イングロリアス・バスターズのレビュー・感想・評価
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あっタラよかったもう一つの歴史
過去に、衛星で部分的に鑑賞したものを、やっとこさ最初から最後まで鑑賞。
長いですねー、2時間半。でもまぁ、内容的に、あまり長さを感じませんでした。冷や冷やするようなシーンも多いもんね。
クリストフ・ヴァルツ。先にジャンゴを観ちゃったんだけど、え、これ、同一人物…?只今、絶賛、混乱中(笑)
ショシャナ(エマニュエル)役の方、上手いし綺麗ですな、、スクリーンで観たかった、、
色々と、え、ちょっと、手ぬるくない?みたいに思うシーンもありましたが(作戦の首尾と、ナチス側の警護とかね)、それを言ってしまったら映画になりませんよね。
酒場のシーンが冷や冷やしました。とくに。
どんでん返し的展開はあるんだけど、見終わった後にスッキリ感はあんまりないですね、、まぁ、内容的に、スッキリしたらまずいわな。
この内容で下手に音楽つけると安っぽくなる、という判断なのかわかりませんが、音楽はかなり(タラちゃんにしては)控えめ。ほとんど最後の方だけ?
余談ですが、一夜にして英雄になった若い将校?、「グッバイ!レーニン」の孝行息子役の子ですね。
【旧ドイツ軍の「国家の誇り」を吹き飛ばせ! タラちゃんの、ナチス・ドイツの蛮行に対しての怒りをシニカルに炸裂させた作品。クリストフ・ヴァルツの魅力全開作品でもある。】
■内容に関しては、40代以上の映画好きの方にとってはとって、周知の事と思われるので、感想のみ記す。
<Caution! 以下、内容に思いっ切り触れています。>
◆章立てでストーリーは進むが、その構成の上手さに舌を巻く。
「第1章 その昔 ナチ占領下のフランスで」
”ユダヤ・ハンター”ハンス・ランダ大佐(クリストフ・ヴァルツ)が、酪農家の家に現れ、ネチネチと、主を脅していくシーン。たった一人生き残った娘、ショシャナが草原を全力疾走で逃げるシーン。(ショシャナは、大人になってからは、メラニー・ロランが演じている。)
- 彼女は、この後、重要な役割を果たす。そして、クリストフ・ヴァルツの魅力炸裂シーンでもある。-
「第2章 名誉なき野郎ども イングロリアス・バスターズ」
アルド・レイン中尉(ブラッド・ピッド)が率いるバスターズたちの、捕獲したドイツ兵の頭の皮をはぎ取るシーン。
そして、額に刻まれる”ハーケンクロイツ”
- ここも、ラストに効いてくる・・。-
「第3章 パリにおけるドイツの宵」
そして、生き残ったショシャナは女映画館主になっていた。
彼女に恋したドイツ軍狙撃兵フレデリック(ダニエル・ブリュール)は、自らの活躍を描いた映画「国家の誇り」のモデルであり、ゲッベルスに進言し、映画のプレミア上映を、ショシャナの劇場で行うことを依頼する。
それを聞いた、ショシャナはある壮大な計画を思いつく。
- ショシャナと、ハンス・ランダがレストランで会うシーンの、緊迫感が半端ない。
ランダが頼んだ、”ミルク”・・。クリストフ・ヴァルツの笑顔が怖い・・。-
「第4章 映画館作戦」
冒頭のパブでの行き詰るドイツ兵幹部と、ドイツ兵に化けたバスターズたちの遣り取り、そして銃撃戦。
そして、只一人生き残った女性スパイ、ハマーシュマルク(ダイアン・クルーガー)。
その現場を観察した、ハンス・ランダは、一足のハイヒールを見つける・・。
この作品の<個人的>白眉の章である。
「第5章 巨大な顔の逆襲」
◆この章の冒頭に大音量で流れる、”デヴィッド・ボウイ” の”Cat People" 盛り上がりますねえ。
ハンス・ランダが、ハマーシュ・マルクを問い詰めるシーン。登山で足を怪我したというハマーシュマルクの言葉に、下品な程の大笑いをした後、個室にてハイヒールを履かせるシーン。
ー 怖いなあ。シンデレラですか? -
ヒトラーを始め、ゲッベルス達ナチス高官たちが映画を楽しむ中、フレデリックは映画を観ることが辛く(そりゃ、そうだ・・。)、ショシャナがいる映写室を訪ねるシーン。
そして、可燃性のフィルムに火がつけられ、炎に包まれた大画面の中、笑うショシャナの顔。
そして、ハンス・ランダはアルド・レイン大佐達を捕らえ、ある取引を持ち掛けるが・・。
<とにかく、手に汗握る、面白き作品。
そして、クリストフ・ヴァルツが美味しい所を、全て持っていった作品。
