レスラーのレビュー・感想・評価
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すごくよかった
イオンのシネパスで久しぶりにスクリーンで見た。上映が午前中のため、朝から侘しい気持ちになった。
かつてのスターレスラーが自身の加齢と時代の推移で負け犬的に表現されていて、実際慎ましい暮らしぶりだったり、試合のギャラも大した額ではなさそうであったのだが、しかしオレはプロレスラーにかつて強く憧れた時期があったため、それでもやっぱりすごい人なのは間違いないという敬意を抱いており、落ちぶれていたとしても惨めには全く感じない。スーパーのおじさんやトレーラーハウスの大家がランディを雑に扱っているのを見ても、よくできるな!と逆に感心する。
確かにダメ男映画なのかもしれないのだが、心底ダメな男とはやっぱり見ることができない。
ハードコアの試合がすごかった。試合をしていない時も常に声をもらして苦しそうに息をしている感じがつらそうだった。
侘しい気持ちになって帰り道蔦屋に寄ってガンズ・アンド・ローゼスのCDをレンタルした。
ミッキー•ロークの肉体美
選手生命を絶たれたレスラーを描いているが、自分が歳をとったらということも考えずにはいられない。
試合のシーンはかなり痛々しいが、逆に言うとそれだけリアルなのだろうか。
最後の試合は、それに加えて死ぬのではないかという緊張感もある。
あえて結末までは描かれていないが、想像させられるという意味でもかなり印象的な終わり方。
娘も観戦に来てくれるかもしれないと思ったが、結局縁切りのままになってしまったのは救われない。
プロレスファンです
哀しい、そして素晴らしい。
猫パンチ・・・
この映画を観て、なぜか松本人志の『大日本人』が好きになった。
良い映画です。
「リングという職場、プロレスラーという労働者」をみられる前半、
ランディという生き様の役柄と、ミッキー・ロークという役者の生き様のオーバーラップがみられる後半。
選手の葛藤や成長、因縁という背景を知った上で観れば、プロレスの試合が単なる大男のドツキ合いではなくなるように、
ミッキー・ロークの役者人生という背景を知った上で観れば、この『レスラー』という映画が単なるフィクションドラマではなくなる奥行きを持った作品でした。
自分にとっての“リング”とは何なのか、考えながら観るのもいいかもしれませんね。
ただこの映画を観終わった後、なぜか松本人志の『大日本人』を好きになりました。意外と似ている作品のような気がしますね。
ブラックスワンとあわせてみてください。
芸術、創作、表現活動におけるエクスタシーのようなものがよく描かれていると思います。一見かっこよく描かれがちなこういう感情ですが、実際にそういう人たちは別にかっこいいわけではなくて、それ以外の生き方ができない場合も多いです。たぶんブラックスワンと対で作られたんじゃないでしょうか?レスラーが最終的には、「リングの上でしか生きられないどうしようもない俺」というエクスタシーにたどり着くのに対して、ブラックスワンはプレッシャーと恐怖で生と死の狭間で狂気にも似た芸術の孤高の世界に触れるという到着地点だったと思います。その辺の芸術に対しての意識の違いはもしかしたら男女差が大きく関係しているような気がします。多くの女性作家は「あっちの世界」にタッチして帰ってくる。男性作家は創作の喜びの罠に果てしなくはまっていく。。。。
そんなことを考えさせられました。
プロレス好きは複雑かも…
自分の中高の頃の友人はプロレスマニアが多かった。自分は興味は薄かったが情報だけは入ってきてた。
この映画を観て、その頃の友人達を思い出した。
肉体を鍛え上げたミッキー・ローク。漂う雰囲気も完全でレスラーにしか見えない。
この映画はプロレスの裏の姿、バックステージを見せてしまう。
試合の段取り、薬漬けな肉体、人数のまばらな販売会場。 引退後の辛い生活や家族との軋轢。
そして復帰して試合に臨む姿。
何度も何度も引退と復帰を繰り返す実在のレスラーを思わせる。
プロレスに夢を感じてる人は見ないほうがいいかもしれない。
レスラー幻想をぶち壊すほどリアルで世知辛く、そして沁みる映画だ。
レスラー…80年代男の哀愁
プロレス好きなら当然知っている名作「レスラー」。ミッキーロークがかつての名声を取り戻した作品。
最近、地上波初放映だったんで録画しといた。
くだらない番組が多い中、たまに深夜でいい映画やってるので嬉しい。
ロークと言えば、ナインハーフでは色気出しまくりで氷を使った技…頂きました。
そして、タイソン戦の前座での猫パンチ…。
以降、映画界では話題にもならなかったが、この作品で男の情けなさと哀愁を見事に演じた。
