路上のソリストのレビュー・感想・評価
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【統合失調症の路上生活者の天才ソリストと、L.A.タイムス記者の交流をL.A.の社会的問題を絡めて描いた作品。ジェイミー・フォックス、ロバート・ダウニーJr.の自然体の演技が沁みます。】
■L.A.タイムス記者、スティーヴ・ロペス(ロバート・ダウニー・Jr)はある日、無心に2弦のバイオリンを奏でる路上生活者・ナサニエル(ジェイミー・フォックス)と出会う。「美しい音楽を奏でる音楽家がなぜ路上で暮らしているのか?」
ナサニエルとの交流を綴ったスティーヴのコラムは大反響を呼ぶのだが、スティーヴは更にナサニエルの様々な環境を変えようと努力する。
◆感想
・実話が元であることが、エンドロールで分かるのであるが、観た感想としてはお互いに人生に行き詰っていた男をジェイミー・フォックス、ロバート・ダウニーJr.が自然体で演じている所が良かったと思う。
・スティーヴ・ロペスは、ナサニエルを路上生活から脱出させようとするが、それがナサニエルを精神的に追い詰める姿。
ー 彼の頭の中で、様々な誹謗中傷の声が流れる。-
<スティーヴ・ロペスが、ナサニエルを上から目線で見ていた事に気付き、彼に対してナサニエルさんと敬意をもって接するところから、事態は好転していくのである。
今作は、L.A.が抱える路上生活者の多さや、失業問題なども絡ませつつ、二人の男の絆を描いた作品なのである。>
実話ベース👏
良いお話です👍
やはりジェイミー、ロバートの素晴らしさあってこその作品🙌
監督のジョー・ライトはのちにウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男において、2018年アカデミー賞でゲイリー・オールドマンの主演男優賞、辻一弘のメイクアップ&ヘアスタイリング賞を受賞した🎉
施しと恩寵との対比
個人評価3.6
贖罪や偏見やプライドなど、動物では感じる事のない感情をテーマに物語を描くジョー・ライト。今回のテーマは恩寵。神の恵みや愛を指す言葉だが、人間が人間対して行う施しと恩寵を対比させ描いていると感じる。
人間の100%無償の善意は存在しない。なんの見返りを求めなくても、そこには天国へ行けるかもしれないという、神からの見返りが存在する。無償の善意、恵みとは神だけの行為である。
主人公の記者は無償の善意とは言えないが、与えられる側のソリストのホームレスの感じ方の違いに葛藤する。
そして施しはやがて「一番助けてほしい時に、すぐに駆けつけてくれる友」という寄り添った善意へとカタチを変えて行く。それは恩寵や恵み以上に人間にとって大切な行為と感じる。
大変興味深いテーマだが、以前のジョー・ライト作品とは違い、ハリウッド制作の一流スターを起用しての物語なので、監督独自の孤高のテーマに邪魔なパッケージと感じる。
映画としては間延びする時間も多く、キャラクターも愛すべき存在になっていないので、人にお勧めする程ではない。
同監督であれば、まずは「つぐない」をお勧めする。
統合失調症は難しい
実際に連載されているコラムを元に映画化。
LAタイムズの記者と、路上生活をする元チェロ奏者との交流を描く。
個人的には、心に響く作品ではありませんでした。
まぁ何にしても、統合失調症の人との付き合い方は難しい。自分はこうと思ってても、その人にしたら別の認識や世界観がある。付き合うなら、覚悟を持って付き合わないとね。
しかし、ジェイミー・フォックスは難しい役を見事に演じてました(^^)b
精神疾患のホームレスは音楽院に在籍していたほどのチェロ奏者。 新聞...
