沈まぬ太陽のレビュー・感想・評価
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身を粉にして働いても報われない
国民航空ジェット旅客機が運航不能 になり墜落した。渡辺謙扮する国民航空社員元組合委員長恩地元らは遺族の世話役を申しつかったが国民航空は加害者という事で情報すら無かった。
日航事故の当事者も遺族も何年経っても時期が来ると辛いだろうな。特に組合関係者は会社でも扱いが変わるだろう。身を粉にして働いても報われない場合もある。組合なんてやるもんじゃないさ。熱演ではあったが、昔の話とはいえ後味が悪い展開だったね。
史実をベースにしてフィクションを重ねる巧妙な映画‼️❓
『あんたは偉い』の沈みきった大和と国営企業の最後。
僕自身の経験は、1985年8/15日に札幌へ同じ型の飛行機で行く予定でいた。怖かったなぁ。
ご冥福をお祈りします。
原作を読んでいた。大長編なので大変だった。しかし、映画は原作を割とすんなり作っていると思う。
さて、組合活動の件については、62年の時期で、しかも国営航空会社なのでよく分からないが、少なくとも、専従制度を取っているはずなので、こんな事にならないだろう。だから
作り話である。それは原作も同じ。
しかも、よりによって、その委員長がアフリカでハンターな真似事をする?
兎に角、現在の若い鑑賞者には考えられない話だと思う。戦前、戦中派世代の古い話である。僕の亡父の話では日〇国〇鉄〇でも似たような事があったと聞いていた。
まぁ、今の世代鑑賞者なら、『左遷人事でも世界一周出来るんだから良いじゃん』と思われるだろう。そのとおり。つまり、原作も含めて、寓話なデフォルメ話なのである。ひょっとすると存在した組合活動は特殊な活動で、それに対するプロパガンダ作品かもしれない。
でも、この頃はまだ製作者側も正義感を持って、もっともらしい映画を製作していたんだね。
オリ〇ピックは人を狂わす。と思う。
また、原作者がなんでこんな犯罪まがいの事を知っているんだ?と感じた。
追記
それで、あの事故は何が原因で、どこに責任があったの?
なんか、旧国営放送のドラマの様な話だね。
JAL123便の事故をベースにしたフィクション
長い
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主人公の渡辺謙は同僚の三浦友和と航空会社の労働組合を仕切っていた。
やり手で正義感の強いの渡辺は、会社に不利な条件も次々に飲ませた。
一方、どこか煮え切らない友和はそんな渡辺にコンプレックスを持っていた。
が、一本気するのが災いし、渡辺は海外に飛ばされた。
詫び状を書けば許されるのだが、仲間を裏切りたくないため書かなかった。
一方友和は仲間を裏切るような行動で会社に取り入って大出世する。
そこへ日航機事故が起こり、会長が変わったことで渡辺は国内復帰。
また為替や先物の不法取引も発覚し、対応に追われる。
被害者のことを第一に考えようとする渡辺は、会長からも認められる。
が、結局政治的な力により会長は辞任という形になる。
渡辺に依然劣等感を持ち、恐れている友和は渡辺を再度海外へ飛ばす。
終いには友和の娘の縁談を潰すといったような脅しまでかける。
が、結局密かに使っていたスパイ社員が自殺したことで全てがバレて逮捕。
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サラリーマンってのは本当に悲しい。
自分が正しいと思うことばかりやっているわけには行かない。
友和は最悪なことばっかりやるが、これが現実というものだろう。
友和はきっと根は悪い人間ではないと思う。
また自分のやっていることに納得行ってもないだろう。
でも自分のため、どうしても犠牲にしなくてはならないものもある。
特に1980年代当時は今よりもっとそういう色が濃かったのだとも思う。
反面、渡辺のようにそれを受け入れずに生きる人間も多かったのだと思う。
今の世のサラリーマンは右へ倣え的な人間ばかりだが、
権力に反発して波風を立てないのもサラリーマンの技術だ。
情けないけどね。
肝心の映画の感想は、「長い」。ちょっと長すぎるんじゃないのかなあ。
結局最も首長したかったのは渡辺と友和の対比なんだろうと思うけど、
他にも特に重要でないクダリも多かった気がするなあ。
長い作品だが、見応えはあった。主人公の恩地が遺族担当をしながら組合...
山崎豊子の超大作の映画化。 映画に全て収めるにはちょっと無理ありか...