ストーリーは、かつての伝説的人気レスラー、 THE RAMが、落ちぶれドサ回り。ドーピングの影響で命の危機を感じる中、別れた娘との愛、魅かれるポールダンサーとの恋を掴みかけるが、小さな幸せを捨て、仲間とファンが待つリングを選ぶ…みたいな古い漢のドラマ。
まあ、プロレス知らない人、若い世代には分からない世界かもしれない。
モデルとしては、WWF時代のサベージや今のHHH辺りなんだろうが、華やかな世界の陰と、ローカルなインディプロレスやロートルの哀しみも赤裸々に描く。
知ってはいるが、これがアメリカンプロレスの現実。ハードワークの中、レスラー同士リスペクトし合い、怪我しないよう助け合う。
相撲も似たような世界はあるが、陳腐化した言葉になってしまったが、ガチンコを残す日本の格闘技界の一部とは対極の世界。
ただ、テーマは現代に居場所を失う80年代の男の哀愁だな。
台詞の中に「80年代は良かった。GUNSやモトリークルー…。でも、90年代は最悪、グランジが出てきた…」みたいなのがある。
俺はハードロックも、ニルヴァーナのグランジもスラッシュも両方聞いて、好きな世代だが、時代の変化について行けない、ついて行かない人はいる。
あゝ、でもニルヴァーナのライブを観る前にグランジのカリスマは90年代の社会に潰されたわけだ。
で、流れる曲はAC/DC、RATT、何故かブルーススプリングスティーン。ツボはまりまくり。
今も現役バリバリのバンドも多いし、単純で分かりやすいいい時代だった。
でも、90年代、湾岸戦争後だが、志向が多様化、細分化し、アメリカを一つにまとめるものがなくなったんだな、分かりやすいヒールとベビーフェイスの闘うリング以外には。
で、ラストの伝説の試合のリマッチ。
ロートルの試合に観客が集まるローカル会場。
一度は求愛を拒絶したが、ラムの心臓を心配し会場へ車を走らすポールダンサー。
試合を辞めて、と叫ぶが、ロートルレスラーは俺の居場所はあそこだ、とリングに立つ。
そこで流れる入場曲はGUNSのsweetchild O mine. で、ズルッ。
まあ、いい曲だが…哀愁ないよ。
リング上で観客にロートルレスラーのプライドをマイクで語る。自分を選んだ女への決別でもある。
愛する娘、女を捨て、俺を待つファンの見守るリングのトップロープから決め技ラムジャム!
てなシーンでFIN。
結末は観てる人次第か。日本なら泣きながら男を待つ女と勝利の後に愛の抱擁…
エイドリア~ン って、今更ロッキーは、ない。
あれは時代の流れについて行けない古い男の死へのDIVEだな。
自分を唯一受け入れる安住の地への逃避でもある。
そして、俺には最高にかっこいい男の結末。
男の悲哀と誇り
総合:80点
ストーリー: 75
キャスト: 85
演出: 80
ビジュアル: 70
音楽: 75
それほど優れた物語でもなかったのだが、登場人物の演技と演出が真に迫っていて良い映画だった。かつての栄光の日々と、何もかもうまくいかずそれでも誇りだけは捨てきれない現在の状況。自ら蒔いた種で家族も失い、彼にとっては死ぬ以上に大事なことは、最早唯一リングに上がることだろう。その思いが実にうまく描かれていた。
ミッキー・ロークって売れていて調子に乗っていた絶頂期よりも、辛酸を舐めてから深みが出たようにも思える。「レイン・メーカー」なんかもそうだった。本人の人生と役柄がかぶる落ちぶれた役だが、もちろんそれを意識した上での出演だろう。歳のわりに体も素晴らしく鍛えられていたし、素晴らしい体当たりの演技だった。ストリップ・バーの女性と娘の演技も良かった。
これこそ映画です。
名優ミッキー・ロークが映画界に完全復帰した!
超一流のレスラーのピークは短い。
ステロイドで体を壊し、重なるツアーで家庭は崩壊、
だがそれでも殆どの選手が夢を追い続けて、節々の痛みに耐え、
薬をのみながら毎日、リングに上がる。
プロレスならオタクレベルの自分がみても
この作品はプロレス業界をリアルに描いています。
細かい描写やギミックがいっぱい。
思わず、ニヤリ・・・
話は変わるが日本のレスラーでリングに専念できる選手は一握りだ。海外でも多くの選手がドサ周りでわずかな報酬しかもらえない。そして多くの選手がステロイドの影響で亡くなっている。
その悲哀に満ちた元スパースターを体を張って演じている
ミッキー・ローク。
彼は自分自身に重ねてこの役を本当に自分のものにしている。
(なりきっている)
※アイアンマン2の悪役なんてこの演技にくらべたら全然大したこと無い
それほどこのレスラーと言う作品は素晴らしい。
思い出したがロッキーファイナルの悲哀とかぶります。
あの作品も商売女が彼女だったけっけ・・。
少しだけ注文があるのはラスト。
きっちりとしたエンディンがの方が良かったのにね。
レスラーよ!戦え!