彼の名優としての演技が炸裂している作品でもある。>
そしてワンハリへ…ってことかあ。
うぎょ…タランティーノだ
尺と間と極上の俳優陣を贅沢に起用した戦争娯楽大作
第二次世界大戦の中、ドイツ軍の占領下にあったフランスを舞台に、ナチス親衛隊に家族を虐殺された復讐に燃えるユダヤ系フランス人の女性ショシャナ、ドイツ軍指導者暗殺を目論むユダヤ系アメリカ人のアルドレイン中尉率いる米陸軍特殊部隊「バスターズ」らの戦いを描いたクエンティンタランティーノ監督による戦争娯楽大作。
ユダヤ人によるドイツ軍への復讐という重めのテーマでありながら、豪華な俳優陣による大仰でクセの強い演技や2時間半超の尺をほとんど会話劇で展開していく構成で緊張感溢れながらもユーモアに富んだ内容で全く飽きさせない痛快なエンタメ作品に仕上がっていた。
タランティーノ監督お得意の「無駄話」も戦争中かつスパイとして潜入しているという特殊な環境下とあってかどこか意味のある、もしくは相手に正体を悟られるヒントになりうる会話内容になっていて、会話の細部に深い意味やミスがあるのではないかと気になって仕方なくなる、今までの作風と違った演出となっているような気がした。
さらには英語、ドイツ語、フランス語、イタリア語を巧みに操る登場人物の中でも、言葉遣いや発音、アクセントの不自然さが目立ち、終いには身振り手振りすら怪しいと思われてしまう(らしい笑)、一つ一つの行動言動に重要な要素が含まれていて、会話劇に更なる緊張感をもたらしていた。
そんな中、何よりも存在感を放っていたのがSS(ナチス親衛隊)のハンスランダ大佐演じるクリストフヴァルツである。
フランスの片田舎、ラパディット宅を訪れた冒頭20分の尋問シーンはまさに映画史に残るOPで、紳士的で友好的な振る舞いの裏に秘められた有無も言わさぬ威圧感や腹の底の読めないポーカーフェイスなど見るからに「ヤバイ」人物と感じさせる圧倒的な存在感で一気に引き込まれた。
自らを有能な探偵と称するように周囲の人間や状況を考察する観察眼に長け、自らの優位性を確保しつつ行動する狡猾さも兼ね備えた、ある意味無敵の悪役を見事に演じ、その年のアカデミー賞助演男優賞とカンヌ国際映画祭の男優賞の受賞を始め、賞レースを総ナメする大活躍を見せた。
もちろん彼のみの活躍ではなく、主演の残忍かつ冷徹な特殊部隊「バスターズ」を率いるアルドレイン中尉には大スターブラッドピット、ナチへの復讐に燃える美しきユダヤ人女性ショシャナにメラニーロラン、ドイツ軍の英雄にして映画スターのフレデリックにダニエルブリュール(自信家で空気の読めない鼻につく軍人の演技が絶妙!笑)などタランティーノ組に初参加の俳優陣がそれぞれ癖の強い演技で魅せる。
特に序盤から中盤にかけてナチのプレミア上映会に潜入する手引きとして、ドイツ人女優のブリジットフォンハマーシュマルクと合流するために「バスターズ」と手を組んだ英軍のヒコックス中尉演じる我らがマイケルファスベンダーとドイツ軍のヘルシュトローム少佐らとの腹の探り合いを繰り広げるバーのシーンは最高だ。
前述の発音やアクセントの違和感から始まる尋問さながらの会話や楽しげに見えるトランプゲームが数十分に渡り続くシーンなのだが、これがいつまでも観てられる名シーンだった。
もちろんアクセントがおかしいだとかは全く分からないのだが、ドイツ語とフランス語の発音の独特さが好みど真ん中で(変態?)、耳にも目にも楽しいシーンの連続であった。
キャスト面や意外なストーリー性から往年のタランティーノ映画とまた一味違った作風かなと感じつつも、ノンクレの声のみで盟友ハーヴェイカイテルとサミュエル伯父貴が出演している往年の友情を感じる熱い起用や映画のフィルムを燃やしてナチを根絶やしにするというまさに映画をもってして悪を倒すというタランティーノの映画愛が爆発して傑作の1本と感じた。
BINGO!
映画館で見ることができて嬉しい。画面の大きさには意味がある。細かい表情(冒頭の酪農家の箇所でデニス・メノシェが涙を流すなど)も(軍服着てると訳わからなくなる)役者の相違もクリストフ・ヴァルツの優雅で怖いハンサムさもすごくよく見えた。サウンドデザインもカメラワークの良さも立体的で胸にドンと来た。配信で何度も何度も見た映画だけれど映画館で見るのは本当にいい。タランティーノの足フェチもすごく良く分かった!ブラピの声はやはりいい!
