「正しく“遊んでる”、戦争映画。やっぱりただのオタクじゃない!!」イングロリアス・バスターズ めぐ吉さんの映画レビュー(感想・評価)
正しく“遊んでる”、戦争映画。やっぱりただのオタクじゃない!!
幸運にも、ジャパン・プレミアで見て、
生タラのしゃくれっぷりと同時に、作品の出来の素晴らしさにも感動しました!
これまで“自分の庭”的な世界から飛び出し、
第二次世界大戦時のナチスとゆう
“オトナの映画人”が取り組むテーマに挑みつつも、
しっかりタランティーノ印にしてしまう、圧倒的な作家力・・・
やっぱり、ただのオタクではなかったのですね、、、
この作品、ナチスを取り上げているけれど、
一番の軸となるストーリーは、ナチスに一家を殺された少女の復讐劇。
美少女の復讐・・・そう、基本の構図は「キルビル」に通じてる!
でもそのストーリーに、ヒトラーやゲッペルスなど
実在の人物の架空のストーリーを織り交ぜつつ、
さまざまな人物の思惑が交錯し、
やがて1つのラストへ向かっていく作りこみようったら!!!
どうやら宣伝では「痛快戦争アクション」となっていたようなのですが、
アメリカ的な痛快さや爽快さとははっきり言って無縁。
でもそれが悪いわけではなく、
あえてねちっこーーく、ねばっこーーーく、執拗なまでに作りこんだところに
むしろオタクの心意気を感じました。
先日読んだ本に、
「作家は読者のなれのはて」とゆう素敵な言葉が出てたのですが
この「なれのはて」感、アリアリです。
また、他の人にとっては些細なことかもしれませんが、
ワタシが「やっぱタランティーノ、わかってるよーーーー(すごい上から目線…)」と思ったのは“言語”の扱い。
反対に、ことばの扱いがサイアクだと思ったのは、
トム・クルーズ主演の「ワルキューレ」で、
トム・クルーズがドイツ人将校を演じていたこの作品では、
冒頭の手紙を読んでいるシーンの最初の最初だけドイツ語を話して、
あとなぜかその手紙の途中から、すこーしずつ英語に移行していくのです。
見てて「なんじゃ、こりゃ??」と興ざめ、、、
ところが「イングロリアス~」では、基本的に英語でしゃべってるのですが、
「(ドイツ人とフランス人の会話で)二人とも英語ならできるから英語で話そう」
みたいに、ちゃーんと理由をわざわざ説明してくれてました。
細かいコトですが、きっとタランティーノも、
「なんでドイツ人がいきなり英語はなしてんの???」と
思ったことがあるに違いない!!と嬉しくなったり。
でも、何よりも、「戦争映画」でここまで遊べる、とゆうのはすごいです!
なんとなーく私の中で、欧米の監督の「戦争映画」は
“巨匠”への通過儀礼のようなイメージがあるのですが、
タランティーノのこの作品といい、
スパイク・リーの「セントアンナの奇跡」といい、
これまで“やんちゃ”なイメージだった監督が、
それぞれ自分らしい戦争映画を撮ったとゆうことに
何か空気の変化のようなもの感じました。
でも、日本じゃこんな個性的かつ“不謹慎”な戦争映画、難しいですよねえ、、