きみの友だち
劇場公開日 2008年7月26日
解説
交通事故の後遺症が原因で自分の殻に閉じこもってきた恵美と、幼い頃から病弱だった由香。10歳の時から友情を育んできた2人は、中学に入っても強い絆で結ばれていた。そんな2人を取り巻く人々も、それぞれ不安や迷いを抱えながら生きており……。直木賞作家・重松清の同名作を、「やわらかい生活」の廣木隆一監督&「黄泉がえり」の斉藤ひろし脚本で映画化した青春ドラマ。主演は映画初出演の石橋杏奈と「誰も知らない」の北浦愛。
2008年製作/125分/日本
配給:ビターズ・エンド
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2019年7月15日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル
小学4年生の頃、恵美は交通事故の後遺症により常に松葉づえが不可欠な生活を送っていたが、なわとびの大会の縄係として腎臓病のため学校を休みがちな由香と仲良くなる。そこから5年間ずっと一緒にいた“友だち”となったのだ。お互いに病気だという、単なる傷の舐め合いなんかじゃない!そこには子供ながらSとMの関係さえ見受けられる。微妙な精神バランスと絶妙な信頼関係が存在しているのだ。確かに子供の頃であれば「ずっと一緒にいたい」だけで親友になれるのかもしれないけどね・・・
繊細な心理を描きながら小さなエピソードでまとめあげ、途中からはがらりと中心人物が変わってゆく。もう一人仲の良かった子ハナ(吉高)の存在だ。中学生の時、彼女もまた突如視力が悪くなる病気になり、恵美と由香とも仲良くなる。ただ、彼女に関しては結末というか、将来が知りたくてたまらなくなる存在だ。まさか『蛇とピアス』みたいになるんじゃ・・・
男目線で観るからかもしれないが、恵美の弟ブン(森田直幸)のエピソードがまたチクチクと刺してくるかのようにほろ苦い中学生時代。中学一年で学年成績トップでサッカー部のエリートとなり、また性格も良すぎ・・・幼なじみで落ちこぼれてしまった三好(木村耕二)とのエピソードや上級生の落ちこぼれ・佐藤先輩(柄本時生)とのエピソードが、ひねくれた心をえぐり取られるほどのインパクト。そこへズバズバモノを言う大人になった恵美も登場するのであるが、言葉はきついが相手を思いやる心にキューンときてしまうのだ。バレンタインデーに中原に贈ったチョコが3番目という謎も解決する。
時系列があちこち移行するけど、気になるのは中学時代と大人時代の恵美がどちらも石橋杏奈なのか?という疑問を持つくらいだ。また、撮影は7割くらいはロングショットだし、長回しもあったりして、年齢がわかりにくくなると同時にけだるい雰囲気を醸し出している。
2017年9月10日
Androidアプリから投稿
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原作 重松清さんの作品です。
好きな本多いです。
小学生の時に雨傘の取り合いから
交通事故にあい片足が不自由になった
子の話です。
主人公の恵美は事故の原因に関わった
同級生を恨み孤立していたが
体の弱い由香との学校生活を通して、
人間性を成長させていきます。
「私はみんなを信じない。本当に大切な
人がそばにいれば、いい。」
知り合いだけの空気の付き合いではなく
恵美が人生を通して獲得した
付き合い方の本質がささります。
印象に残ってる
二人の思い出の会話シーンでは、
「ずっと一緒にいていい?
私途中でいなくなるかも知れないけど、
思い出沢山残って死んじゃうのいやかもしれないけど。いい?」
「あたりまえじやん」
たとえ、その人が亡くなっても、
心を通わせた経験は、
自分と相手との距離感や付き合い方の
基準になり、
そして、その想いを心にしまって
自分独りのアイデンティティーを
作っていくんだと思います。
心の物差しをもっている人は
その人にとっての大きな個性となって
また、その人に関わる人にも
いい影響を与えていくと思います。
一番印象的だったのは、
由香が亡くなった後の病室のベッドに
寝転んだ恵美は、天井にあるものを
見つけるのですが、
これには
堪えがたい衝動が…
最近、人との関わり方悩んで、
昔どうしてたかなーと
思う人に。
おすすめ。
2015年3月31日
フィーチャーフォンから投稿
鑑賞方法:映画館
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つらい気持ちになるから気にしない方がいい。
わがままな主人公の女の子が成長した姿が石橋安奈。小学校から中学・高校時代にそれぞれ出会った女の子や男の子との交流を、その時に写した写真を通して描く。
ある時は固定で、またある時は緩やかに移動しながら。長廻しを多用した撮影は、その時々で少年少女達が感じた感情の揺れ動きを巧みに切り取っており、これまで『ヴァイブレーター』を始めとして孤独な大人の女の“性の寂しさ”を的確に表現して来た廣木隆一監督の真骨頂が、10代の子供達のピュアな姿をも活写して生かされています。いや、これまでにも『恋する日曜日…』シリーズで高校生の女の子の日常を高い演出力で描いて来ただけに、それ程驚く事も無いのかも知れません。
今回は原作が有るだけに(原作はまたしても未読です。重松作品は数作品読んだ事有り。)主人公の彼女の周辺に位置する男女のエピソードが単独で描かれて行き、その結果として主人公の女の子にとって、(画面からは)途中から居なくなる親友の女の子との絆・信頼は、この子にとって如何に大きな存在だったのか。人生を生きて行くにあたって、親友の存在が如何に大切か…を教えてくれます。
主人公を通して観客には過去の出来事が伝わって来る為に、彼女の知らない出来事等が描かれるところが多いのは、少し気になるところも無くは無いのですが、全編で「実は…」とゆう回想劇でも無いので、それ程気にせずとも大丈夫と言ったところ。
寧ろ弟の幼なじみのエピソードと、柄本時生のエピソードがほんの少し違和感がある程度でしょうか。
(2008年8月11日新宿武蔵野館3)
2010年12月20日
フィーチャーフォンから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル
いい映画でした。
心に残る言葉と、たくさんの雄弁で濃密な沈黙がありました。
いくつもの場面が心に繰り返し浮かんできます。
観終わってからも、じんわりとしみこみ続けるあったかさでした。
中学時代のモヤモヤした日常と、幼い心を押し潰しそうな出来事と、ほんのわずかな温かい瞬間。
でもそんな事の全部が今に繋がっている。忘れていた瞬間を思い出させてくれました。
若い人達にあれほどたくさんの沈黙の演技、監督勇気あるな。それにきちんと応えてる子達が素晴らしいです。
音楽も優しく、心を素直にしてくれました。
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