煙草の煙と匂い、ショシャナには牛乳を飲ませ、後からわざとらしくStrudel用に生クリーム(これも乳製品)を注文する。ある程度食べてからそのクリームに吸ってた煙草を押しつけて火を消す。意味深で怖い!冒頭の「酪農家」シーンを思い出させる要素を散りばめた、ショシャナとヴァルツ再会のこの場面は大きな山場の一つで、ヴァルツのほのめかし、ショシャナの緊張感と安堵感はまさに見事だった。(2022.7.3.)
ハーケンクロイツを見るだけで吐き気がするのですがこの映画では耐えられました。何回見ても発見があります!映画館ロビーでイタリア人の振りをしての紹介場面はキャッキャッと笑えました!!ブラピは表情で勝負、他の3名はイタリア系に見える!みんなのイタリア語発音チェックをするクリストフ・ヴァルツの嫌らしさ、如何にもウィーン人!ブラピに何回も発音させたり、できないのにbravoと言うし。ブラピのイタリア語が一番凄くてお腹が痛くなるほど笑えました。ヴァルツの慇懃無礼さ、言語能力の高さ、エレガントな振る舞い、そしてStrudel(「黄金のアデーレ」でもミレン演じるマリアは手作りして若い弁護士に食べて行けと言った。オーストリアの人間にとって大事なお菓子なんだろうな)食べながら話しているのに、決してお行儀悪く見えないのが神業のようでした。
20年代、最高の映画製作の場だったUFAの話をファスベンダーに語らせたり、「嘆きの天使」の教授役のエミール・ヤニングスをプレミア映画のロビーに登場させてたし、流行りに流行ったレニ・リーフェンシュタールの山岳映画シリーズ(スパイの女優ーダイアン・クルーガー適役!ーも足の怪我を山登りのせいにしてた)と、タランティーノの映画愛が爆発してた。
発音でどこ出身かすぐわかるし母語話者かどうかすぐわかるドイツ語、ドイツ人が好きそうなカードゲーム、指での数の数え方の違い(致命的!)、当時の、女性への話しかけ方、全てが濃厚でリアルでした。
ショシャナの赤いドレスに黒いベールは敵討ちのいでたち。「マリア・ブラウンの結婚」のハンナ・シグラを彷彿とさせる強さと美しさに溢れていた。デビッド・ボウイをバックにチークを入れるシーンは、気合いと決意と悲しみがまっすぐに伝わる場面でこの映画で一番心動かされた。冒頭の酪農家に思いを馳せると末娘のレア・セドゥの目がとても印象的だった。ヨーロッパ色が強い映画にタランティーノ風味たっぷりで大満足でした。タランティーノがますます好きになりました。
追記(2020.8/31)
今日見た映画「映画音響」でわかった!キングコングが映画化されたのは1933年。だから「私は誰でしょう?」ゲームでKing Kongが出てたのは時代的にピッタシ!さすがタランティーノ!
追記2(2020.12/31)
ダニエル・ブリュール確認の為に再度鑑賞!顔見てすぐわかったのは「ラッシュ」のおかげ!フランス語も流暢。映画好きで、ショシャナに恋心を抱く。「英雄」だから自分が主演の映画に自分が主役を演じるはめになるが殺戮場面に耐えられなくなって席を立つ。平時だったらごく普通の爽やかな好青年。戦争は普通を普通でなくしてしまう。ブリュールにぴったりの役だった。
追記3 (2021.5/16)
wikiで読んだこと:ホロコーストを扱った映画「ショア」(すごく長いが見た)のランズマン監督は、ホロコーストをテーマとする映画全般にかなり批判的な立場だが、「イングロリアス・バスターズ」は気に入っているとありました。ナチやホロコーストを扱う映画はかなりの覚悟がないと私はなかなか見ることができません。そんな気持ちを少し壊してくれたのがタランティーノのこの映画でした。
迫力はあるが…。
1944年、ナチス占領下のパリ。ナチスに家族を殺された映画館主のシ...
タラちゃん×ブラピ+クリストフ
冒頭20分、クリストフ・ワルツの悪魔的な演技
個人評価:4.3
1人のユダヤ娘の魂を賭けた、ナチへの素晴らしいリベンジストーリー。
冒頭の農村でユダヤ人狩りをするSSのシーン。農夫と話すクリストフ・ワルツの、とても丁寧な口調の中に潜む、悪魔の様に冷たく鋭いナイフ。そして隠し事は決して見逃さない鷹の目で、農夫はいとも簡単にSSに屈す。
この映画の最初の20分は、タランティーノとクリストフ・ワルツの渾身のシーンだ。まさにオスカーを取るに相応しい演技。
毎作品そうであるように、本作も長時間の映画だが、ヒトラーに向け少しづつ歩み寄る、リベンジの矢を丁寧に描いており、最後まで飽くことなくパワフルに見る事ができる。
今回もタランティーノ十八番の壮大なリベンジストーリーが決まるっ!
タランティーノ最高作にして、戦争映画最高作
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