「指輪物語シリーズ序章にして続編的存在」ホビット 思いがけない冒険 尚さんの映画レビュー(感想・評価)
指輪物語シリーズ序章にして続編的存在
時系列ではこちらが先だが、やはりこれは先に『ロード・オブ・ザ・リング』3部作を観ることをお勧めする。観ていることが前提の描写が多くある上、観ていた方が楽しめる内容になっている。例えば、あの長い長い旅でボロボロになったフロドが、ビルボと共に袋小路屋敷に住まい、元気にガンダルフを迎えに行く姿を見るだけで、(少なくとも私には)感涙ものである。また、ゴラムがビルボの名前と出身地を知っていた理由や、ドワーフがエルフに不信感を抱く理由がよく分かる。
冒頭のドワーフ達とのコミカルな掛け合いには思わずクスッと笑える部分があり、中盤からのシリアスな場面には息を飲む部分もあり、メリハリのある構成で飽きがこない。ただ、ドワーフの一部は最後まで見ても顔と名前が一致しなかった…そこへオークだのトロルだのエルフだのときたら、前3部作を知らない観客には恐らく???だろう。しかし中でもキーリがやけに男前ではないか?ドワーフの中で一人だけ顔立ち(毛むくじゃら感?)が違うから何か目立つ…。
今作も(というかファンタジーには付きものの)ピンチになれば誰かが助けにきてくれる演出は幾度となく繰り返されるが、ガンダルフがむやみやたらに魔法を使わないところが一種の現実味を持たせている。また、CGを始め衣装・小物に至るまでの舞台美術、そしてニュージーランドの大自然の美しさが、そうした現実味をより一層引き立てている。
スプラッター映画が得意の監督らしく、今回も首が飛んだりはねたりする描写があるので苦手な方はご注意を。