アキレスと亀のレビュー・感想・評価
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とてもつまらない
北野監督の自己肯定感丸出しなところが苦手なのだけどこの映画は過去一番全開だ。ご自身の絵画作品は素朴な味わいでいいのだけど、それほど傑作扱いしていいのだろうか。ギャラリーの壁に見事な作品として堂々と展示している様子を見ると心がざわざわする。
一人の画家の成長を描いており、子どもはよしとして青年期が柳ユーレイさんで、当時40代くらいであろうか全く若々しくない。そして中年期がたけしさんで、顔立ちが似ても似つかない。芸術家として悪戦苦闘して作品制作をするのだけど、とてもつまらない。特に見ていられなかったのが奥さんをボビーオロゴンに殴らせて作る作品で、あまりにひどい。
たけし映画では恋愛がテーマになることがけっこう多いが、一度もいいと思ったことがない。本当に相手を好きなのか、執着みたいなものは描いているけど愛情はまったく感じない。
本当につまらなくて10分ごとに眠気に襲われる苦行だった。
芸術家残酷物語。
前半は、昔のたけし調とも言えるテンポで不条理に進行します。多くの評論家に受ける作品になりつつあると思ったら、緊張の糸が外れたかのようにたけし、樋口夫妻のコントに突入。(電撃ネットワークが出た時点で怪しいと感じましたが・・・)樋口可南子をたけしがイジリ倒す、今の芸術をパロディ化していく。絵は全部たけしの物。映画の中の芸術自体もセルフ・パロディにして展開し、自虐的で芸術の魔力に取りつかれた人々を冷めた視線で描きます。後半に違和感を覚える人がほとんどでしょう。たけしチルドレンからすると、こうなるべくしくなった感があります。きっと途中から芸術の狂気見たいのをやりたくなって、はたから見たらコメディだろうと。前半と対比したかっただと。映画としてこの試みは、破壊してますが、たけしファンとしては、後半笑い通しでした。あまり一般の人には勧められませんね。
目の覚めない奴は、一生眠ったまんまだよ
映画「アキレスと亀」(北野武監督)から。
「なんだか、むずかしい映画だったなぁ」が感想だけど、
監督が、この作品を通じて何を伝えたかったのか、
わからなかった。
パンフレットには「きっと、ふたりだからできることがある。
だからずっと一緒にいたい。」と書かれているが、
それが「結婚で良き理解者を得た」ということなのだろうか。
私が気になったのは、芸術に関する表現が多かったこと。
・芸術とは、天才とそれを理解してくれるタニマチがいないと世に出ない。
・これは、一歩間違えれば、銭湯にかかっている絵じゃないですか
・目の覚めない奴は、一生眠ったまんまだよ
・芸術なんて、所詮、まやかしだ
・売れてない人の自画像なんて、誰が買うの?
・ちょっと狂ってきたけど、もう少し狂ってこなくちゃ
・あいつら、芸術、わかんねぇんだよ
・偶然でいいものは出来ないよ。などなど。
その中から、敢えて1つ選んでみた。
芸術の分野、売れているのは、ほんの一握りの人たち。
毎年、何千人と溢れる「芸大生」「美大生」「音大生」に向けて、
あるメッセージを伝えているような気がしたからだ。
「目の覚めない奴は、一生眠ったまんまだよ」、
厳しいけれど、これが現実なんだよなぁ。
価値観が見える奇行。
冒頭、古代ギリシャの哲学謎?に見入ってしまった(爆)
たけしの映画は海外では評価が高いが(と自分で言っていたし)
私はあんまり彼の映画は好きな方ではない(ナンとも痛くて)
今回は暴力的な描写が少なく(大杉蓮の叩き方は痛そうだけど)
内容も時代を踏んで分かりやすい。やはり死人は多かったけど。
何といっても、たけし本人がいかに芸術家なのか見える作品。
作品中の挿入絵画も、自分で描いたものばかりだそうだ。
いかにも子供の絵具画~ピカソやポロック、ウォーホルもどき、
多彩なゲイジュツの才能がいっぱいに広がった作品群だった。
芸術家というと一般人からかけ離れた変人ばかりを想像するが、
それをもっと皮肉ってバカバカしく描ききっているのが笑える。
これを踏まえれば、当のたけし本人が倉持真知寿と同化して、
世間の評価など気にせず(気にしているように振る舞ってるけど)
自分のやりたいように伸び伸びと生きている男という気がする。
彼はやはり、その筋の人間なんだ(爆)
ところがそういう男に尽くす女は大変だ(+o+)
樋口可南子は、まさに適役♪と思わせるくらい上手い!
こんな奥さんはそうそういないだろうし(いたらいたで怖いし)
亭主の提案に楚々と従い、文句ひとつ言わないところが笑える。
二人のやりとりが、かなり真剣でブラックで物哀しい。
加えてあの娘の可哀想なこと!こういう輩は子どもなんか
持っちゃダメだよ~ってかムリだろ~と思わせる展開だった。
ホントにこのヒトの描き方は潔い(爆)
怪しい画商が、伊武雅刀から大森南朋に引き継がれても、
やっぱりあくどい感覚商法は変わっておらず(おそらく)
売れない絵を売りつくす手腕は変わっていないみたいだ。
でもそれをいちいち信じて、バカな絵(ゴメンね)を描き尽くす
真知寿夫婦が哀れでこっけいで、あきれて失笑してしまう。
ただ、アキレスと亀の追いかけっこを何に比喩したのかが
分かってくるラストで、なぜだかジ~ンとしてきてしまうのだ。
死んでも死にきれないアホなゲイジュツ家を
20万円の空き缶で取り戻せる妻を、私はバカにできない。
価値観がモノをいう夫婦の絆を潔く見せつけられた気がした。
でもこのラスト、彼自身の本望ではなかったみたいだ^^;
(彼の感覚はやはりタダものじゃない。好き嫌いは別として。)
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