グラン・トリノのレビュー・感想・評価
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苦笑いです
観終えた感動と、クリント・イーストウッド最後の主演作と言う事を
聞いていたのとで、観終えた後で複雑な思いになり、なかなかレビューを
書く気持ちにもなれませんでした。
時間が経ったからと言って、良いレビューが書ける訳ではないのですが・・。
映画では苦笑いが沢山ありました。
妻の葬儀での孫の態度、町に蔓延って来たアジア系住民、ちょっと悪者?的な
日本車など。
偏屈で頑固な爺さんの姿も、未来の自分では?とちょっと思い
それにも苦笑い(^^;
特に愛車を洗車してビールを飲んでる姿は、古いバイクと自分の関係に
つい重ねてしまいました。
観て行く内に苦笑いは、主人公老人が隣人達との打ち解けていく姿で
微笑みになり、町の若者達への行動で怒りに、やがてエンディングでの
悲しみと心を打つ感動へと変わりました。
エンディングロールでは、普段映画館では感動しても、涙を我慢して
流さない私ですが、我慢できずに流れっぱなし。妻にもバレバレ・・・。
こんな素晴らしい映画を作り、役を演じるクリント・イーストウッドが
もう主演してくれないと言うのは非常に残念です。
今後監督としてか、又は違う形で映画製作に関わるのか判りませんが
次回作も楽しみに待ちたいです。
いぶし銀、イーストウッド
ジーンと胸に響きました
青白い炎、メラメラ
イーストウッドは偏屈な老人が似合う。
その偏屈な老人とアジアの異民族との交流が面白い。
スーというコミュニケーション能力抜群な
お隣りの女性も魅力的だ。
老人のアジア人に対する偏見が消えていく様が
さもありなん、と思わせる。
健全な心があれば、相互理解は出来、認め合える。
そんな心温まる交流が、一瞬にして緊張に変わる。
Cクリントウッドの作品のイメージは、いつも青白い炎だ。
それは、彼のパッションが常に本物を求め、
見掛けなどおかまい無しに、
本当のエッセンスを追い求めるからに他ならない。
この映画も、本物の感動が最後に訪れる、
これで感動できないなら、
どんなことにも感動できないかも、って
思わせるだけの、ラストだった。
10年後にはビンテージ映画となりそう
人間愛の映画
映画史上もっとも優しい衝撃のラスト
イーストウッドが作ったから支持されてるんだと思います
本日、夕方に時間までチェックして「スラムドッグ・ミリオネア」を観に映画館までいったら何と明日からの上映で、時刻表も明日からのものでした。というわけで、他のを観ようと思い迷いなく選んだのが本作。
本ページのユーザーレビューのみならず日経、映画専門各誌など本作をベタほめ状態。イーストウッド映画を結構観てきたわたくしとしては、そりゃ観ないわけにはいかないでしょう。
個人的にはあのオチは途中から想像していました。そして作品としても、内容も展開も至って普通です。ただ、キャラクター造形、そしてその散りばめさせかた、さらには設定からして、本作はそのテーマを一つに絞りにくいほどに、含蓄の富んだ作品にしあがってます。ですので、この作品のメッセージに関して批評するのは、若輩者のわたくしとしてはおこがましいことだと思うので控えさせていただきます。
本作の魅力は、なによりもキャラクター造形の素晴らしさだと思います。ほんと人間愛に満ちてて笑えます。
それでもですね、本作はイーストウッド以外が作っていたら、ここまで騒がれなかったと思います。イーストウッドというカリスマだからこそ、映画の枠組みをこえて、またはイーストウッドというスターのオブラートに包まれて、そこから評価されてるのだと思います。
わたくし的には正直これより素晴らしい映画はたくさんあると思いました。
いずれにせよ、お薦めできる映画です。
イーストウッドだからこその傑作
人種差別を背景に、頑固な老人が移住してきた東洋人たちと徐々に心が通うようになり、最後は不良グループからその家族を守る。ストーリーはありふれたものなのだが、イーストウッドが作ると、なぜか見入ってしまう作品になる。暗さを伴う内容なのにどこかあっけらかんとしたところがある。それでいて気骨を示し、しかも笑いも誘う。いろんな要素を盛り込んでいながら訴えるテーマにはまったくブレがない。
頑なに交流を拒んでいたウォルトの心を開いていくのが燐家の長女スーで、彼女の存在が大きく、ウォルトによって弟のタオが一人前の男に育っていく過程ともども作品の手堅い足回りになっている。
もちろんエンジンはイーストウッドだが、その燃料はこれまでイーストウッド自身がスクリーンで築いてきたイメージだ。イメージが固まるのを嫌う役者もいるが、彼はそのイメージを逆手にとって傑作を作り上げた。
タオとスーを守るため、最後にウォルトがつけた決着とは・・・ジーンときます。
p.s. エンドロール・・・歌はジェイミー・カラムですが、冒頭、クリント・イーストウッドの渋い歌声が聴けます。
これは、もう堪らん世界ですね。
もう積極的に自分が演じる役を探すことはしない。
いまの映画の役は、みんな若い役者向けに書かれているから・・・
アメリカからヒーローの一人がまた姿を消す。
どこか惜しみ深く切なくもあるが、その分彼は監督業としてのキャリアで続行するという。
