沈まぬ太陽のレビュー・感想・評価
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長い
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主人公の渡辺謙は同僚の三浦友和と航空会社の労働組合を仕切っていた。
やり手で正義感の強いの渡辺は、会社に不利な条件も次々に飲ませた。
一方、どこか煮え切らない友和はそんな渡辺にコンプレックスを持っていた。
が、一本気するのが災いし、渡辺は海外に飛ばされた。
詫び状を書けば許されるのだが、仲間を裏切りたくないため書かなかった。
一方友和は仲間を裏切るような行動で会社に取り入って大出世する。
そこへ日航機事故が起こり、会長が変わったことで渡辺は国内復帰。
また為替や先物の不法取引も発覚し、対応に追われる。
被害者のことを第一に考えようとする渡辺は、会長からも認められる。
が、結局政治的な力により会長は辞任という形になる。
渡辺に依然劣等感を持ち、恐れている友和は渡辺を再度海外へ飛ばす。
終いには友和の娘の縁談を潰すといったような脅しまでかける。
が、結局密かに使っていたスパイ社員が自殺したことで全てがバレて逮捕。
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サラリーマンってのは本当に悲しい。
自分が正しいと思うことばかりやっているわけには行かない。
友和は最悪なことばっかりやるが、これが現実というものだろう。
友和はきっと根は悪い人間ではないと思う。
また自分のやっていることに納得行ってもないだろう。
でも自分のため、どうしても犠牲にしなくてはならないものもある。
特に1980年代当時は今よりもっとそういう色が濃かったのだとも思う。
反面、渡辺のようにそれを受け入れずに生きる人間も多かったのだと思う。
今の世のサラリーマンは右へ倣え的な人間ばかりだが、
権力に反発して波風を立てないのもサラリーマンの技術だ。
情けないけどね。
肝心の映画の感想は、「長い」。ちょっと長すぎるんじゃないのかなあ。
結局最も首長したかったのは渡辺と友和の対比なんだろうと思うけど、
他にも特に重要でないクダリも多かった気がするなあ。
長い作品だが、見応えはあった。主人公の恩地が遺族担当をしながら組合...
長い作品だが、見応えはあった。主人公の恩地が遺族担当をしながら組合委員長時代、外国左遷時代が描かれる。後半、会長の命の下再建の為に動く姿が描かれる。作中、国見会長や恩地が遺族の為と何回か言うが、遺族との事は、少しずつ。TVの方が遺族との事をよく描いていた。
山崎豊子の超大作の映画化。 映画に全て収めるにはちょっと無理ありか...
山崎豊子の超大作の映画化。
映画に全て収めるにはちょっと無理ありか。
それぞれが薄く見えてしまっている感じもするが、あらすじ的に観るにはいいのか。
ラストがあっさりしていて物足りなさはあるものの、航空機事故の痛ましさや遺族の気持ちが痛烈に伝わってきました。
原作未読だったため、原作を読んでみたいなと思います。
冒頭から辛い。
2023
20本目
あのジャンボ墜落事件を軸にストーリーは構成されており、会社の腐敗、国の癒着問題などなど盛り沢山な問題に立ち向かおうとする一社員の話。
冒頭のシーンから、もう辛い…
あの飛行機に乗らなければ…
あの時間の航空券を買わなければ…
出張を断っていれば…
そんな後悔を抱え、生きていく。
その辛さはやはりご本人しか分かるわけが無い。
そんなご遺族達に向き合いながらも、誰1人の心を癒す事はできない。
そんな中でも、
明日を迎え、また生きる、生きてしまう。
ご遺族達は明日を約束された夕日はどう見えるのか。
長い映画だが、骨太映画で見応え充分でした。
原作が凄いだけにしょーがない…。
自分には珍しく原作が先で鑑賞。
かなり『はしょった』内容だったが、あの山崎豊子さんの原作を1本の映画で描くのは無理があるので、しょーがない。
その中でも良くここまで作ったと思うし、俳優陣も良かった。石坂浩二、三浦友和、松雪泰子等好きな俳優ばかりで、特に渡辺謙は流石だとおもった。
御巣鷹山の悲劇があってもなお、変わらない腐った某会社に後味悪いけど、どこまでホントの話なのか!?
