画。ほっとする。山田洋次と吉永小百合。いいなあ。もちろん鶴瓶も。舌をぺろっと出す蒼井優もステキだ。
冒頭の時代描写。微妙な家族同士の距離感。日常の悲喜こもごも。ふとした一場面に郷愁。家の散らかり具合。小鳥のさえずり。商店街のムラ社会。THE 昭和。家柄の違い。真面目な姉と奔放な弟。みどりのいえに救われる。
クライマックスそのままに終わらないのがいい。笹野高史と森本レオが韻を踏む。加藤治子がつぶやく一言。こんなステキなラストシーンはなかなかない。
ぜんぜん知らなかったけど、もともとは市川崑監督の大映映画(1960)なのね。幸田文の小説(中央公論社版)の映画化らしい。
ストーリーは全然ちがうらしいけど。
酒に飲まれるオッサン(笑)
蒼井優のナレーションでおとうとを紹介してくれるのだが、「全く成長しない」に笑わされてしまった。
結婚式のシーンも良くできてる(笑)
ど演歌を台詞付きで歌い上げ、席をひっくり返して、皆が「あ~~」と顔を押さえるシーンはこちらも恥ずかしくなるほど(笑)
ラストはV字で終わってしまうが、余裕のない社会でなくてもあんな身内は中々面倒みきれないよね。
つるべ
とにかくホームドラマ
とにかく山田監督は、笑わせるのが上手ですね。若者から年配の方までが心から笑わせることのできる監督は日本にはいないのではないでしょうか。内容はごく普通のドラマ。もっとぎすぎすしたストーリーにしたほうが良かったのではないかと思う。きれいすぎるというのは、当たり前の日常を描いたからなのかもしれません。俳優が監督の指導通り、きちんとやっているというのがなぜかわかるような映画になってしまっているような感じがした。とても演技力のある俳優陣がたくさん出ていたが、何か生かせなかったような感じがするのは私だけだろうか。鶴瓶は、あまりにも自然過ぎていいのか、あるいは我々が鶴瓶はもともとこういう人物である(酒のみで酔っ払い)というイメージがあって、なんだ、ふだんどおりじゃないか、がっかりといったようなことがあるのか、この辺が難しいところなのではないかと思う。姉が弟を思う気持ち、私の周りにもこういう人がいるが、まさしく同じことをしている。あほな弟ほど、弟が可愛いのでしょう。
「おとうと」なのか「寅さん」なのか、どちらに近いのか興味があった。
こういう映画いいと思う。
刺激的なエピソードや、大掛かりなCGや3Dで驚かしたりする物が多い中で、身近な生活のささいな面白さとか、感動する人情噺みたいなものを追求していくものがあってもいいと思う。
でもこれは簡単なようで、一番難しくて、山田監督ぐらいの大監督にならないとできないような気がします。
内容的には、題名どおり「おとうと」に近いのか、「寅さん」に近いのか興味があった。
見たけど、「おとうと」ではないように思う。
銀残しではないし、似ているのは最後のリボンのところくらい。
「寅さん」でもないと思う。「寅さん」はほとんどファンタジーだけどこれはリアル。
出演者が出ていたり、映画のシーンが挿入されているけど、イメージが違う。
やっぱり一番似ているのは前作の「母べえ」かな?
「母べえ」の鶴瓶さんのところエピソードが面白そうだったので、映画にしてみたら「おとうと」みたいになってしまったんじゃないかな?
でもいい映画だった、「母べえ」よりいいと思う。
一番よかったのは吉永小百合さんです。本当にぴったりの役だった。
一分の隙もないいい人で、すごく優しい。
異様に若くてきれいで、生活感はまるでないんだけど、こんなお姉さんいたらいいだろうなと思った。
でも現実だったら、悪いのはこのお姉さんだと思う。
こんなお姉さんがいたら、誰でも、やんちゃして、心配かけて、めちゃくちゃ甘えたくなると思う。
過ぎたるは及ばざるがごとしで、一見鶴瓶さんが一方的に悪いみたいだけど、被害者的面もあると思う。
関係ないけど、山田洋次監督は大好き。
最近の初詣は、葛飾帝釈天で、寅さん記念館から、山田洋次ミュージアムに行くのがパターンになった。
役者が光る
豆腐屋が豆腐を作り続ける尊さ
元々山田洋次監督の作品は好きなので、本作も無難に満足。
まだ日本の何処かに居るであろう温かな人情劇は、寅さんもそうだが、どうしても僕の胸に響く。
よく山田洋次監督の作品を、古臭いだの、新鮮味が無いだの、アンチ意見も多いが、昔ながらの伝統芸を作り続ける事は大事。
実際、今、松竹には、山田洋次監督のような作品を継承出来る人材は居ないし、もし山田洋次監督がお亡くなりになってしまえば、その伝統芸は途絶えてしまう。
そういった作品があるからこそ、ベストセラー小説・漫画・TVドラマの映画化が氾濫しても、今の日本映画界は何とかバランスが保たれていると思う。
なので、僕は山田洋次監督の作品は支持するし、最新作「東京家族」も楽しみだ。
本作「おとうと」は何と言っても、鶴瓶師匠の存在あってこそ!
型破りな鉄ちゃんが居て、笑わせ泣かせ、ストーリーにいいメリハリがついた。
寅さん以降、最も寅さんに近い、駄目人間なんだけど何だか憎めないヤツ、である。
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