ハプニング : インタビュー
「ディパーテッド」でアカデミー賞にノミネートされ、役者としてますます脂の乗るマーク・ウォールバーグ。これまでタフな役柄で人気を博してきた彼だが、今回演じたのは人類を襲う見えない脅威から、妻や友人の娘を連れて必死に逃げ惑う高校の科学教師エリオットという、ごく普通の男。シャマラン映画で新境地を開いたウォールバーグに聞いた。(取材・文:立田敦子)
※【注意!】映画をご覧になってから読むことをオススメします
マーク・ウォールバーグ インタビュー
「この映画は怖がらせ、さらに考えさせる。それだけですごいことじゃないか」
――M・ナイト・シャマラン監督が好きだったことが、この映画へ出演する決め手だったそうですが。
「『シックス・センス』『アンブレイカブル』『サイン』の3本が大好きなんだ。彼は、ハリウッドでは数少ないユニークなビジョンを持った監督だと思う。もちろん、ヒッチコックや他の偉大な監督たちの影響も受けているだろうけれど、それでも彼自身の映画の作り方や脚本は、とてもオリジナルだと思う。僕は、シャマランのように自分のビジョンにこだわる監督と仕事をするか、でなければ、自分で作品を演出したいね」
――実際に仕事をしてみて、他の監督と比べてシャマラン監督は、どのような違いがありましたか?
「これまで仕事をした監督の中で、最も要求の厳しい監督だね。たとえば、『なぜ、公園で起こったの?』というセリフがあったとする。そのセリフの言い方は、シャマランにとっては一種類しかないんだ。つまり、彼がこういって欲しいと思ういい方をズバリ見つけなければいけないんだ。リハーサルをとても細かく行うけれど、それはとても役に立った。撮影現場で効率よく動けるからね」
――「ハプニング」の脚本を読んだ最初の印象は、どんなものでしたか?
「とても驚いたよ。こういう役のオファーは、僕のところにはめったにこないからね。いつもは、クレイジーな男か、クレイジーだと思っている男ばかり。いつも銃を抜く男。でも、今回は銃なんてまったく出てこない。“ワオ! クールじゃないか!”って思ったんだ(笑)」
――突然、人々を襲ったパニックの原因について、最後まで理由が曖昧なままですが、どのように解釈して演じていたのですか?
「キャラクターや彼の置かれた状況については考えるけど、ストーリー全体については考えなかった。もちろん、僕が演じた主人公は、科学では説明したり理解できない、ものすごいパワーをもったものが自然には存在すると思っている。僕自身は、神を信じているから人間を超えた大きな力があることを信じているよ。自然は、与えられた美しい贈り物であるこの地球を、僕たちがどう扱っているかについて、決して満足していないと思うよ」
――この映画の中では、家族も重要なモチーフになっていますが、あなた自身も家族ができて人生が変わったと以前、おっしゃっていましたね。自分が家族をもったことで、今回のような役はより演じやすくなったのでしょうか。
「もちろん。僕にとっては、いつも家族が一番なんだ。それに僕は、子供が大好きなんだ。13人の甥や姪もいる。子供たちのまわりにいる方が、大人たちといるよりずっと心地いいね。子供は、物事を決めつけたりしない。ときに、残酷なぐらい正直だけど。撮影の間も、ほとんど娘と一緒にいて、いつも冗談をいったり、遊んだりしていたよ。もっとも、まだ幼すぎるから、当分はこの映画を見られないだろうけど」