遠因
第33回日本アカデミー賞最優秀作品賞受賞作。
"金曜特別ロードショー" で鑑賞。
原作は未読です。
実話を元にした、骨太な社会派超大作。日航機墜落事故を題材に、信念を貫いて大企業の悪しき体質と戦い続けた恩地と、友を裏切って会社の中で伸し上がっていく行天の対比と対峙が壮大なスケールで描かれていて、とても見応えがありました。
本作鑑賞時は高校2年生だったので、日航機墜落事故があったことは知っていましたが、当時の出来事の壮絶さを、あくまでもフィクションなので脚色されているとは言え、まざまざと見せつけられたことがとても衝撃的でした。
社会人になり、現場工事の監督をしているのですが、本作で描かれたことが他人事では無い業界に身を置いている今振り返ると、また違った視点で本作を捉えることが出来ました。
事故には直接的な原因があり、その検証も今後の教訓として大切ですが、事故の遠因であろう出来事から始まるストーリーによって、起こるべくして起きた事故・人災であることが明らかになり、大企業の傲慢さと持つべき責任の重さに迫ったドラマに引きつけられるものがあると思いました。
大根役者と思っていた三浦友和の悪さと弱さ見せる演技が素晴らしくて、驚かされた
原作の良さを活かした、なかなかスケールの大きな映画であった。左遷というけれど、アフリカまでとは。そのしつこさや闘う姿勢が米国映画風で、アフリカの大自然捉えた映像も印象的だった。
若松節朗監督による2009年公開の角川制作の日本映画。脚本は西岡琢也、撮影は長沼六男、配給は東宝。
重厚な物語だけど、楽しみどころがよくわからない
3時間の長編で非常に重厚な物語でした。見ごたえは十分にあったんですが色々な話が散りばめられているので、話の主題がよくわかりませんでした。
描きたいものが、主人公の半生なのか、生き様なのか、家族の絆なのか、日本航空の経営再建の話なのか、権力闘争なのか、不正問題なのか、労組問題なのか、御巣鷹山事故なのか。あっちへ行ったりこっちへ行ったりで、結局どのテーマをメインに映画を観ればいいのかわかりませんでした。長編小説を短い(と言っても3時間ありますが)時間に収めようとしたせいでしょうか。これは小説で読んだ方が満足感が高いんだろうなという印象です。
主人公にしても、不当人事で海外勤務を命じられて苦しい思いをしたことになっていますが、その海外では、門付きの立派な豪邸に住んで、休日にはハンティングを楽しんでいる様子。全然苦しそうに見えなかったんですよね。もっと危険が隣り合わせの日常だったり、過酷な住環境、労働環境だったりすれば見方も変わったんでしょうが。日本に残った労組仲間の方がよっぽど辛そうでした。
実話を元にしているのか。 それなら仕方がないが、正直者が馬鹿を見る...
実話を元にしているのか。
それなら仕方がないが、正直者が馬鹿を見るし、悪がすっきりと裁かれない話で観ていてもやもやした。
3時間12分の超大作はちょっと疲れた。
三浦友和が悪役を演じるのは珍しいのでは。
実話を元にしてるだけに引き込まれます
原作はもちろん、演出演技美術など全ての総合力がすごい映画だと思いました。
どんな企業不祥事にも、組織的な関与があるのだと思わされます。
映画を客観的に見れば、誰の役のようになりたいと思うものですが、すごく難しい。
正義を貫き自分に正直に生きようとすると、現代社会は生き辛いものなんだと。
ただただ、自律飛行ができる組織に変わっていることだけを望むだけです。
「沈まぬ太陽」が意味するものとは
白い巨塔、華麗なる一族、不毛地帯
どれも巨匠山崎豊子の不朽の名作です
そしてその映画化された作品もまた日本映画の至宝と言える作品ばかりです
本作もそれに連なる名作であることは間違いの無いことです
某航空会社とそのジャンボジェット機墜落事故が物語を中心になっています
しかし本作の真のテーマは違う所に在るのだと思います
本作の原作は1995年から1999年にかけて週刊誌に連載されました
つまりバブル崩壊が誰の目にも明らかになり、単なる不況ではない奈落の底に転落していくものなのではないのかと思い出した年から、その奈落の底にどんどん転落していき、恐慌の一歩手前
いやあと半歩で地獄の釜の蓋が開く
そんなところにまでいった年まで
その全期間を通して連載がなされたのです
国民航空とはナショナルフラッグです
つまり日本そのものを象徴しているのです
その国民航空という会社を通して日本のバブル崩壊とそれに翻弄される国民そのものを描いているのだと思います
だから「国民」航空という名前になっているのです
その原作の意図を監督はよく捉えて、そこに絞り込んで映画化されていると思います
沈まぬ太陽とは何か?