精神疾患のホームレスは音楽院に在籍していたほどのチェロ奏者。
新聞記者がそれを記事にし、世間の話題となる。
精神を患い、家族が自分を殺そうという妄想からホームレスになるが、なかなか復帰できない。
過剰な演出をせず、実際の話を丁寧に描いている。
姉が弟と再会したときの「大変だったね」が何年もの重みを感じた。
結構難しい。
何故人は人を助けようとするのか。相手を自分より不憫だと勝手に決めつけ、無理やり自分の枠にはめようとする。そして それを自ら善行と解釈する。大まかに言えば、この不可解さに主人公が気づいていくストーリー。
本当に必要なのは神としての救済か、友としての助けか。
難しいメッセージなだけ、映像として作り出すにはスタッフもキャストも大変だったと思う。その証拠に中盤はほんとに退屈というか作品に入り込めなかった。
助けようとするが・・・
ロバート ダウニーJr.とジェイミー フォックス2大スター競演だけあって期待はしていました。そして、本編が始まってから30分くらいまでは素晴らしい作品だったのですが、その後は話が堂々巡りし始め最後はあっさりと片付いてしまったといった感じでしょうか?本当に残念でした。
主人公はロスアンゼルス タイムズの記者スティーヴン。
ある日彼は公園(?)でバイオリンを弾いているホームレスの黒人男性ナサニエルと出会う。彼に話を聞くと昔ある有名な音楽学校に在籍していたという過去があることを知ったスティーヴンは調査を開始。その後ナサニエルが本当のことを言っているのを知り、様々な方法で彼を今の生活から抜け出すための手段を探ろうとするのですが・・・。
注目はロバート ダウニーJr.の演技と前半30分のストーリー展開。特にロバート ダウニーJr.の演技は見ものでクソ真面目で心優しい新聞記者を熱演しています。まさか「アイアンマン」や「トロピック サンダー~」と同じ人とは思えませんでした。彼の演技のレパートリーの多さに驚かされました。それから、始めの30分くらいまでの展開はお見事といった感じです。あのままの展開で言ってほしかったのです。
しかし、良いところはその位でしょうか?ジェイミー フォックスの演技は何となく「レインマン」のダスティン ホフマンのモノマネでしかなかったように感じました。「レイ」や「エニイ ギブン サンデー」のときのような演技と比較しても6、7割くらいの程度の力しか出していなかったように思います。それから、音楽もそれほどインパクトがありませんでした。「路上のソリスト」というからには何かあるのかと思いきや特に何もありませんでした。
それから、1番大きな問題は前半30分以降のストーリー展開です。流れを簡単に纏めますとまず、スティーヴンがナサニエルに対して“君を助けたい”と言わんばかりにある提案を出しナサニエルはとりあえずスティーヴンの指示通りに動いてみるのですが、その後ナサニエルがパニックを起こし“もう、イヤだぁぁぁぁぁ”といって混乱。その流れがラスト10分くらいまで続きます。そして、ある日突然奇跡のようなものがおき気づけば、ハッピーエンドみたいな感じです。その流れに気づいた時もう椅子に座っているのも限界でした。そもそもナサニエルがなぜ、ホームレス生活を送らなければならなくなったのか一切描かれていません。その辺りもしっかりと描いてほしかったです。
まあ、ロバート ダウニーJr.ファンは満足内容だと思いますが、それ以外の人はどうなんでしょう?レンタルで十分といった感じです。
中々考えさせられる作品です。
ロサンゼルス・タイムズの有名コラムニスト、スティーヴ・ロペスが書いた実話の映画化。昨年公開されたとき、行くか行くまいか悩んだ結果、行かなかった作品。再度公開しているところがあり、やっぱり行けばよかったなぁと思っていたので、見てきました。
ロバート・ダウニー・Jrが、著者スティーヴ・ロペスを演じています。彼は、『アイアンマン』だったり、『シャーロック・ホームズ』だったり、この所注目の作品に、どちらかと言うとマッチョな役柄で出ていますが、この作品では一転、人気のコラムニストという文系の人物を演じています。現代的な人気のコラムニストと言うのは、こう言う感じなんですかね。
ジェイミー・フォックスも当然素晴らしい演技をしています。統合失調症と言う難しい役柄ですが、非常に上手いと思いました。
さて、この作品を見て思ったのは、極めてアメリカ的と言うことです。スティーブは、ナサニエルを“救おう”として、色々と(スティーブの視点では)手助けをしているのですが、これが結構、ナサニエルに拒絶されています。事の原因はコミュニケーションが成り立っていないということだと思います。つまり“救い”になっていないんですね。これって、こう言うと怒られるかも知れませんが、アメリカが世界のいろんな紛争に出ていっても、現地ではあまり(全く?)歓迎されないという事と重なって見えてしまいました。これはつまり、アメリカが紛争解決に出ていっても、『アメリカは正義だ。だから、正義に従え。』と言うスタイルで解決を図ろうとするために、現地のニーズや考え方に合わず受け入れられないという事なんだと思うんです。スティーブとナサニエルの関係も同じ構図で、スティーブが『これが正しい』と思うことであっても、ナサニエルに取ってみれば『正しくない』と言う事。一般市民のレベルでこういう事が起きているということは、国としてのアイデンティティがそう言うマインドセットなんでしょうね。最終的に、スティーブとナサニエルは和解していますが、恐らくスティーブは、何が良くて、何が悪かったのかは判っていないでしょうね。
