きみの友だちのレビュー・感想・評価
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ぎゅっとなるかんじ
むかし見たんだけど、よく覚えている。
石橋杏奈はしとやかで、北浦愛が素朴で、吉高由里子は真新しかった。柄本時生はすでに持ち味があって、みんな瑞々しかった。フレッシュなのに石橋杏奈にはすでに巧さと達観があった。
廣木隆一はすきじゃないがこれと恋する日曜日っていうなんでもない映画は覚えている。(水橋貴己という幻みたいな俳優が主演だった。)
じぶんの嗜好として、弁解がましくない日常が描かれているものはあまり文句をつけない。かわいそうや非情が露呈しているのが嫌なんだ。だからきっと監督じゃなくて原作によるのかもしれないと思ったりもする。
嫌いと好きの基準なんて・・・土台しろうとのレビューなんて不徹底なもの──だとは自覚している笑。
原作を読んでいないので真意を解しているつもりはないが映画の主人公は“さびしさ”。苛烈なさびしさじゃなくてメランコリーと甘酸っぱい青春気配のあるやつ。そのなんでもなさがきみの友だちをカルトっぽくしている。すこし大げさに言うとがんばっていきまっしょいの気配に似ている。
気の強い子が、病弱な子とのふれあいを通じて、腹を立てたり腹を立てたことを自戒したりしながら自分を知り、思いやりを養っていく。
なんかそういう思い出ありませんか。「あの時あの子につらくあたった記憶を思い出すたび後悔する」みたいな・・・。
そういう過去のじぶんの未成熟を想起させ“ぎゅっ”とした気分になる映画だった──と記憶している。
“ビターズ・エンドっぽい”という認識もきみの友だち当時に形成されたが、決して配給品の作風に一貫性があるわけではない。あるわけではないのにビターズ・エンドっぽい感じという固定概念がじぶんのなかにはある。
なんか解んないかなあ。あの抒情で散文的な感じ。単館から口コミで広がる感じ。ファッションライターふぜいが褒める感じ。ポスター画だけで七割方見た気分になる感じ。www。
重松清はこんな作品まで書けるんだな。驚いた。映画でしか拝見してないけど・・・
小学4年生の頃、恵美は交通事故の後遺症により常に松葉づえが不可欠な生活を送っていたが、なわとびの大会の縄係として腎臓病のため学校を休みがちな由香と仲良くなる。そこから5年間ずっと一緒にいた“友だち”となったのだ。お互いに病気だという、単なる傷の舐め合いなんかじゃない!そこには子供ながらSとMの関係さえ見受けられる。微妙な精神バランスと絶妙な信頼関係が存在しているのだ。確かに子供の頃であれば「ずっと一緒にいたい」だけで親友になれるのかもしれないけどね・・・
繊細な心理を描きながら小さなエピソードでまとめあげ、途中からはがらりと中心人物が変わってゆく。もう一人仲の良かった子ハナ(吉高)の存在だ。中学生の時、彼女もまた突如視力が悪くなる病気になり、恵美と由香とも仲良くなる。ただ、彼女に関しては結末というか、将来が知りたくてたまらなくなる存在だ。まさか『蛇とピアス』みたいになるんじゃ・・・
男目線で観るからかもしれないが、恵美の弟ブン(森田直幸)のエピソードがまたチクチクと刺してくるかのようにほろ苦い中学生時代。中学一年で学年成績トップでサッカー部のエリートとなり、また性格も良すぎ・・・幼なじみで落ちこぼれてしまった三好(木村耕二)とのエピソードや上級生の落ちこぼれ・佐藤先輩(柄本時生)とのエピソードが、ひねくれた心をえぐり取られるほどのインパクト。そこへズバズバモノを言う大人になった恵美も登場するのであるが、言葉はきついが相手を思いやる心にキューンときてしまうのだ。バレンタインデーに中原に贈ったチョコが3番目という謎も解決する。
時系列があちこち移行するけど、気になるのは中学時代と大人時代の恵美がどちらも石橋杏奈なのか?という疑問を持つくらいだ。また、撮影は7割くらいはロングショットだし、長回しもあったりして、年齢がわかりにくくなると同時にけだるい雰囲気を醸し出している。
じんわりとしみこみ続けるあったかさ
いい映画でした。
心に残る言葉と、たくさんの雄弁で濃密な沈黙がありました。
いくつもの場面が心に繰り返し浮かんできます。
観終わってからも、じんわりとしみこみ続けるあったかさでした。
中学時代のモヤモヤした日常と、幼い心を押し潰しそうな出来事と、ほんのわずかな温かい瞬間。
でもそんな事の全部が今に繋がっている。忘れていた瞬間を思い出させてくれました。
若い人達にあれほどたくさんの沈黙の演技、監督勇気あるな。それにきちんと応えてる子達が素晴らしいです。
音楽も優しく、心を素直にしてくれました。
まるで寄木細工のように丹精込めて作り上げられていた
上映前に監督と、
メイン役3名の舞台挨拶がありました。
そのため、通常の上映とは違い、最前列から
席が埋まっていく。ちょっと、違和感というか
怖かったです。その分、見やすいポジションが
キープできましたので、ラッキーでした(笑顔)
さすがに、舞台挨拶後、映画を見ずに、
最前列の2名が帰ったのには、言葉を失いましたが(苦笑)
この作品、監督曰く・・
・演技は3人の感性に任せました
・原作に感動をしたので、その感動を映画にしたかった
・別に「ともだちは、絶対に必要とは思わない」
・ともだち以外にも、メッセージは込められている
・現場は、和気藹々、ではありませんでした
など、朴訥と語られていました。
上映前だったため、深くも突っ込めず、
苦しい点はあったのですが、インタビュアーが
台本そのままで、しかも質問が下手で、
監督と、一部の出演者はイラっとしていたようでした。
私も、イラっとしていました(苦笑)
♪♪―♪♪―♪♪―♪♪―♪♪―♪♪―♪♪―
”遅効性”の感動をしました。
ラストシーン、エンディングの歌詞、
その二つが合わさったときに、心に、
化学反応が起きてしまいました。
そこから、泣きっぱなし。
次の映画館の道中「やばい、やばい」と
左斜め上を見て、涙が落ちないようにしてました。
ただ、先にコレだけは、書いておきます。
「万人受けする作品」では、ないと思います。
これだけ、感動しておきながら、矛盾すると
お思いになられるかもしれませんが、1年前の私なら、
「なにこれ、時間返してよ」と怒っていた気もします。
理由、ストーリーが淡々としすぎていて、
これ、原作、短編集なんでしょうか?
