レスラーのレビュー・感想・評価
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生きることに不器用だったとしか言えない。
<映画のことば>
「でも心臓は?」
「高鳴っている。」
「医者が…。」
「俺にとって痛いのは外の現実の方だ。もう誰もいない。」
「いるわ、私が。それでも?」
「ほら、あそこが俺の居場所だ。」
生業が、人気の浮沈があり、年齢を重ねれば体が衰えてしまうことは必定のプロスポーツであったことのほか、何とか糊口を凌いていたところを、心ないスーパーの来店客から、かつての自分(と今の自分との落差)を指摘されてしまえば、尚更のこと。
決してランディが狭量であったとは思いませんし、飲み込むことができなかったのも、無理からぬことと思います。
それだけに、切ない思いを拭うことができません。
結局、家族との関わりも含めて、彼自身が生きることに不器用だったと受け止めることしかできませんでした。本作を観終わって、評論子は。
懐かしい役者の好演技が光る
おー、久しぶりだ。ミッキー・ロークとマリサ・トメイ主演、懐かし過ぎて思わず鑑賞。
ミッキー・ロークは「ジョニー・ハンサム」、マリサ・トメイは「忘れられない人」以来か。実に懐かしい!
ミッキー・ロークは役作りもあってか別人でびっくり、マリサ・トメイは全然若々しくお変わりなくてびっくり。
ストーリーは想像通りベタ系ゆえ30年前を懐かしみながらのんびり鑑賞していたが、期待をはるかに上回る2人の体を張った迫真の演技には心底びっくり。演技力の多寡は別として2人の役者魂には感服でしょ。
台詞少な目、音小さ目の終始淡々とした枯れ感が、本作のテーマを効果的に盛り立てる。
個人的には尻切れトンボ的ラストシーンは程よい余韻を残し、本作を更に印象的なものにした。
ミッキーロークの鍛え上げられた身体美。 切り裂かれ痛めつけられた肉...
ミッキーロークの鍛え上げられた身体美。
切り裂かれ痛めつけられた肉体から流れ出る流血が生々しい。
もがき傷付いてなお、自分がやりたいことに戻って、生きたいように生きる。人生讃歌。
良い映画だが、プロレスも人生ももうちょい楽観的でよい
当方しっかりプロレスファン。リアルタイムの映画館鑑賞に続き、13年後に再びアマプラ鑑賞。
映画を見て、プロレスの裏側公開、晩年のプロレスラーの辛さ、リアリティーはもちろん感じ取れて、フィクションというよりドキュメンタリーを見ているような映画の風合いやミッキー・ロークの演技はもちろん素晴らしくて胸を打ったんだけど。
プロレスファンだから思う感情だって事を分かった上で言うけれど。
事実は概ね合ってます。合ってますが、現実のプロレスラーは、特にインディー選手なんかは皆、それはそれとしてポジティブに生きてこうや、ってなってますよ!
別に、病気なら休みますし、バイトは全然精を出してこなしますし、身体が使えないなら使えないなりの企画を考えて世の中をタフに生き抜いてます。それが、今の時代のプロレスラーなんです。いい映画なので言いますが、言うほどプロレスラーは鬱な存在じゃないです!笑
…とは言ったものの、タイミングとしては、日本公開は本当にちょうど、三沢光晴の命日と同日なんですよね。ある種この映画のようなキャリアでは合ったと思うのですが。因果な商売ということは感じずにはいられないですね。
ロッキー級のベタな大傑作
かつてのスターレスラーが落ちぶれて、一人娘には見放され、場末のストリッパーに心を惹かれ、病気で一旦引退して、一念発起してリングに上がる、ベタベタなストーリーです。
が、傑作です。感動します。男の子向きですが。
なぜなら
・ローク選手のハマりぶり
・かつて二枚目スターで低迷の既成事実
・手持ちカメラを多用したリアリズム
・ヘビメタやスプリングスティーンの絶妙なタイミング
・脇役女優の輝き
・無駄のない話の運び
ですが、
何といってもプロレスに対するリスペクトにあふれています。