さて厳しいことを書いてしまいましたが、基本的には実話を映画化しているので、必ずしもハッピーエンドでは有りません。しかも、ナサニエルが路上生活を始めた理由や、路上生活のきっかけとなった(と思われる)統合失調症発症の理由も明らかにはなりません。この辺りに、若干の不満は残りますが、結構、見させる作品でした。
同じ実話ベースでも
同じ実話ベースでも、「幸せの隠れ場所」のように
そんなにうまい話はね~だろ~
と突っ込みたくなるほど、お話がパッピーハッピーといかないところがよいです
アンダーパスから地上のビルへパーンアップするなど映像も凝っていますし綺麗でした
コンサートリハーサルを聴くシーンはスクリーンセーバーが動作してしまったかと
思いました これは頂けない
ホームレスになる人たちは、福祉行政が必要な人が多いと改めて感じました。
みんながホームレスにならなくてよい社会の仕組みがないとだめですよね
あと1歩。
ロバート・ダウニー・Jr.も良い映画にも出てるのね。実話という能書きで、映画に説得力が出てくるのだけれど、それにしてはもう一つ、押しが足りないような感じでした。でも、社会問題提起にはなると思います。
手
きっかけはなんであれ、
この人のために動きたい、という想いは誰にだってある。
それが本当にその人のためになるのかどうかは、
そのときには気付けないもの。
相手を想うとはどういうものなのか。
考えに考えて、
芽生えてきた答えはシンプルだったりする。
多少、あらゆる問題が詰まりすぎていたけれど
それはリアル故だと思う。
じわりと温かさを感じる。
作者からのメッセージが伝わってこない
米ロサンゼルスを舞台に巧みな構図で魅せる、ただ一点を除いて・・・。
ナサニエルがオーケストラの旋律に聞き入るシーンだが、まるでメディア・プレーヤーの視覚エフェクトさながらの描写は芸がない。しかも長い。
ヘタに泣かせようとせず、淡々とふたりの交流を描いていく点には好感が持てる。ロバート・ダウニー・Jr. とジェイミー・フォックスの演技力が光る。
それでも物足りなさを感じるのは、事実に捕われすぎて映画作者本人の解釈が伝わってこないからだ。弦の震えを感じない。
神の祝福を得た天才は、俗界の雑音に畏れおののき、信じられるものは美しい旋律とそれを生んだ偉大な音楽家たちだけ。そんなありふれた解釈で見られる作品でよかったのか?
事実を踏まえた上で、ひとつの作品として映画ならではの視点でもっと掘り下げてほしかった。
さすがに音楽面での演出はパーフェクト!でも、ジョー・ライト作品には、いつも何かが足りないという、あと一歩感がぬぐえませんね。
ジョー・ライト作品の特徴は、音楽の使い方が素晴らしいこと。背景に流れる音楽だけで登場人物の不安な心理とか、溢れる愛情を余すところなく伝えきってしまう音楽の魔法使いのような監督です。「つぐない」でアカデミー賞音楽賞を取ったのも納得しました。 そんな監督が、ホームレスの音楽家を描くとあって、音楽面を期待して本作を見に出かけた次第です。
さすがに音楽面での演出はパーフェクトでした。
記者のロペスが寄付されたチェロを手渡して、ナサニエルが久々にチェロを演奏するところでは、ナサニエルが音楽に陶酔する心境を、渡り鳥が大空に羽ばたく映像で表現していました。まるで『のだめカンタービレ』の演奏シーンのように、音楽の喜びをイメージで伝えていたのです。
また、ロペスがナサニエルを誘って、オーケストラの練習会場に連れて行くところでは、ベートーベンの交響曲第三番『英雄』の冒頭に響く2音で、精神を患っているナサニエルが一気に芸術的に覚醒する表情を、印象的に捉えていました。
さらに、ホームレスが渦巻くLAのダウンタウンでは、不協和音を効果的に使って、ホームレス達の出口のない不安感や街に渦巻く狂気をうまく表していたと思います。
ジョー・ライト作品のもう一つの評価として、人間ドラマでは、いつもあと一歩感動が足りないと感じてしまうことです。
本作でも巧妙な仕掛けがしてあり、9万人もいるといわれるロスアンジェルスのホームレスの生活の実態を描く社会派ドラマのようで、実は深い人間ドラマになっているのです。
一番興味深いのは、ラストでナサニエルを救おうとしたロペスが、逆にナサニエルの純粋に触れることで自分が救われていたことに気づくことです。
ロペスは、チェロを与えたり、コンサートに連れて行ってあげたり、ホームレスの支援センターを紹介したり、果ては部屋を提供し、精神病院に強制入院させて社会復帰まで世話しようとしました。
それらの親切が、誰が見たって記者として、コラムのネタになると踏んでのもの。ナサニエルを飯の種にして、ついには書いた記事が賞までとってしまいます。