赤い夕陽
日本経済の斜陽、それが夕陽
しかし沈まない
それは決して沈ませることはできないのです
でも太陽は必ず沈むもの
一日の寿命があり、また翌朝東の空に蘇って昇るものです
そこには矛盾があります
だから無理なものを無理やり生き延びさせているということです
それは国民航空のことであり、当時明らかになってきた不良債権、巨額負債の巨大企業のことでもあります
主人公の恩地や行天達はその国民航空の矛盾の中で翻弄されているのです
テレックス、今の電子メールみたいなものです
その電文一枚で海外赴任が命ぜられます
自分も海外こそ有りませんが国内をFAX一枚で転勤を繰り返したものでした
新婚早々新生児を抱えて見も知らぬ土地に行ったことを思い出します
赴任先ではまず人間関係をと毎日飲み歩いて午前様でした
どれほど妻は心細かったことでしょう
次の任地で子供達が小学生に育った頃、また遠く離れた標準語と方言の違う地方に転勤しました
子供達にも、友達とはなれ離れにさせ、標準語で生意気だといじめられ、苦労をたくさんかけてしまいました
単身赴任も長くやりもしました
理不尽な左遷も経験しました
本作程のことはなくても、誰しも経験のあることことだと思います
鈴木京香の演じた恩地の妻りつ子の台詞は心に突き刺さるものでした
そしてバブル崩壊は、どんな一流会社でもリストラに追い込みました
どんどん営業成績が落ち込んでいくのを、あの手この手で、身体を壊す程働いて食い止めてきた社員を会社は大規模なリストラを断行せざるを得ないところまで行ったのです
そのとき社員の心に、日本人の心に何か起こったでしょうか?
アフリカで子供達とサッカーに興じて倒れ込むシーンはその見事な映像表現であったと思います
壊れてしまった会社への信頼、忠誠心、親しみ
今までの価値観
それらが総て崩れ去ってしまったのです
アフリカの地平線を見たときそんなものどうでもよくなったのです
それこそが本作の映画化のテーマになっていると思います
渡辺謙の演じる恩地は正にそのテーマに沿った演技であり見事だったと感嘆しました
沈まぬ太陽、アフリカの夕陽は二度画面に登場します
一度目は冒頭のタイトルバックで、二度目はエンドロールでです
そして一度目のものは赤い夕陽が逆転した日の丸のようにハッキリと写されます
そしてエンドロールの夕陽は雲が掛かって丸い太陽は見えないのです
本作が公開されたのは2009年10月
その前年2008年リーマンショックという世界的経済危機が起きました
バブル崩壊はなんとか切り抜け、巨額の不良債権問題、ゾンビ企業といわれた巨額負債の大企業にもメスがはいり、その処分に目処もついて景気もようやく上向く気配が出始めて来た矢先でした
当時、自分は毎週のように新幹線で東京大阪を行き来していましたが、それまで満員だったのがみるみるうちに客車が空っぽになったことを覚えています
欧米諸国の金融機関は恐慌になりかけており、日本にも確実に波及すると身構えなければならなかったのです
バブル崩壊の時の悪夢がまた繰り返されるという予感がしていたのです
そして2009年
その年8月の総選挙で政権交代が起こったのです
冒頭の巨象が恩地のライフルで眉間を撃ち抜かれて倒れるのはこのことを象徴しているように見えてきます
もちろん原作にあるエピソードで、このシーンをCGで作り上げて挿入するほど大事な意味があります
それが不思議なことに妙に現実と符合してしまっているのです
今度こそ沈まぬ太陽が沈んでしまうかも知れない
その最中に本作は公開されたのです
映画の神様の運命のいたずらなのでしょうか?