プロレス見直しました。
【”孤独な哀愁漂う落ちぶれた中年レスラーの、”自己の存在意義を確かめるための”最後の戦い・・” どうしても主演のミッキー・ロークの俳優人生と重ねて観てしまう作品でもある。】
ー ミッキー・ロークと言えば「ナインハーフ」である。
NY、ウォール街で働く超美形の生活感のない”ヤッピー”男を演じた姿が、中坊であった私にとっては強烈で、ドキドキしながら観た目隠し&氷を使ってのSEXシーンは、”いつか、ナインハーフごっこをしたいなあ・・”などと、悪友たちと、TVにかじり付いて見たモノである。
おバカである。
その後、ミッキー・ロークは作品に恵まれず、映画業界からも完全に忘れられていた。
そんな状況のミッキー・ロークを主演に迎えたダーレン・アロノフスキー監督制作の今作。ミッキー・ロークの実人生に基づき、あてがきしたようなストーリーに魅入られた作品である。
ミッキー・ロークは今作出演のために、大幅に増量し、筋トレ、レスリングの基本技も習得したという記事を読んだ記憶がある。(違っていたら、申し訳ない・・。)
今作は、所謂、役が俳優に憑依する映画の一本であると思っている。ー
◆感想<Caution 内容に触れています。>
・1980年代に、一世を風靡したレスラー”ランディ・”ザ・ラム”ロビンソン(ミッキー・ローク)が、寄る年波に勝てず、田舎町のレスリング上で戦う姿。
ー ”え、あのミッキー・ロークなの?”と思ってしまった程の、大きくなった筋骨隆々の体格。血だらけの格闘戦の数々・・。初鑑賞当時には、有刺鉄線デスマッチ当時の大仁田厚かと思ってしまった程である。ー
・台詞でも、”80年代ロックは良かった。ガンズ・アンド・ローゼスなど・・。それが、ニルヴァーナが出て来た90年代ロックは最低だ・・”などと言っている。
ー どちらも1980-90年代ロックの雄でしょう!ミッキー・ローク自身の栄枯盛衰を語っているようである・・。ー
・試合後に心臓発作を起こし、それがきっかけで、長年疎遠になっていた、娘ステファニーと漸く和解していくシーン。それをサポートする行きつけのストリップバーの幼き息子を育てるキャシディ(マリサ・トメイ)との友情と、それでも越えられない一線の描き方の巧さ。
そして、自分のだらしなさ故に、娘ステファニーに再び、“お払い箱”になってしまう。リングに戻る事も出来ずに、慣れないスーパーのお惣菜コーナーで働くランディの姿。
ー 一瞬であるが、娘と和解し思い出の海岸沿いの遊歩道を歩く姿や、廃屋で二人で踊るシーンは、沁みるなあ・・。ー
□”俺の生きる場所は、リングの上しかない!”と気付いたランディが、スーパーを辞め、ガンズ・アンド・ローゼスの”スウィート・チャイルド・オブ・マイン”が大音量で流れる中、リングに登場するシーン。物凄く、盛り上がる。
<ラスト、心臓の不調を感じながら、コーナーポストのトップに立ち、20年振りの因縁の相手アヤ・トーラー(彼も又、試合中にランディを気遣う言葉を掛けている・・。)に向かって飛翔した瞬間、アンディの脳裏を過ったモノは何であったのであろうか・・。
「ナインハーフ」の記憶がある中、今作を鑑賞すると、実に沁みます・・。>
「レスラー」あらすじ感想
かつてプロレスの世界で華々しく活躍していたランディ・ラム(ミッキー・ローク)。
いまや体力の限界で、薬に頼りながら週末は小さな興行に参加、平日はスーパーで勤務しながら生活しているが、トレーラーハウスの家賃も払えない有様。
そんなある日、心臓発作を起こし、2度とリングに立てないと宣告される。
ないがしろにしてきた家族との関係、シングルマザーのストリッパーとのどうにもならない関係。
そんなすべてに背を向けて、死を覚悟してラムが向かった先とは。
整形しすぎてよくわかんなくなっちゃったミッキー・ロークが、筋肉ムキムキだけど、肌つやとか髪の毛とか、やっぱり歳は隠せない感じの落ちぶれたレスラーを演じてるのが、なんかリアルすぎる!
