ネタバレ! クリックして本文を読む
Amazon Prime Video(東映オンデマンド)で鑑賞。
原作は未読。
突然の西田敏行氏の訃報に驚き、悲しみが胸に溢れた。あの緩急巧みで、様々な役柄を演じてこられた西田氏の演技をもう見られないのかと思うと、本当に残念でならない。
ご冥福を心よりお祈りすると共に、これまで観たことのなかった西田氏の主演作品を観ようと思い、本作を選んだ。
安土城築城を指揮した熱田の宮番匠・岡部又右衛門を西田氏が演じていた。西田氏の名演によって、とても魅力的な又右衛門像をつくり出していたように思う。
番匠としての矜持を胸に、城を建てるにはそれを建てる人をまず大切にしなければならないと、憶せず信長に言ってのける又右衛門の人柄に感動させられた。
それはそのまま、西田氏自身の人柄が又右衛門とリンクして滲み出しているからこそ生まれる感動ではないだろうか。
現場監督の仕事をしている身故に、この又右衛門の思想は私も常に大切にしなければならないものと肝に銘じた(それは国づくりにも通じる。政治家に聞かせたい言葉だと感じた)。
だからこそ、悲鳴を上げる心柱を切断するクライマックスシーンのアツさは筆舌に尽くしがたいものがあった。泣けた。
安土城築城と云う視点で戦国時代を描いているのが斬新だった。適度にスペクタクルもあって、とても面白い作品だ。
安土城の辿る運命を知っているだけに、ラストシーンの安土城の優美な姿には物悲しさが漂っているように感じられた。