劇場公開日 2009年11月20日

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「BINGO!」イングロリアス・バスターズ talismanさんの映画レビュー(感想・評価)

5.0BINGO!

2020年7月26日
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鑑賞方法:映画館、VOD

泣ける

笑える

知的

映画館で見ることができて嬉しい。画面の大きさには意味がある。細かい表情(冒頭の酪農家の箇所でデニス・メノシェが涙を流すなど)も(軍服着てると訳わからなくなる)役者の相違もクリストフ・ヴァルツの優雅で怖いハンサムさもすごくよく見えた。サウンドデザインもカメラワークの良さも立体的で胸にドンと来た。配信で何度も何度も見た映画だけれど映画館で見るのは本当にいい。タランティーノの足フェチもすごく良く分かった!ブラピの声はやはりいい!

煙草の煙と匂い、ショシャナには牛乳を飲ませ、後からわざとらしくStrudel用に生クリーム(これも乳製品)を注文する。ある程度食べてからそのクリームに吸ってた煙草を押しつけて火を消す。意味深で怖い!冒頭の「酪農家」シーンを思い出させる要素を散りばめた、ショシャナとヴァルツ再会のこの場面は大きな山場の一つで、ヴァルツのほのめかし、ショシャナの緊張感と安堵感はまさに見事だった。(2022.7.3.)

ハーケンクロイツを見るだけで吐き気がするのですがこの映画では耐えられました。何回見ても発見があります!映画館ロビーでイタリア人の振りをしての紹介場面はキャッキャッと笑えました!!ブラピは表情で勝負、他の3名はイタリア系に見える!みんなのイタリア語発音チェックをするクリストフ・ヴァルツの嫌らしさ、如何にもウィーン人!ブラピに何回も発音させたり、できないのにbravoと言うし。ブラピのイタリア語が一番凄くてお腹が痛くなるほど笑えました。ヴァルツの慇懃無礼さ、言語能力の高さ、エレガントな振る舞い、そしてStrudel(「黄金のアデーレ」でもミレン演じるマリアは手作りして若い弁護士に食べて行けと言った。オーストリアの人間にとって大事なお菓子なんだろうな)食べながら話しているのに、決してお行儀悪く見えないのが神業のようでした。

20年代、最高の映画製作の場だったUFAの話をファスベンダーに語らせたり、「嘆きの天使」の教授役のエミール・ヤニングスをプレミア映画のロビーに登場させてたし、流行りに流行ったレニ・リーフェンシュタールの山岳映画シリーズ(スパイの女優ーダイアン・クルーガー適役!ーも足の怪我を山登りのせいにしてた)と、タランティーノの映画愛が爆発してた。

発音でどこ出身かすぐわかるし母語話者かどうかすぐわかるドイツ語、ドイツ人が好きそうなカードゲーム、指での数の数え方の違い(致命的!)、当時の、女性への話しかけ方、全てが濃厚でリアルでした。

ショシャナの赤いドレスに黒いベールは敵討ちのいでたち。「マリア・ブラウンの結婚」のハンナ・シグラを彷彿とさせる強さと美しさに溢れていた。デビッド・ボウイをバックにチークを入れるシーンは、気合いと決意と悲しみがまっすぐに伝わる場面でこの映画で一番心動かされた。冒頭の酪農家に思いを馳せると末娘のレア・セドゥの目がとても印象的だった。ヨーロッパ色が強い映画にタランティーノ風味たっぷりで大満足でした。タランティーノがますます好きになりました。

追記(2020.8/31)
今日見た映画「映画音響」でわかった!キングコングが映画化されたのは1933年。だから「私は誰でしょう?」ゲームでKing Kongが出てたのは時代的にピッタシ!さすがタランティーノ!

追記2(2020.12/31)
ダニエル・ブリュール確認の為に再度鑑賞!顔見てすぐわかったのは「ラッシュ」のおかげ!フランス語も流暢。映画好きで、ショシャナに恋心を抱く。「英雄」だから自分が主演の映画に自分が主役を演じるはめになるが殺戮場面に耐えられなくなって席を立つ。平時だったらごく普通の爽やかな好青年。戦争は普通を普通でなくしてしまう。ブリュールにぴったりの役だった。

追記3 (2021.5/16)
wikiで読んだこと:ホロコーストを扱った映画「ショア」(すごく長いが見た)のランズマン監督は、ホロコーストをテーマとする映画全般にかなり批判的な立場だが、「イングロリアス・バスターズ」は気に入っているとありました。ナチやホロコーストを扱う映画はかなりの覚悟がないと私はなかなか見ることができません。そんな気持ちを少し壊してくれたのがタランティーノのこの映画でした。

talisman
カールⅢ世さんのコメント
2022年7月4日

7月3日に追記されてますね。
マメですね。
タバコ🚬を生クリームで消す場面。
HUMAX池袋?
アタシも猛暑の中行きました。

カールⅢ世
ジョニーデブさんのコメント
2021年7月18日

コメントありがとうございます。
talismanさんのレビューを読んでたら、またこの映画を見たくなりました。
それにしてもtalismanさんのレビューは大作ですね。私が何気なく見ていたシーンが実に深い意味があったりしてるのですね。

ジョニーデブ
れいすけ(休眠中)さんのコメント
2021年5月12日

こんばんは。他のレビューにコメントありがとうございます。あちこち読んでいます。レビューがびっしり。すごい。洋画も見たいので参考にさせてください。洋画はなかなか何から見たらいいのかとっかかりがわからず(^^ゞ監督も俳優さんも何もわかりません。

れいすけ(休眠中)
クリストフさんのコメント
2021年2月26日

ボクもタラちゃんで一番好きかも💦

クリストフ
NOBUさんのコメント
2021年2月8日

おはようございます。
昨晩も、驚いたのですが、凄いレビューですね。
もしかしたら、talismanさんは評論家さんなのですか?
では、又。

NOBU
MAKOさんのコメント
2020年9月1日

きびなごさんがこんなトコロに!
最近更新無いんでどうしたのかと。

このレビューも素晴らしい!タランティーノ監督もビックリの検証力ですね。

MAKO
近大さんのコメント
2020年7月27日

コメントありがとうございます。

史実無視して面白くなければ問題ですが、ちゃんと面白い。
そこがタランティーノの力量ですね。

近大
bloodtrailさんのコメント
2020年7月27日

えーっとですね。タランティーノの「足フェチ」は有名です!
多分、足を撮りたかっただけですw

bloodtrail
浮遊きびなごさんのコメント
2020年7月26日

コメントありがとうございました!
ブラピの「ナチぶっ○す」しか思考に無い単細胞キャラはむちゃくちゃ笑えましたね。ヴァルツ氏も人懐っこい笑顔なのにネチっこくて怖い怖い!
まさかのラストにも「ええ……それって史実と違……ええ……」となりましたよ。タランティーノらしい楽しい映画でしたねぇ。

浮遊きびなご
bloodtrailさんのコメント
2020年7月26日

talismanさんへ
ジャンゴ、イングロリアスと来たら、後は「何なの、この人?」な映画が、列を成して待ち受けてますね!w
焦らずにインターバルを取ってから鑑賞した方が良いと思います!

bloodtrail