劇場公開日 2009年1月24日

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「水(男 )+土(女)=泥」レボリューショナリー・ロード 燃え尽きるまで あんゆ~るさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0水(男 )+土(女)=泥

2009年2月5日

悲しい

怖い

難しい

容姿端麗な男女が結ばれ結婚する。が、お互いにそういう外見を持った性か自分には他の人にはない「特別」なものがあると信じ、平凡な夫婦生活に終止符を打とうとする。そこから始まる転落劇。

この「特別」さというものが、イギリス人監督サム・メンデスが「アメリカン・ビューティ」でも見せたアメリカという国に対する風刺となっているのがこの作品のミソです。

レオ演じる男がほんとによく喋る。口から生まれてきたんじゃないかというくらいの詭弁家です。必ずしもいつも話合う必要はないと最初から最後まで主張するケイトにわたくしなんかは肩を持ちたくなりました。

夫婦生活の破綻を描いた作品ですが、よくよく考えてみるとレオとケイト演じる夫婦は極めてアブノーマルであります。夢を思い描いた事は決して悪い事ではない、重要なのは常に行き過ぎた思考や行動しかとれなかった事なのでしょう。

「タイタニック」カップルを映画の軸にするということで、サム・メンデス監督の才能が殺される不安がずっとありました。スター性の強い俳優はややもすれば監督の個性を削るものだからです。その不安は半ば以下の程度で的中したくらいだったので安心。

メンデス監督は、「アメリカン・ビューティ」ばりにブラックユーモアを本作にこめています。タイトルからして作品を観た後に考えてみると、とてもユーモアがあってやはりこの人は知的だなと思いました。

主演二人のオーバーアクティングに途中から食傷気味になりましたが、とにかくドラマ仕立てが素晴らしく、さらにメンデスらしいエレガントな調味料も加わり、結果思ったほど消化不良はおこしていませんでした。

この作品で特に光っていたのは、メンデスのシナリオライティングと、そこで生みだされた精神病院に入院していた数学者演じるマイケル・シャノンです。この役柄は劇中二回しか登場しませんが、たった二回だけで作品をさらに深い次元に導く事に成功してました。こういったキャラクター造形に監督の才能を感じます。そして、それを演じきったシャノンはお見事。

ちなみに本作のエンディングはわたくしの中でベスト3に入るくらい素晴らしいものとなっていました。本当はA+をあげたいのですが、とにかく主演二人の演技が過剰で途中からうんざり気味だったのでマイナス2の評価です。いずれにせよ(特に)セカチュー世代はこの作品観たほうがいいと思いますよ。

あんゆ~る