「セックスを学ぶ2人はセックスに散る。故に愛のかたちなぞ無い」ノルウェイの森 全竜さんの映画レビュー(感想・評価)
セックスを学ぶ2人はセックスに散る。故に愛のかたちなぞ無い
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松ケンが悶々と苦悩する恋愛観・セックス観・人生観それぞれのエピソードの断片を駆け足で羅列していくから、そのペースについていけず戸惑う。
「原作を読んでへんお前が悪いやろ」と責められたらお終いだが、各々の抱える背景に理解できず、陰だけが突出し、ネガティブな世界観に辟易するだけだったから、感情移入しようがない。
愛への憧れが、恐怖心と虚無感へと変わる流れこそ、大人への一歩である。
セックスは肉体的にも精神的にも、大人として割り切っていく実感を確認する唯一の手段なのかもしれない。
結構、深いテーマやのに結局、セックスの話だけが独り歩きしたのは致命的やと思う。
とりあえず、わかったのは、松ケンはトライアングルの対人関係でなければ、コミュニケーションを成立不可能な若者だった事であろうか。
つまり、マンツーマンでは己の存在感を見いだせず、崩れてしまう。
高校も大学もそして、恋愛関係においても…。
素直になれない弱さが彼を孤独の闇に追いやるのだが、肝心の三角形の点と線がボヤケてしまう。
中でも、終盤での先生との接し方には、
「何で!?」
と、謎ばかりが降り注いだ。
《総評》
自己嫌悪・自問自答・自己陶酔に溺れ、殻に閉じこもっていく主人公の闇黒面に迫る描写は、第2の『人間失格』と云えよう。
酒やドラッグではなく女のみに人生を狂乱するストイックな転落模様は、ある意味羨ましくもあり、悲惨にも感じた。
…。
んまぁ、2冊読んだ経験一切無いけどね…(苦笑)
カッコ悪い結論が出たところででは、最後に短歌を一首
『生きる意味 重なりに問ふ 蒼き渦 春は横切る 風を濡らして』
by全竜
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