冒頭から辛い。
原作が凄いだけにしょーがない…。
予兆と遠因
第33回日本アカデミー賞最優秀作品賞受賞作。
"金曜特別ロードショー" で鑑賞。
原作は未読。
実話を元にした、骨太な社会派超大作。日航機墜落事故を題材に、信念を貫いて大企業の悪しき体質と戦い続けた恩地と、友を裏切って会社の中で伸し上がっていく行天の対比と対峙が壮大なスケールで描かれていて、とても見応えがあった。
鑑賞時高校2年生だったため、日航機墜落事故は知っていたが、当時の出来事の壮絶さを、フィクションだから脚色されているとは言え、まざまざと見せつけられて衝撃を受けた。
社会人になり、現場工事の監督をしているが、本作で描かれていることが他人事では無い業界に身を置いている今、本作を振り返ると、また違った視点で捉えることが出来た。
事故には直接的な原因があり、その検証は今後の教訓を得る上でとても大切だが、事故の予兆や遠因はなんだったのかを知ることも同時に重要だろう。この事故は起こるべくして起きたものであり(それはある意味で人災と言えなくもない)、大企業の傲慢さと持つべき責任の重さに迫るストーリーは、現代社会に向けて多くのものを語っているように思える。
[以降の鑑賞記録]
2025/01/02:サンテレビ「新春特別ロードショー」
※修正(2025/01/02)
大根役者と思っていた三浦友和の悪さと弱さ見せる演技が素晴らしくて、驚かされた
重厚な物語だけど、楽しみどころがよくわからない
3時間の長編で非常に重厚な物語でした。見ごたえは十分にあったんですが色々な話が散りばめられているので、話の主題がよくわかりませんでした。
描きたいものが、主人公の半生なのか、生き様なのか、家族の絆なのか、日本航空の経営再建の話なのか、権力闘争なのか、不正問題なのか、労組問題なのか、御巣鷹山事故なのか。あっちへ行ったりこっちへ行ったりで、結局どのテーマをメインに映画を観ればいいのかわかりませんでした。長編小説を短い(と言っても3時間ありますが)時間に収めようとしたせいでしょうか。これは小説で読んだ方が満足感が高いんだろうなという印象です。
主人公にしても、不当人事で海外勤務を命じられて苦しい思いをしたことになっていますが、その海外では、門付きの立派な豪邸に住んで、休日にはハンティングを楽しんでいる様子。全然苦しそうに見えなかったんですよね。もっと危険が隣り合わせの日常だったり、過酷な住環境、労働環境だったりすれば見方も変わったんでしょうが。日本に残った労組仲間の方がよっぽど辛そうでした。
実話を元にしてるだけに引き込まれます
「沈まぬ太陽」が意味するものとは
白い巨塔、華麗なる一族、不毛地帯
どれも巨匠山崎豊子の不朽の名作です
そしてその映画化された作品もまた日本映画の至宝と言える作品ばかりです
本作もそれに連なる名作であることは間違いの無いことです
某航空会社とそのジャンボジェット機墜落事故が物語を中心になっています
しかし本作の真のテーマは違う所に在るのだと思います
本作の原作は1995年から1999年にかけて週刊誌に連載されました
つまりバブル崩壊が誰の目にも明らかになり、単なる不況ではない奈落の底に転落していくものなのではないのかと思い出した年から、その奈落の底にどんどん転落していき、恐慌の一歩手前
いやあと半歩で地獄の釜の蓋が開く
そんなところにまでいった年まで
その全期間を通して連載がなされたのです
国民航空とはナショナルフラッグです
つまり日本そのものを象徴しているのです
その国民航空という会社を通して日本のバブル崩壊とそれに翻弄される国民そのものを描いているのだと思います
だから「国民」航空という名前になっているのです
その原作の意図を監督はよく捉えて、そこに絞り込んで映画化されていると思います
沈まぬ太陽とは何か?
