イーグル・アイ : インタビュー
「トランスフォーマー」「インディ・ジョーンズ/クリスタル・スカルの王国」など立て続けにハリウッド大作に出演しているスティーブン・スピルバーグの秘蔵っ子シャイア・ラブーフが、「ディスタービア」のD・J・カルーソ監督と再びタッグを組んだ「イーグル・アイ」。デジタル・テクノロジーの脅威を描く同作について、主演のラブーフとヒロイン役のミシェル・モナハンに話を聞いた。(取材・文:小西未来)
シャイア・ラブーフ インタビュー
「ぼくらはプライバシーのない世界に暮らしているんだ」
――今回はいつものような高校生ではなく、大人の役ですね。
「やろうと思えば、16歳の役をしばらく演じ続けていくことができると思うんだ。『トランスフォーマー』の場合は、実際の年齢よりも若い演技をやっているしね。でも、あいにくその逆はやったことがなかった。『イーグル・アイ』の話がきたときは、ちょうど大人の役をやってみたいと思っていた時期で、もしも、未知のことに挑戦するのなら、D・Jほど完璧なパートナーはいないと思ったんだ」
――正直に告白すると、鑑賞前はあなたに大人の役が務まるかな、って疑っていたんです。でも、映画が始まったら、そんなことは思いもよりませんでした。
「サンキュー。ぼくも大人の役への転換をうまく図れたと思うし、このおかげで、俳優としての寿命もあと1年くらいは伸びたんじゃないかなって思ってる(笑)」
――1年どころか、ずっと長いキャリアが待ち受けてますって(笑)。
「そうならいいんだけど(笑)」
――「イーグル・アイ」はプライバシーが剥奪され、テクノロジーに支配される世界が描かれていますが、現実性のあるシナリオだと思いますか?
「かなり可能性は高いと思う。『イーグル・アイ』の現場に初めて行ったとき、CIAかFBIの人がアドバイザーとして来ていたんだ。『1日の通話のうち5回に1回は政府が記録している』って教えてくれたんだけど、ぼくは半信半疑だった。そんなこと、政府がするわけないじゃないか、ってね。すると、数日後、そのアドバイザーがぼくの通話記録を持ってきた。数年前からクランクイン直前までの通話記録が、すべてプリントアウトされていたんだ。それを見てたちまち悟ったよ。ぼくらはプライバシーのない世界に暮らしているんだ、っていうことが」
――大作映画への出演が続いていますが、次世代を担う俳優としての自負はありますか?
「ぼくの世代には才能のある俳優がたくさんいるのに、ぼくだけがどうしてこうした機会に恵まれているのか、正直なところよくわからないんだ。たまたまタイミングが良かっただけじゃないかな。すべてはスティーブン(・スピルバーグ)のおかげだよ」
――オムニバス映画「New York, I Love You」では、故アンソニー・ミンゲラ監督が生前に執筆し、シェカール・カプール監督が代役監督を務めたエピソードに出演していますが、今後は大作映画とインディペンデント映画を行き来する予定ですか?
「ぼくが心から惹かれる類の映画というのは、実はメインストリームの観客には向いていないんだ。口当たりがよくて、軽くて、ハッピーエンドな映画ばかりが好きっていうわけじゃないから。ぼくのなかにはダークな面があって、ぜひとも追求してみたいと思っている。ブロックバスター映画ではそれが不可能だから、役者としてキャリアを築いているうちに、やがてそうした映画にも挑戦できるチャンスが巡ってくるといいなって思ってるんだ」