むしろそちらのほうに意欲的である。
クリント・イーストウッド;Clint Eastwood最後の主演作(高齢の為、今後俳優活動を自粛する旨を公表した)「グラン・トリノ;Gran Torino」には50年間に及ぶ思いの集大成が込められている。
早合点しているコメントには彼の生涯で最高傑作という声が挙がっているが、それはやや褒めすぎだ。
気持ちも分からなくはない・・・とにかく「集大成」であることには変わりない。
その前にこの映画タイトルについてである。
「グラン・トリノ」とは、72年に米国フォード社が販売した「トリノ」の高級バージョンとして登場したスポーツカーのこと。
リッター1.5km、V8エンジン搭載という、今では完全に排ガス規制や安全基準に引っかかるような代物だ。
実際に第一次石油危機のあおりを受けて76年に販売を終了している。
昨今エコロジーだ何だと騒がれているから、忌み嫌われそうなレスポンスと性能を秘めたこの車を、イーストウッド扮する主人公ウォルトは長年愛用している。
面白いことにこの映画のオープニングでは、ウォルトの妻の葬儀シーンから始まるのに、当人からは至って悲しさが伝わってこない。
そんな矢先に孫娘から「いずれその車を形見に欲しい」とせがまれ、怒りを露わにするようなシーンばかりが続く。
妻の愛情も、子供や孫への親心も、すべてを喪失した男は、あまりにも冷淡で不自然だった。
葬儀の日でも、愛車を丹念に点検する変わり者。
そんな彼の姿と車との立ち位置が、あまりにも似ている。
図体ばかりデカい偏屈な老人・・・葬儀の日に涙一つ浮かべないその不自然さは、妙に演技らしからぬという感じだ。
台詞の合間から微かに漏れ聞こえるイーストウッドの自然なため息や息づかいの所作が、あまりにも絶妙だった。
188cmの長身、1930年生まれの御老体だ。
実は当人が朝鮮戦争の最中に陸軍へ入隊した経験を持つ(この主人公ウォルトも同じ過去をトラウマとして抱える)
そういえば動作一つ一つも「荒野の用心棒」の頃とはだいぶ違う。
息切れ一つも自然に出るというものだ、それらも演技の一つとして組み込んでいる。
自然と埋めているその所作は、上手く臨場感を出していた。
ただ他ならぬ彼こそが、クリント・イーストウッドだ。
マインドは「ローハイド」の血気盛んな頃と幾分も変わらぬ姿勢だ。
むしろこの映画は、そんなアウトロー気質を前面に押し出した痛快さが魅力である。
隣人のアジア系モン族の家族に次第と心を開く交流シーンもコミカルでいいが、不埒な悪人やチンピラに敢然と立ち向かう数か所のシーンにて、緊迫した雰囲気がマカロニ・ウェスタンそのものと錯覚させる。
西部劇で始まり育った人だ、その気骨さが現代劇の中で鮮やかに映っている。
「困った奴がいたら見過ごさない」という気質。
「ダーティー・ハリー」のような、決めゼリフのカッコよさにも随分こだわっている。
多少歳をとっても、正面切って敵とあいまみえるシーンは今も見劣りしない。
どうやらこういった何か定義(ここでは正義だろう)を意識し映画を撮ることが、彼にとってのライフワークのようだ。
かつてのアメリカ映画のフォーマットで、善と悪が分かりやすく、かつ心を震わせるような構成とストーリーだ。
ある意味「大味;おおあじ」ではある。
脇役のモン族少年達など、大袈裟に目立ったかなり酷い演技力だ。
しかし不思議だ。
そんな予定調和過ぎるほど大味さが、今更になって愛おしく感じられる。
登場する人物達、彼らの一人一人のことが堪らなく気になってしまう。
そういえば、フォード・グラン・トリノの70年代特有なシルエットは、巷を走る最新のどんな車よりも美しい。
俗世から離れたものだけが知る自身の極め方は、意外にも王道とも呼べる路線を踏みつつ、それを躊躇せずやりとおす頑固さにあるのだろう。
ラストはいかにも、イーストウッドらしいケリの着け方だ。
哀愁と正義感に心が打ち震えた。
男の退き際、人生の終着点、そこで如何に過去と決着をつけるか?
その背中を誰に見せるべきか?
実は男ってものは深くって、単純じゃないってことだ!
ラスト泣けました。
すごい・・・
イーストウッドの映画をリアルタイムで観られる喜び
円熟
一言で表現するとしたら、男の背中の一生分を表現したような作品。
そう感じました。
正直、絶対観ようと思ってた映画ではなかったものの、他の方のレビュー通り観て良かった映画でした。
近年のクリント・イーストウッドはウチのジイさんをいつも思い出してしまうほど見事な頑固ジジイぶりで、真剣に粋がって生きて、歳をとって丸くなった部分と(作中のジイさんは丸くなった部分はほぼ皆無だったけど)さらに頑固になった部分と、衰える体力を気力と経験値で補いさらに孤高の存在に…、そんな大きな温かい背中を感じさせてくれるかっこいいジイさんが見事にハマっていた。
ベトナムの移民の人の話など全く予備知識もゼロだし、悲惨な犯罪やアメリカの治安のおっかなさが描かれながらも、見終わってみるととても清々しい涙を流した感じで帰途に着けた。
派手なアクションやどんでん返しはないものの、なかなかの良作でした。
いろんな人に観てもらって、感じ考えて欲しい内容でした。
よかった!!
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