赤い夕陽
日本経済の斜陽、それが夕陽
しかし沈まない
それは決して沈ませることはできないのです
でも太陽は必ず沈むもの
一日の寿命があり、また翌朝東の空に蘇って昇るものです
そこには矛盾があります
だから無理なものを無理やり生き延びさせているということです
それは国民航空のことであり、当時明らかになってきた不良債権、巨額負債の巨大企業のことでもあります
主人公の恩地や行天達はその国民航空の矛盾の中で翻弄されているのです
テレックス、今の電子メールみたいなものです
その電文一枚で海外赴任が命ぜられます
自分も海外こそ有りませんが国内をFAX一枚で転勤を繰り返したものでした
新婚早々新生児を抱えて見も知らぬ土地に行ったことを思い出します
赴任先ではまず人間関係をと毎日飲み歩いて午前様でした
どれほど妻は心細かったことでしょう
次の任地で子供達が小学生に育った頃、また遠く離れた標準語と方言の違う地方に転勤しました
子供達にも、友達とはなれ離れにさせ、標準語で生意気だといじめられ、苦労をたくさんかけてしまいました
単身赴任も長くやりもしました
理不尽な左遷も経験しました
本作程のことはなくても、誰しも経験のあることことだと思います
鈴木京香の演じた恩地の妻りつ子の台詞は心に突き刺さるものでした
そしてバブル崩壊は、どんな一流会社でもリストラに追い込みました
どんどん営業成績が落ち込んでいくのを、あの手この手で、身体を壊す程働いて食い止めてきた社員を会社は大規模なリストラを断行せざるを得ないところまで行ったのです
そのとき社員の心に、日本人の心に何か起こったでしょうか?
アフリカで子供達とサッカーに興じて倒れ込むシーンはその見事な映像表現であったと思います
壊れてしまった会社への信頼、忠誠心、親しみ
今までの価値観
それらが総て崩れ去ってしまったのです
アフリカの地平線を見たときそんなものどうでもよくなったのです
それこそが本作の映画化のテーマになっていると思います
渡辺謙の演じる恩地は正にそのテーマに沿った演技であり見事だったと感嘆しました
沈まぬ太陽、アフリカの夕陽は二度画面に登場します
一度目は冒頭のタイトルバックで、二度目はエンドロールでです
そして一度目のものは赤い夕陽が逆転した日の丸のようにハッキリと写されます
そしてエンドロールの夕陽は雲が掛かって丸い太陽は見えないのです
本作が公開されたのは2009年10月
その前年2008年リーマンショックという世界的経済危機が起きました
バブル崩壊はなんとか切り抜け、巨額の不良債権問題、ゾンビ企業といわれた巨額負債の大企業にもメスがはいり、その処分に目処もついて景気もようやく上向く気配が出始めて来た矢先でした
当時、自分は毎週のように新幹線で東京大阪を行き来していましたが、それまで満員だったのがみるみるうちに客車が空っぽになったことを覚えています
欧米諸国の金融機関は恐慌になりかけており、日本にも確実に波及すると身構えなければならなかったのです
バブル崩壊の時の悪夢がまた繰り返されるという予感がしていたのです
そして2009年
その年8月の総選挙で政権交代が起こったのです
冒頭の巨象が恩地のライフルで眉間を撃ち抜かれて倒れるのはこのことを象徴しているように見えてきます
もちろん原作にあるエピソードで、このシーンをCGで作り上げて挿入するほど大事な意味があります
それが不思議なことに妙に現実と符合してしまっているのです
今度こそ沈まぬ太陽が沈んでしまうかも知れない
その最中に本作は公開されたのです
映画の神様の運命のいたずらなのでしょうか?
正に時節に一致した映画であったのです
また沈もうとする太陽を、無理やり沈ませないようにしなくてはならなくなったのです
本作公開以降に、世界的な超一流大企業にもかかわらず、不適切会計という粉飾事件を起こした会社、損失隠し問題が発覚した会社があり新聞の一面を騒がす騒動もありました
超一流の監査法人も、巨大株式幹事会社もそれに手を貸していたのです
あのような事件の中では、多くの行天や恩地、不正に都合よく利用された八木といった本作の登場人物と同じような人間が数限りなくいたことでしょう
その会社だけでなく日本中の会社であったはずです
自分のいた会社も然りでした
本作のような世界は本当にあるのです
太陽を沈ませないないなんて無理なことをやればこんな事になってしまうのです
精神に失調をきたしてしまう八木を演じた香川照之は見事でした
本当にあの様になってしまうのです
既視感があります
本作は某航空会社の事だけの話ではありません
日本中の会社に大なり小なり起こったことなのです
そしてこれからも起きるでしょう
本作を観たあなたが、行天になってしまうかも知れません
恩地のように辛い目にあいながらも戦うかも知れません
八木のように壊れてしまうかも知れません
某航空会社だけの物語ではないのです
日本の企業、組織で働く、私たち全員の物語なのです
モデルとなった某航空会社は本作公開の僅か3ヶ月後に倒産しました
それからのことはご存知の通り
沈まぬ太陽はないのです
利権大国日本
労働組合は正義で会社は悪!という山崎豊子の誤った認識のもとに創られ...
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