きみの友だちのレビュー・感想・評価
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もこもこ雲
原作 重松清さんの作品です。
好きな本多いです。
小学生の時に雨傘の取り合いから
交通事故にあい片足が不自由になった
子の話です。
主人公の恵美は事故の原因に関わった
同級生を恨み孤立していたが
体の弱い由香との学校生活を通して、
人間性を成長させていきます。
「私はみんなを信じない。本当に大切な
人がそばにいれば、いい。」
知り合いだけの空気の付き合いではなく
恵美が人生を通して獲得した
付き合い方の本質がささります。
印象に残ってる
二人の思い出の会話シーンでは、
「ずっと一緒にいていい?
私途中でいなくなるかも知れないけど、
思い出沢山残って死んじゃうのいやかもしれないけど。いい?」
「あたりまえじやん」
たとえ、その人が亡くなっても、
心を通わせた経験は、
自分と相手との距離感や付き合い方の
基準になり、
そして、その想いを心にしまって
自分独りのアイデンティティーを
作っていくんだと思います。
心の物差しをもっている人は
その人にとっての大きな個性となって
また、その人に関わる人にも
いい影響を与えていくと思います。
一番印象的だったのは、
由香が亡くなった後の病室のベッドに
寝転んだ恵美は、天井にあるものを
見つけるのですが、
これには
堪えがたい衝動が…
最近、人との関わり方悩んで、
昔どうしてたかなーと
思う人に。
おすすめ。
つらい気持ちになるから気にしない方がいい
つらい気持ちになるから気にしない方がいい。
わがままな主人公の女の子が成長した姿が石橋安奈。小学校から中学・高校時代にそれぞれ出会った女の子や男の子との交流を、その時に写した写真を通して描く。
ある時は固定で、またある時は緩やかに移動しながら。長廻しを多用した撮影は、その時々で少年少女達が感じた感情の揺れ動きを巧みに切り取っており、これまで『ヴァイブレーター』を始めとして孤独な大人の女の“性の寂しさ”を的確に表現して来た廣木隆一監督の真骨頂が、10代の子供達のピュアな姿をも活写して生かされています。いや、これまでにも『恋する日曜日…』シリーズで高校生の女の子の日常を高い演出力で描いて来ただけに、それ程驚く事も無いのかも知れません。
今回は原作が有るだけに(原作はまたしても未読です。重松作品は数作品読んだ事有り。)主人公の彼女の周辺に位置する男女のエピソードが単独で描かれて行き、その結果として主人公の女の子にとって、(画面からは)途中から居なくなる親友の女の子との絆・信頼は、この子にとって如何に大きな存在だったのか。人生を生きて行くにあたって、親友の存在が如何に大切か…を教えてくれます。
主人公を通して観客には過去の出来事が伝わって来る為に、彼女の知らない出来事等が描かれるところが多いのは、少し気になるところも無くは無いのですが、全編で「実は…」とゆう回想劇でも無いので、それ程気にせずとも大丈夫と言ったところ。
寧ろ弟の幼なじみのエピソードと、柄本時生のエピソードがほんの少し違和感がある程度でしょうか。
(2008年8月11日新宿武蔵野館3)
忘れるんだったら、思い出作らない方がいいよ
映画「きみの友だち」(廣木隆一監督)から。
久しぶりに、映画を観て泣いた。
これといった大事件が起きたわけでもないし、
大自然の大きさに感動したわけでもない。
私たち誰もが経験する学生生活や日常生活なのに、
こんなに心が動かされるとは、正直思っていなかった。
いつもは淡々と書き留める「気になる一言」も、
今回は、時々涙でかすんで書けない時さえ・・。
その中で、選んだ台詞は、
「忘れるんだったら、思い出作らない方がいいよ」。
「みんな」という、わけのわからない単位の固まりで、
すぐ忘れてしまうようなことを「思い出」と口にしながら、
私たちは、学生生活を送る。
しかし、5年、10年という歳月が流れた時、
「みんな」とは誰だったのか、覚えていないし、
「思い出」が何だったのか、これまた忘れてしまう。
これでは、薄っぺらな人生を送ることになる気がしてならない。
この会話がどんなシーンで使われるのかは、観てのお楽しみ。
外は寒かったけれど、心が温かくなって、
大切な友だちに逢いたくなった映画である。
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