正に時節に一致した映画であったのです
また沈もうとする太陽を、無理やり沈ませないようにしなくてはならなくなったのです
本作公開以降に、世界的な超一流大企業にもかかわらず、不適切会計という粉飾事件を起こした会社、損失隠し問題が発覚した会社があり新聞の一面を騒がす騒動もありました
超一流の監査法人も、巨大株式幹事会社もそれに手を貸していたのです
あのような事件の中では、多くの行天や恩地、不正に都合よく利用された八木といった本作の登場人物と同じような人間が数限りなくいたことでしょう
その会社だけでなく日本中の会社であったはずです
自分のいた会社も然りでした
本作のような世界は本当にあるのです
太陽を沈ませないないなんて無理なことをやればこんな事になってしまうのです
精神に失調をきたしてしまう八木を演じた香川照之は見事でした
本当にあの様になってしまうのです
既視感があります
本作は某航空会社の事だけの話ではありません
日本中の会社に大なり小なり起こったことなのです
そしてこれからも起きるでしょう
本作を観たあなたが、行天になってしまうかも知れません
恩地のように辛い目にあいながらも戦うかも知れません
八木のように壊れてしまうかも知れません
某航空会社だけの物語ではないのです
日本の企業、組織で働く、私たち全員の物語なのです
モデルとなった某航空会社は本作公開の僅か3ヶ月後に倒産しました
それからのことはご存知の通り
沈まぬ太陽はないのです
利権大国日本
原作未読なので、読んでみたいと思います。世間はコロナで大変なのに、政府は利権しか頭にないと思っていたら、今作も同じでした。所詮犠牲者は犠牲者でしかない。もっと本質を突いて欲しかったので、物足りなかったです。
全部嘘ですよ、嘘話ですよ、現実を題材にしてるけど
日航墜落の話を題材にしてますが、主役の行動は全て嘘の原作で問題になりました。
倫理的に許されないと思います。
主役の人も人間のくずです、演じてる俳優も、モデルの人も。
労働組合は正義で会社は悪!という山崎豊子の誤った認識のもとに創られ...
労働組合は正義で会社は悪!という山崎豊子の誤った認識のもとに創られた残念な作品である。
大企業における実際の労組幹部というのは、ノーメンクラトゥーラ(いわゆる労働貴族)と化していて、労働者を搾取するとんでもない存在である。具体例を挙げればJR東日本の労組、JR東労組。
本作も航空機事故防止を言いたいのか日航を悪い会社だと言いたいのか労組は正義!と言いたいのか全然わからん。
なお私は別に山崎豊子が嫌いなわけじゃない。大地の子は好きだ。これは嫌い。それだけ。
・飛行機は落ちるものという思い込みがいまだに消えないのはあの事故が...
・飛行機は落ちるものという思い込みがいまだに消えないのはあの事故があったから
・冒頭では何回も泣いた
・恩地と行天の関係だけじゃなく全員の人柄がくっきりしだしてから、敵味方が分かった
・豊子は本当に偉大だ
確かに大作やわ。メンズデーの\1000では申し訳ないくらい。 初め...
