劇場公開日 2009年10月31日

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サイドウェイズ : インタビュー

2009年10月26日更新

オール海外ロケ、海外スタッフに日本人キャストで製作される日本映画という珍しい試みとなった「サイドウェイズ」。そんな本作に、女関係にだらしのない大介(生瀬勝久)に恋をしてしまう日系米国人女性ミナ役で出演した菊地凛子に話を聞いた。海外経験の豊富なオスカーノミネート女優は、日米混合の撮影現場をどう感じたのか? そして彼女自身の今後の活動は?(取材・文:鴇田崇)

菊地凛子 インタビュー
「わたしの場合は、できることなら寄り道をしたくないですね(笑)」

日本を代表する国際派女優が感じたことは?
日本を代表する国際派女優が感じたことは?

――本作は、いままで寄り道をして来なかった日本の大人たちに向けて、青春映画を提供しようというコンセプトで製作されましたが、そのことについて、何か感じることなどはありますか?

鈴木京香演じる麻有子の友人ミナを演じる
鈴木京香演じる麻有子の友人ミナを演じる

「わたしはAを選んでもBを選んでも、人生は同じ結果になるような気がします。たとえば、この映画のように、最初は何でもなかった出会いが、再会を果たして燃えるような恋になることがあるとすれば、初めからそうなる運命だったのだと思います。この映画には、人生にはそういうことがあるということを、あらためて確かめられるテーマがあるなと思いました」

――劇中では、道雄と大介がアメリカで人生の束の間の寄り道を満喫することになるわけですが、菊地さんご自身、そういう心境についてどう思いますか?

「わたしの場合は、できることなら寄り道をしたくないです(笑)。リアルの人生の中には再会劇がよくあることですし、あの時、違った選択をしていれば――と思うことはありますけど、いずれにしろ、寄り道をしなくてもいい人生になる、と思うと気分的に救われると思います。わたしは、『サイドウェイズ』を見てそう感じました。全体としては大人のラブコメで、涙を流したり笑いながら見ることができて、ハリウッドで新たに生まれ変わった作品であれだけ面白ければ、大成功だと思います」

現場では先輩俳優たちに囲まれて のびのび演じられたという
現場では先輩俳優たちに囲まれて のびのび演じられたという

――撮影現場ではスタッフのストライキなどがあったそうですが、大変ではありませんでしたか?

「わたしはストライキには慣れているので、大丈夫でした。車両部がストライキしたので、現場がストップしてしまいましたが。車両部って、一番ストライキをしますね(笑)。ストライキは放っておくものなのですが、監督は『君たちは友だちだと思っていたのに、いつまでこんなことをしている!』って怒っていました。ストライキは組合の命令なので、ある意味、仕方がないことですけどね」

――共演者の皆さんに状況を説明したりしたのですか?

「いえ。みんなで『日本じゃ考えられないよね~』って言っている横で、わたしも同じように見ていました(笑)。そもそも、いろいろなことが起こるのが映画の現場ですし、すべての人の意見を全部採り入れて撮影を進めていくわけにはいかないものじゃないですか。かといって、1人の人間の意見だけを貫くわけにもいかないし、そんなことはまずあり得ないですね。あれだけの大人数が関わって1つの作品を作っているので、トラブルが起こることは当然のことだと思います」

――生まれも育ちもアメリカというミナを演じる菊地さんを見て、あらためてキャラクターによってまったく違う顔を見せる女優さんだなと思いましたが、いつも周到な準備をされますか?

「クランクインする前には、自分なりにそれなりの準備をしますが、ミナはポジティブに前向きに生きている女の子なので、細かい準備よりも、ただ座っているだけで生き生きしているように見える、そういうエネルギーがどうやって生まれてくるのかを考えました。ミナは生まれも育ちもアメリカで、日本語が上手く話せない設定だったので、『は』『が』『の』をわざと取ってセリフを言ってみたり、そういう工夫はしましたね」

海外作品が続々待機中で、引き続き目が離せない
海外作品が続々待機中で、引き続き目が離せない

――「ブラザーズ・ブルーム」や「マップ・オブ・サウンズ・トーキョー」、そして「シャンハイ」など海外作品の新作が続いていますが、それぞれでまったく違う菊地さんの顔が見られることに期待が高まります。

「『シャンハイ』は、ジョン・キューザックさん、コン・リーさん、渡辺謙さんと共演させていただきました(『1408号室』のミカエル・ハフストローム監督の最新作。太平洋戦争直前の中国と上海を舞台にした人間ドラマ。そのほかの共演にチョウ・ユンファ)。海外での仕事は今まで想像もしなかった人たちとの出会いや出来事が待っているので、毎回刺激的ですね」

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