主役を、ハブにしながら、脇役の人物を
スポークのように、1人ずつ描いていくんです。
そして、1人ずつ、
「友情」を重心におきつつ、
「死」「羨望」「身体障害」など、
サブテーマを盛り込んでいく。
「メッセージ、受け止めます。お願いします」
積極的に作品の世界へ飛び込んでいく姿勢であれば、
共感できることも多く、心動くと思うんです。
でも、
「面白い作品見せてください。待ってますよ」
完全受身の姿勢で見た場合。メッセージは届かない
気がします。セリフ立てていませんし、派手な
出来事も用意されていませんから。
一昔、流行った「ウォーリーを探せ」
お客様側から、メッセージを探しに
行かなければ、見つからない、
そのような作品に思えました。
《みんなは信じない。ひとりがわかってくれればいい》
小学、高校~社会人まで、描かれている。
心に残った、それぞれのとき、は、
[小学校]
・「こんな足になったのは、
あなたのせいでもあるんだからね」と
つい、吐いてしまうシーンと、それを受けた翌朝のシーン
[高校]
・いつも二人でいるシーン
・吉高さんが、石橋さんに、雲の写真を渡すシーン
[成人]
・石橋さんの写真展に、北浦さんの両親が
ある写真をもって、訪れるシーン
全体を通して、セリフは多くないです。
沈黙という声、を使うシーンが非常に多いです。
説明セリフが、ほとんどありませんので、
観客側で、思いを膨らませられる場面が多い。
「監督、よくここまで、間をとれるよなぁ」って
感心したくなるほど。シーン転換前だけでなく、
セリフとセリフの間にも、そんな場面がありますので、
余計に、その感心を強くさせられました。
《「思い出をたくさん作ってしまうかも
しれないけど、一緒にいてもいい?」「いいよ」》
ここまでのシーン、このセリフ、
ある贈り物、ある場所、そしてエンディング歌詞。
そのすべてが、全部あわさったその瞬間、
遅効性の感動、落涙へと繋がってゆきました。
♪♪―♪♪―♪♪―♪♪―♪♪―♪♪―♪♪―
作品披露試写会、上映終了後、
著者重松さんは、監督廣木さんと、抱き合ったそうです。
著者も感動するほどの、世界がそこにあった証ではないでしょうか。
あまり多くの映画館で上映されていないのが
残念ですが、もしよろしければ、一度ご覧下さい。
~なん年か経ったとき、
「よく、この5人を集められたね」
そんな思いで振り返ることになりそうな気がしました~
※注:5人
石橋さん、北浦さん、吉高さん、森田くん、柄本くん
長回しはいいのですが、妙に長い間延びしたシーンが多々あって、素人作品に近いもののを感じました。
喪失と希望、痛みと再生がテーマの重松清の原作が持つナイーブな感性を感じさせる作品です。しかし映画としては、素人作品に近いもののを感じました。
長回しはいいのですが、妙に長い間延びしたシーンが多々あって、台詞がないのに人が佇んでいたり、次の台詞が出るまでのタイミングが結構遅かったりします。
あと台詞が所々棒読みになっているところもありました。映画出演の経験のない若手を起用しているのはいいですが、ちょっと酷すぎると思います。
あと低予算ミエミエのところとして、ロケ現場が限られていて、同じ場所の使い回しが目立ちました。相当短いスケジュールで、効率的に撮ったのでしょう。
肝心のストーリー面でも、カットバックを多用し、恵美がその時々に撮影した身の回りの人のエピソードをランダムに描いたため、肝心の由香との友人関係が希薄になってしまっていました。物語中盤には、突如由香は登場しなくなり、終盤にはもうベッドで療養中だったのです。
さらに音声のセットがライブ気味な収録で、台詞が聞き取りにくいところもありました。
それなりのキャストと監督なら、きっとLittleDJkような感動作になったはずです。
ただ、恵美が知り合ったライター写真展の開催を勧められたとき語る、『「みんな」という言葉は嫌い』という気持ちには共感できましたね。「みんな」って誰のこと?それより、大切な人に来て欲しいという言葉はなるほどと思いました。
恵美にとって沢山の友達に恵まれるよりも、由香とのたったふたりの関係が、とても掛け替えのない日であったのです。
友情って、量よりも質でしょうね。
この作品で見せられる友情は見ていて悪くはないので、小地蔵も魂レベルで深く交じり合う友が持てたらいいなぁと啓発されましたよ。
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