確かに大作やわ。メンズデーの\1000では申し訳ないくらい。
初めて途中で休憩っていうのを経験した。
3時間半。長いだけではなく、内容も濃かった。
てか、山崎豊子さんの小説って、白い巨頭もそうだけど、会社などの組織と、それに立ち向かう正義感のある一匹狼。その構図多いね。
なんでもそうだけど、組織は大きくなればなるほど身動きとれなくなるんだよね。それを痛感させられた。
カラチ→テヘラン→ナイロビ→事故処理係→会長室→ナイロビ。
この転勤の仕方は確かに異例中の異例に思える。
まだ就航してないところや僻地への赴任は実質左遷だけど、それが逆に強さや信頼につながってくるのかもしれない。
出演陣かなり豪華。豪華すぎて、どんどん出てくる役者さんの役柄が飲みこめないことがあった。2回くらい名前のテロップ欲しいかも。
中途半端
大きなスケールを感じられる映画。
しかし日航機の事件を扱いたいのか汚職を扱いたいのか
人間ドラマなのか、どっちつかずで、どのテーマも掘り下げが不十分。
心情描写は細やかさが足りずツッコミどころが多いし、
社内政治や労働問題は浅くさらっているだけでリアリティがない。
まあこういう、広く浅くどこをとっても80点な作品がウケるんだろうけど、
スケール感がある分、惜しさを感じた。
《沈まぬ太陽》とは
《沈まぬ太陽》とは何だろう。
巨大な企業の全貌か?
それとも主人公が見せる不撓不屈の精神か。
あっさりとしたサンドイッチも良いが、たまには油ぎったぎったな天丼も食べたいもの。
途中で休憩を含めて約3時間半。ずっしりと重い内容で、決して満足出来る出来では無かったものの、「映画を観た!」とゆう満足度は高い。
軽い映画が氾濫する昨今、これだけ重厚な作品はなかなか製作されるのが難しい状況の中に在って、貴重と言える。
山崎豊子の原作は未読です。あまりの分厚さに恐れをなしてしまったのが実情。
実際に起こった日航機ジャンボ墜落を題材に、フィクションで肉付けをした壮大なテーマな訳ですが…。
監督が、以前『ホワイトアウト』で原作をボロボロにした若松節朗となると心配も増して来る。予想通りと言うべきか、作品中に「ん?」と感じる場面が数多く存在したのだが…何分にも原作未読の為に『ホワイト…』の時の様な、はっきりとした事は言えない。
決して弱音を吐かない主人公《恩地元》と、元同僚《行天四郎》。
この袂を分かった2人を対象として描く事で、観客は次第に感情移入して行く事になる。
渡辺謙も良いが、個人的には圧倒的に三浦友和の人物像に軍配を上げたい。
残念なのは昔の日本映画には、これだけの壮大なテーマを支える俳優陣には事欠かなかった。
例えれば佐分利信や山村聡を始め片岡千恵蔵:月形龍之介。ほんの小さな脇役でさえも小沢栄太郎:加東大介:山茶花究etc.…。綺羅星の如く名前が挙がる。
この作品でも香川照之を筆頭に、この作品が完全遺作となった山田辰夫や菅田俊:大杉漣等の優秀な俳優陣は多い。でも重要な位置に居る何人かは明らかに力不足で、作品の重さに対してどうみても演技が“軽い”。軽すぎて悲しくなって来る。
それでも観終えた後には『戦争と人間』シリーズや、『人間の条件』シリーズ等の作品を観た時と同じ位の充実感に満たされた。実際のエピソードと重なる家族に宛てたメッセージの場面と、映画のラストで、渡辺謙が宇津井健に宛てた手紙には思わず涙が出たのが事実。
《沈まぬ太陽》とは何か?
当てずっぽだが、私には“日の丸”で有り《日本》そのものに思えてならない。
戦後の焼け跡からの奇跡的な復興。経済大国としてアジアの小国が、西洋社会と対等に色々な交渉毎のテーブルに着ける地位を獲得した事に至った努力とエネルギー。
良い事が有れば、悪い事も有る。経済的にも社会的にも良い流れ、悪い流れ…。また間違った方向に向かった時期も有った。それでも日本は前を向いて常に歩んで行く。いや世界の中では先頭集団の一員として誇り在る存在でなければならない。
そんな原作者からのメッセージが込められている様に思えてならない。
気に入らなければさっさと職場を変えては自らの地位を上げて行く。西洋的な考え方に対して、会社に忠実で終身雇用制度を“徳”と成す日本人的な犠牲的精神の尊重。
海外から見たらさっぱり訳が分からない主人公の生き様だが、我々日本人に擦り込まれているDNAの根っこの部分だけがそれを理解する。
日本人として生き抜く誇りを。
(2009年10月31日TOHOシネマズ錦糸町No.4スクリーン)
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