韓国で大ヒットした究極のビフォア&アフター映画を、オリジナルは日本なんだぞ!と意気込んで作られた邦画・・・なのかと、ほんの少し期待してました。いきなりクレイアニメのようなコマ撮りCGでブタゴリラと職場の人から呼ばれていた悲惨な時代を描きだすため、スクリーンを間違ったのではないかと不安になりました。もしかすると、この人形劇が延々と続くのではないかと不安になりつつも、中途半端に挿入するくらいなら、むしろ最後まで人形劇で押し通すのもシュールだな・・・などと感じながらの鑑賞です。
原作は知りませんが、韓国版では歌手という華やかな舞台の表裏を描き、この日本版ではファッション界をリードするアパレルメーカーの世界です。どことなく『ハンサムスーツ』の女性版といった内容に、『プラダを着た悪魔』を味付けしたような雰囲気になっている。亀戸商会の敏腕取締役の橘れい子(浅野ゆう子)も「以上よ」と言う台詞がメリル・ストリープの「That's all」という口癖と被っている。この浅野ゆう子の最初の登場シーンの風貌は明らかにミランダ意識したものだったけど、後半の彼女が綾波レイにも似ていた・・・
整形前のデブでブスのカンナ(山田優)をどうやってメイクアップするのかも楽しみにしていたのに、これには人形劇にしてしまうズルい手法であっさり裏切られた。しかも人形も顔を見せないようにしているのだ。ただ、元同僚のカバコ(山崎静代)がブス仲間として目立っているので、彼女を見ればわかるといったところでしょうか。
そして、気になるのは無駄な映像の編集。8mカメラ風に加工してあるのはブス時代を呼び起こすカンナ目線ととらえればいいのでしょうけど、ぼかし映像からくっきり映像にフェードする意味がわからない。カンナは目も悪かったのか?と感じさせる演技もあるのですが、このフォーカスインがうざったくなるほど誰の目線でも多用されるのには参ってしまいました。
コメディとしても中途半端で、友情物語としても物足りない。細かなことを言えば、仲良くなる隅田川菜々子(中別府葵)の性格が掴みどころがないのだ。カンナが観察した美人の性格行動(謝らない、払わない等)を箇条書きにするところは面白かったけど・・・
と、けなしてみることは簡単なのですが、新ブランドの発表会におけるカンナのスピーチにはやっぱり泣ける。整形に対する倫理感だとか、周囲の目といったことを考えつつも、イジメに遭った経験談や女性の友情なんてのを曝け出されると涙腺が刺激されるものです。生きる勇気をもらったなんて言うにはちょっと大げさですけど・・・800万ほど必要だし・・・