シングルマザー役のマリサ・トメイの体を張った演技も見事。
そこにも年を重ねた哀愁が漂ってる。
リング以外では、本当にダメダメであんまり共感できないんだけど、こんがらがってにっちもさっちもいなくなってから、ああどうしよう…気づくってことあるよね、とちょっとだけ同情。
俺にとって痛いのは外の世界だ
あそこが俺の場所だ
そんなラムのセリフにどうしようもない孤独感が表現されてるよね…。
誰しも年を取るけれど、プロレスとかスポーツの世界や、見た目を売りにして生きる世界は、まざまざと厳しい現実を突きつけられるんだろうな。
年を重ねることで、うまく生きられるようになれればいいのに、と思う。
盛者必衰
一世を風靡した者が落ちぶれていく映画なんてたくさんあるんじゃないか、と思ったけど、こんなに分かりやすく描いた映画はあまり自分の記憶にない。
ミッキーローク自身を投影したんじゃないか、と言われてたこの映画。今では先人たちの反省を活かして色んな教訓が溢れているのか、決して浮かれることのない真面目な成功者が多くなったイメージがあるけど、ホントにアホかって言いたくなるくらい、だらしない情け無いダメな主人公。だけどつい応援したくなってしまう。
ほんの一瞬だったけどカーステレオから流れたCinderella のDon’t know what you got till it’s gone 。
この一節が全てを物語っている。
哀しい
かつての顔をおぼえていると、違和感をおぼえる俳優がいる。
老化のせいではなく、いじったばあいだ。
きょうび、昔と違って、老いに罪の気配がある。
だから、人に見られる職種は「劣化」に抗ってみようとする。
いじり過ぎて、その容貌魁偉が、かえってもてはやされた創始者はMロークではないだろうか。
ダリルハンナもいじって顔が怖くなってそれを武器にしている。
そんな俳優がこれからも少なからず出てくると思う。
不思議なもので、いじると誰もがJocelynWildensteinに似てくる。
画一的に同じ方向へ近づく。
大好きだったデニスリチャーズにもその傾向が見られた。ワイルドシングスの彼女はパラダイスのフィービーケイツみたいにバイラルだったが、ボトックス感が露わである。
もっともわたしは整形した俳優に好感をいだいている。
老いに対抗しようとすること、あるいは、崩壊を止めようとして崩壊するというペーソス、そこには人間味がある──と思っている。
この映画はMロークぬきには成し得なかった。
アロノフスキーもかれが整形ジャンキーであるからこそ起用している。
ハリウッドの栄華からボクサーへ転身し、出戻った。
整形を繰り返し、かつての甘いマスクはどこへやら。
理想と現実のはざまを彷徨ってきた、やんちゃなMロークの美しい成れの果ての姿が、わたしを打つ。
映画の完璧なフォルムとあわせ、この映画のことを思うと、とても胸苦しい。
場末で往年のレスラー仲間とサインに応じるシーン。
客足はまばら。
見回せば老い、老い、老い。
残酷でかなしくて美しい。
老いてなお、ではなく、老いてからの時代を築く俳優は稀だ。Mロークはこの映画だけでそれを築いた。本人がどう思っているか知らないが、もう何も思い残すことはない──そんな映画だと思うがAshby(2015)も良かった。はれぼったい顔に生きざまがある。
マリサトメイは私にとってはいつまでもいとこのビニーの人だが、Mロークとは真逆の意味で完全に生き延びた女優だ。
老いてもナチュラルできれい。
人造老いのMロークと合わせたキャスティングは慧眼だと思う。
完全に名画だと思います。
哀しくもリアル
まるで期待せずに観始めたが、思いの外引き込まれた。主人公は、かつては一世を風靡したが、すでに峠を越え、世間には忘れられかけているロートルのプロレスラー。ステロイドの打ちすぎで身体はボロボロ、家族とも疎遠で、アルバイトで生計を立てている。ある日、心臓発作に倒れ、医者からレスラーとして復帰は無理と言われてしまう。生活を見直して、家族との絆を取り戻そうとするが…所詮は付け焼き刃。将来への不安もある。ただ、自分はプロレスにしか生きる場所、逃げ込む場所がないことを思い知る。タフガイを気取りながら、どうしようもなく弱く、人好きのする1人のレスラーをミッキー・ロークが見事に演じ切った。
眠さ先行、ストーリーそこそこ
ミッキーロークの作品を初めて見ました。
なので、過去からの思い出補正なしで率直な意見をあげると、演技は良い。が、それを活かすためのストーリーが陳腐、に尽きます。
娘に対する主人公はあまりに酷い人間ですし、ヒロインが惹かれるのも理解できず、劣化版ロッキーといったところでしょうか。
序盤の仲間と買い物しているシーンはお茶目でコミカルで好きです。
泥臭く熱い生き様に涙する
個人評価:4.2
ピークが過ぎたレスラーと、同じ様に年を重ねたショーガールを対比させ、自分にとっての生き場所を描く人間ドラマ。
ストーリーはとても分かりやすく、目新しさは全くないが、ミッキー・ロークの人間味のある演技と、ブラック・スワンを作り上げたダーレン・アロノフスキーの演出が、とても素晴らしい作品に仕上がっている。
ミッキー・ローク完全復活。これからももっと色んな作品で活躍してほしい。
老けたなー
ミッキー・ロークが完全にレスラーになりきっている。
昔の色男の風情しか知らなかった自分にはすごい衝撃。
ランディがレスラーであり続けるのは何故か。
嘗ての人気レスラーの悲哀をリアルに描いた「傑作」。
ただ全体的に淡々としていて盛り上がりに欠ける。
娘との散歩、最後の試合前のやりとりが良かった。
人気レスラーだったランディも、今ではスーパーでアルバイトをしながら...
人気レスラーだったランディも、今ではスーパーでアルバイトをしながらかろうじてプロレスを続けている。そんなある日、長年に渡るステロイド使用がたたりランディは心臓発作を起こしてしまう。妻と離婚し娘とも疎遠なランディは、「命が惜しければリングには立つな」と医者に忠告されるが……。
全54件中、1~20件目を表示