「【”飼育した動物を食するのは、命を引き継ぐ事である。”1年間育ててきた豚のPちゃんの扱いについて子供たちが、涙を流しながら真剣に話し合うシーンが忘れ難い。深遠なテーマを扱った作品でもある。】」ブタがいた教室 NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”飼育した動物を食するのは、命を引き継ぐ事である。”1年間育ててきた豚のPちゃんの扱いについて子供たちが、涙を流しながら真剣に話し合うシーンが忘れ難い。深遠なテーマを扱った作品でもある。】
ー4月、6年2組の担任になった星先生(妻夫木聡)は26名の子供たちに、”この子豚を一年間育てて、最後には皆で食べよう”と子豚を見せ、提案し、子供たちは興奮と困惑で騒然となる。
だが、毎日Pちゃんの世話をすることで、子供たちはPちゃんに対して、特別な思いを抱いていく。
そして、卒業式が近づいてきた時、子供たちは重大な決断を迫られる・・。-
■今作の白眉のシーン
・Pちゃんの、自分たちの卒業後の扱いについて、6年2組の子供たちが真剣に、涙を流しながら自分の素直な意見を述べるシーンであろう。
彼ら、彼女らが述べる言葉は、どれもが正しい。
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私たちは菜食主義者でない限り、普通にスーパーに行き、食材として綺麗にパッケージされた、豚肉、鶏肉、牛肉を何の違和感もなく、購入し、調理し、美味しくいただく。そして、そのお陰で日々健康に生活ができる。
だが、今作品では綺麗にパッケージする前の生身の豚を子供たちが飼育することで、普段意識しない”動物の命を頂くことにより、我々は生きている”と言う深淵なテーマを正面から取り扱っている。
・彼らが討論の末、決めた選択肢は
1.Pちゃんの世話を申し出た3年生のクラスにPちゃんの世話を引き継ぐ。
2.食肉センターに送る。
の2択であった。
だが、ここから又議論が始まる。
1案に対しては、大きくなったPちゃんの世話は危険だし、問題の引き延ばしである・・という至極真っ当な意見。
2案に対しては、情緒的な意見が多く述べられる。これも又、間違ってはいない。
そして、採決。結果は1.2案とも13票で同数。
再び、子供たちで議論。そして2度目の採決・・。
だが、最後の判断は星先生に委ねられることになる・・。
<6年2組の生徒たちは”命とはなんであるか・・”と言うとても、深遠で難しい授業を一年掛けて受けた。正解は、星先生にもない。
だが、この経験は必ず貴重な経験として、生徒たちの今後の人生に役立つ時が来るであろう。少なくとも、食事を残したり、ぞんざいに扱ったりする人間にはならないであろう。
この作品が公開された時、賛否の声が出た記憶があるが、私は深遠なテーマを正面から捉えた素晴らしき作品であると思った。>
■蛇足
生徒たちの中に、今、最も輝いている若手俳優の一人である、北村匠海さんが出演されている。分かりますかな?