劇場公開日 2009年10月24日

「この映画の主題は何だろうか」沈まぬ太陽 Cape Godさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5この映画の主題は何だろうか

2013年3月16日
PCから投稿
鑑賞方法:TV地上波

難しい

総合:70点
ストーリー: 60
キャスト: 80
演出: 70
ビジュアル: 50
音楽: 65

 なかなか壮大な話であるしそれなりに面白い。だが一人の男の生き様の話なのか会社組織の話なのか焦点がぼやけているようにも感じるし、また主人公側からの一方的な見方になっているように感じる。渡辺謙が劇中で不条理や腐敗に立ち向かえるのかといえば、あまりそのような機会はない。

 主人公の渡辺謙に対する理不尽な待遇、その代わりに会社でうまく立ち回る三浦友和の会社人としての二人の生き方の違い。会社内部での腐敗の問題。航空事故とそれに対する応対。会社の建て直しの問題。全てのことは1つの会社でのことであり関連があるとはいうものの、必ずしも互いに強い関連があるわけではない。少しそれらを詰め込みすぎて、この映画の一番言いたかった主題は何だったのだろうと思ってしまう。

 また渡辺謙の生き方を中心に据えているとは思うのだが、会社やその他の立場にも主張はあっただろうと思う。彼が組合代表として会社の業績など無視して要求だけ通すというのに、私は必ずしも賛同できない。またそれが直接安全につながるというのにも賛成できない。そうじゃなくても日本の航空会社の社員は良い待遇を得すぎて会社を圧迫していると批判が強い。そのような人物を危険と会社がみなすのはやむを得ない部分はあるのではないか。
 私は山崎豊子作品は「白い巨塔」「華麗なる一族」の2つしか読んだことがなく、この作品は実は読んでいない。しかし彼女の作品の特徴として悪い人は自分の野望のためには手段を選ばぬ悪の存在、主人公は不器用で自分の信じる道を行くというのがあるように思える。だがそのあたりが白黒はっきり立場を分けすぎているように感じるし、この作品もそのような傾向があるように思う。

 それから飛行機のCGは正直残念。この作品の質は全体的に悪くないのに、この映像が出てくるところだけいきなり安っぽくなってしまった。

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Cape God