さらにロスアンジェルス市長をも動かしてホームレス支援の施策を発表されるなど、徹底的にその善意は自分の仕事に活用していたのでした。
心は病んでいても純真なナサニエルは、下心たっぷりのロペスを神とまで崇めて、彼の親切を受け入れていたのでした。しかし、統合失調症の人にとって、自分が統合失調症扱いされることは我慢ならかったようです。
精神病院への入院には、人が変わったように敵意をむき出しにして抵抗したナサニエルに、ロペスは反省するわけです。何も救ったことにならないと。
失踪したナサニエルに追い打ちをかけるようにロスアンジェルス市は、支援とは名ばかりにホームレスの排除に乗り出します。これもロペスがまいた種の結果でした。
ナサニエルを必死で捜す中で、見つけたとき彼は穏やかにチェロを演奏していました。そこでロペスは悟るのです。病んでいたのは自分の方だと。
ここで残念なのは、ロペスの別れた妻との間にあった心の葛藤が全く描かれていないことです。いつの間にかロペス夫妻は関係を修復しています。『レスラー』のように、ロペスの孤独を描いて、ナサニエルによって救われていく心情を描いたら、もっと感動できる作品になっていたことでしょう。
ジョー・ライト作品には、いつも何かが足りないという、あと一歩感がぬぐえませんね。
追伸
ホームレスのナサニエルというのは凄く難しい役柄だっだことでしょう。天才的な芸術感性の持ち主として美に陶酔している表情。しかしそれは同時にナイーブさ故に病的に自分の世界に立てこもって、社会を拒絶している面も見せつける必要がありました。狂っているようで、それがとても天才的に見えてくる姿をジェイミー・フォックスは演じきっていて、素晴らしいと思いました。
単館上映はもったいないです
ホームレスの天才チェリストにジェイミー・フォックス、
それを取材する記者にロバート・ダウニー・Jr.
この映画はもうこの二人につきます。
新聞のコラムに感動した読者から
プレゼントされたチェロに目を輝かせて
すぐにも弾いてみたくて
車がひっきりなしにとおりすぎるトンネルで
30年ぶりにチェロに触れるナサニエル。
ふたりきりのコンサートのシーンが印象的でした。
Rayで盲目のピアニスト、レイ・チャールズを演じたときの
ジェイミー・フォックスもすごかったですが、
ナサニエルを演じられるのは彼以外にない!
とだれもが確信するような、鬼気迫る演技でした。
そもそも二人の出会いは、
弦が2本しかないバイオリンを弾いているホームレスが
「名門ジュリアード出身」ということを偶然知ったロペスが
「このギャップはコラムのネタになる」と興味をもったことから
始まるのですが、ナサニエルと深くかかわるうちに
彼をこのまま「掃きだめ」に捨てておいてよいものか悩み、
仕事上のかかわりを越えて、あれこれ奔走して尽くします。
でも良かれと思ってしたことで、
逆にナサニエルに敵意をもたれてしまい、
ロペスは傷つき、苦しみます。
というのも、ナサニエルには「統合失調症」があり、
自分をおさえきれなくなったり突然凶暴になったり・・
ジュリアードを辞めた原因もそれでした。
ナサニエル自身もまた苦しみのなかにいるのです。
ロスにいる9万人もの路上生活者の実態。
ランプコミュニティなどの支援施設での
ボランティアたちの活動。
ドラッグが蔓延し、治安も衛生状態も劣悪な
彼らの生活空間・・・・
そういったアメリカのかかえる問題も
描きつつ・・・なので、
この映画、決して気分爽快になれるような
娯楽映画にはなっていません。
Rayでも、ドラッグ依存から立ち直るための
苦悩が描かれていましたが、
それ以上にいろんな苦しみに胸がつぶれそうになります。
ロペス自身の妻との関係、94年のノースリッジ地震で失ったもの・・
まで登場して、もう、苦しみのオンパレードです。
だから、カンドーして、気持ちよく泣いて、すっきりして帰りたい、
たとえば「奇跡のシンフォニー」とかがお好みの方には
この映画お勧めできないです。
苦しいこと、見たくないこと、報われないこと・・・
イヤなことは数あれど、音楽に陶酔しているときの
ナサニエルに「神の愛」を感じ、
ともに神の恩寵を喜べるのだったら、
日々のイヤなことなんて、その瞬間は吹き飛んでしまいます
もしこれが「ドキュメンタリー」だったら、
ロスの路上生活者や精神を病んだ人達の実態や政策の問題点など、
問題を提起しながら、ある程度結論をだすのでしょうが、
そうでないところが、「私は」好きなので満点です。
現在も掲載されているLAタイムズのコラムが気になります!
ジェイミー・フォックスとロバート・ダウニーJr.の二人の俳優の演技にのめり込めなければ、少々疲れてしまう映画でした。天才チェロリストと期待される才能が、病の為に路上生活の中に埋もれてしまうのを、コラムニストが救おうと彼に接していく過程に感動しました。名門ロサンゼルス・フィルハーモニックの演奏が聞けたのも良かったです。
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