「覚悟はしてたけどフラストレーション溜まります [スコア修正]」ハリー・ポッターと死の秘宝 PART1 浮遊きびなごさんの映画レビュー(感想・評価)
覚悟はしてたけどフラストレーション溜まります [スコア修正]
満を持しての最終章スタート。
シリーズを1作も観ないで劇場に来たお客さんは流石に少ないだろうが、全シリーズを観てきた自分でも(まあ1回ずつ観た程度だが)一瞬話の整理が付かない位に、冒頭の展開が早い。
現状をサックリ説明した後はいきなり、間違いなくシリーズ最大のアクションシークエンスである空中チェイスに雪崩れ込み、更にはハリーとヴォルデモートの危険なニアミスさえ用意されているのだ。もう序盤からクライマックスみたいな勢いで飛ばしに飛ばす。
重要なキャラが次々重傷を負い、更には命を落とす者さえいるのに、その辺りの描写も呆気ないくらいに淡白だ。「名残惜しいが構ってられぬ」とでも言いたげに次へ次へと進む。
このままガンガン行くかと思いきや、主人公3人組の1人が重傷を負う辺りからガクッとテンポが落ちる。待てども待てども話の進展が一向に見られなくなるのである。
主人公らが仲違いを起こし、互いの絆を再確認するまでを描くのだから、本筋の方に進展が無いのもしようが無いかも。
ひょっとしたら主人公らの感じる停滞感や焦燥感を表す為の演出かとも思う。けど「どうにも退屈だなあ」と感じたのは事実。
その間も危機に見舞われるシーンは幾つもあるし、舞台も色々な場所に移るが、それらに新味のある演出がある訳でも無いし、サスペンスが盛り上がりきった所でササッと逃げてしまう、という展開が多い。なんかこう……モヤモヤする。
これだけ後半のテンポが遅いなら、もっと前半に比重を置いても良かったのではと考えてしまいますね。
後半にも“分霊箱”のシーンとか、妖精ドビーに関連するシーンとか、エモーショナルで良いシーンはあるんだけど。
結局、クライマックスも煮え切らない感じになってしまった。いよいよ話が動き出すか!?って所で映画も終わってしまうし。
PART1て事なんで覚悟はしてたけど、やっぱりフラストレーション溜まります。
前作『謎のプリンス』の時も思ったが……“消化試合”という言葉も浮かんでしまった。
監督が今のD・イェーツに交代した『不死鳥の騎士団』は良いと思ったんだけどなあ。ここに来て、最終章の出来映えに不安を感じている。
だが真価はPART2まで観なければ判断し兼ねる。スコア付けが難しいなあ。ひとまずド真ん中のスコア3.0で保留にしときます。
追記:
PART2、見事でした!
観て損ナシの3.5判定に引き上げ。
<2010/11/21鑑賞>