レボリューショナリー・ロード 燃え尽きるまで : インタビュー
「アメリカン・ビューティー」のオスカー監督サム・メンデスが、「タイタニック」(97)のレオナルド・ディカプリオとケイト・ウィンスレットを主演に、アメリカン・ドリームの終焉を描いた人間ドラマ「レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで」。本作で再びカップルを演じたレオナルド・ディカプリオとケイト・ウィンスレットに、11年ぶりの共演や本作のテーマについて話を聞いた。(取材・文:森山京子)
レオナルド・ディカプリオ インタビュー
「僕とケイトは似た者同士なんだ」
――あなたにとって初めてのジャンルですが、出演を決めた一番の理由は何ですか?
「いろいろあるんだ。まずケイトと仕事したかったこと。彼女は僕の親友だし今の世代でベストの女優だと思う。それと題材だね。こんな風に現実的な生活を描いた題材は、最近ではなかなか手に入らない。これはケイトが映画化のために長い間努力してくれたものなんだ。キャラクターにリアリティがあるから、揺れ動く2人の関係を覗き見しているような居心地の悪ささえ感じたよ」
――父親役を演じるために、誰かイメージを参考にした人はいますか?
「ノーだよ。僕はフランクを父親というより、人間関係の中の男のパートとして捉えた。彼は人間的で傷つきやすいキャラクターだ。ヒーローの要素なんかない。彼は自分の人生はうまくいっていると自分に言い聞かせている。満たされない人生でもそれにしがみついて生きていこうとしている。そして一日の終わりに『男として家族をサポートするためによく頑張ったね』って肩を叩いてもらいたいだけなのに、妻からはその慰めを得られないんだ。そういう弱いところのある男を演じるのはとてもチャレンジングだった」
――作品の舞台である50年代についてリサーチしましたか?
「アメリカの歴史の中で50年代がどんな時代だったのかを理解するために本を読んだりドキュメンタリーを見たりしたよ。50年代は、アメリカのファミリーのイメージが固まった時代だった。郊外の白いフェンスのある家に住むのが幸せな家庭の象徴だったんだ。男の役割、女の役割も固まった。もちろん、今ではもっと多様化しているけど、でもこの頃に築かれた価値観は社会の意識のコアになって残っていると思う」
――その幸せなイメージにフランクは安住し、エイプリルは縛られたくないわけですね。
「そう。だからこの2人は、どんな背景の前に置かれても結局はダメになる関係に死にもの狂いでしがみついているんだ。パリに行こうと行くまいと、別のレールを行く別々の列車なんだよ」
――そんな辛い話を演じてストレスがたまりませんでしたか?
「精神的に難しいシーンもあったけど、サム・メンデスが舞台のやり方を取り入れてくれて、充分リハーサルを積んでからシーンの順番通りに撮影してくれたから、フランクがどんな心情を辿っていったのか、深く理解できた。ただあの家の中に長い間閉じこめられていたから、終わる頃には閉所恐怖症になったような気分だった」
――ケイトとはどんなふうに気が合うのですか?
「僕たちは似た者同士なんだ。僕たちはお互いに、気分を害することなく正直に気持ちを伝え合うことができるし、すごく信頼し合っている。だから演技の面で、他の人とはできないような深い所まで進んでいけるんだ。喧嘩のシーンを例にすると、極限まで押していっても大丈夫なんだ。僕が激高すると、ケイトは逃げずに同じだけのパワーではね返してくれるからね。そんな相手と共演するのは楽しいし刺激的でもあるんだよ」