本編を観る前は昨年のアカデミー賞・主演男優賞は「フロスト×ニクソン」のフランク ランジェラに行くべきだったと思いました。しかし、今作の本編終了後完全に考えが変わりました。もう何と言うか彼が本編で演じているプロレスラーの魂が彼にそのまま乗り移ったようでした。この役はきっと彼のような俳優人生を送ってきた人でないと演じる事が出来ない。そんな役だったのではないかと思います。
主人公は引退直前の中年レスラー・ランディ。
彼はある小さなプロレス団体に所属していたのですが、ある事件がきっかけで別な職を探さなければならない状況へと追い込まれてしまいます。同時に本編では彼と一人の女性ストリッパーとの恋愛模様や離れて暮らす娘との関係にも話にも触れています。
注目はミッキー ロークを初めとする俳優陣の演技とリアルな作品の世界観そして、ストーリー展開です。ミッキー ロークの演技については冒頭で述べましたのであまり言いませんが、とにかく凄いです。体作りから台詞回しまで完璧でした。特に娘に自分の思いを伝えるシーンがあるのですがあれには本当グッときました。もちろん脚本がいいと言われればそれまでですが、ミッキー ロークが言うからこそあれだけの説得力があるのではないでしょうか?正直、最初はあまりランディというキャラクターは好きではありませんでしたが、最後の方はもういつの間にか応援していました。それから、ストリッパー役のメリッサ トメイの限界を超えた演技も見所で、なぜ彼女がストリッパーという職業を選ばなければいけなかったのかがポイントです。あっ、もちろん彼女が実際に脱ぐシーンもあります。しかもそれが妙にリアルで余程研究してあそこまでの完成度に仕上げたんだと思います。本当に驚きました。そして、ランディの娘役のエヴァン レイチェル ウッドは「サーティーン」の時のキャラとあまり変わっていませんが、なかなか良い味を出していました。
それから、リアルな作品の世界観はお見事でした。さすが、「レクイエム フォー ドリーム」を作った監督だけあって彼のリアリティーへのこだわりを感じました。プロレスの試合運びはもちろん、誰もが知りたいような裏幕もしっかりと描かれているのが好きでした。インディーズ系作品の匂いがプンプンするような雰囲気の中であれだけのリアル感はさすがです。そして、ストーリー展開もお見事!特に娘との関係が意外な結末を迎える辺りが好きでした。
しかし、残念ながらこの作品には1つだけ大きな弱点がありました。詳しく言うとネタバレになるのであまり言いませんが、単純に言うと“そんなに簡単に復帰できるの?”という事です。それ以上は言えません。
しかし、多くの男性陣には共感できる物語になっていると思います。
是非、観てみてください。
不器用
ミッキー・ロークってこんなんだっけ?
でも、確かにハマリ役。
プロレスができなくなって、これまでの生き方を変えて、家族との和解、地味な仕事をしようとしても、それまでの生活・知名度・人生の全てがそれを許さない。
かつ、本人もやはりその世界でしか生きられなくなっている。
仮にリングの上で死んだとしても、違う(本人にとって)惨めな生活を送るより遥かに幸せなのかも知れない。
プロレスの世界は極端にしても、結局長年生きてくると、その生きられる世界が限られてくるというのは万人に共通な気がする。
男の生き様
負け犬版ロッキー
2008年アメリカ・フランス合作映画。109分。今年16本目の作品。本作の監督、ダーレン・アロノフスキーにはかなり昔に悲惨な思いをさせられました。それ以来、この人は極度のスランプに陥ったらしく内心とても喜んでいました。
内容は;
1、かつて一世を風靡したレスラーも今では完全に下火で、老体に鞭を打ちながら安上がりのプロレスに出ている。
2、しかし心臓発作に襲われ医師から引退を宣告される。
3、引退する主人公だったが人生は空回りの連続、そこにビックイベントのオファーが来る。
電話をかけるときは近くの公衆電話からで平日は派遣日雇い労働者をしながら毎日がギリギリの生活。そして憂さ晴らしにストリップバーに行き、お気に入りにの女の子を口説くことに一生懸命。
学もなければオツムもない。でも一つだけ人生をかけて一生懸命やってきたものがある。それだけで、この主人公はただのオッサンとは一味も二味も、実は違う。
このただならぬオッサンは人生の幸福を片手さえ差し出せば手に入れることができた。それでも、それが出来なかった。もう愛だの幸福だのが何なのか分らなくなるまでに、彼は自分のことが嫌いで嫌いでたまらなかったのでしょう。
大人になりきれなかったことが彼の人生に重くのしかかっていたのです。そして、わたくしにもそういう所があるので観ていて同情を超えて辛いものがありました。これが男の性というものなのでしょうか。
かつて大スターだったミッキー・ロークが何の違和感もなくこの役を演じているだけで本作は素晴らしいものになっています。
観てよかった映画でした。
でも、やっぱりこの監督さん嫌いです。
悲しすぎる男の人生・・・
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