実録・連合赤軍 あさま山荘への道程(みち)のレビュー・感想・評価
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反スターリンですからね。
立松和平さんの『光る雨』がベースになると思う。
この演出家の脚本ではないと思うが。
『あんたね。女を武器に使うんじゃないよ。』台詞。
ほとんど、こう言ったセクトからオルグされるノンポリの奴らは『可愛い女性』目当てが多かった。
だいたい、性的なコンプレックスからこう言った活動は動いている。
さて、この類が団塊の世代の左翼と揶揄する方もたくさんいるが、その後の歴史に於いて、毒ガスをまいた奴等がいた事をわするべからざり。彼らは優秀な奴等かもしれないが、イデオロギーは全く逆。
そもそもの革命、内戦の仕方を日本人は知らない。武力を行使して革命を起こしたくば、体制側の武力を利用しなけりゃ駄目なのだ。つまり、武器と兵站が基本なのである。彼らがやっていた事は『ゴッコ』なのだ。
そして自滅する。
それを一番良く知っていたのは、三島由紀夫と楯◯会なのだ。彼はそれを目一杯ディスって、軽佻浮薄な自慰行為をアイロニーしたと思っている。見た目を飾る軍服がそれを証明している。トドメで彼は命までかけた。
『敵』と言ってるが『当局』って言っていたと記憶する。
我が亡父は酒飲みながら『こいつら、ウマシカだよな。共産主義って言いながら、何も生産してないじゃん。お前は真似すんなよ』って言っていた。納得した。つまり、日本にもいたモラトリアム青年達の自慰行為ダネッ。
出色のアクションシーン!
あさま山荘モノでは「光の雨」「突入せよ!~」に続く3本目。比べて申し訳ないですが、本作が最高と思います。タイトルからすると、あさま山荘に立てこもるまでの映画かと思っていたら、立てこもってからの機動隊との攻防戦までしっかりありました。この攻防戦が実に凄い!「七人の侍」の雨中のシーンに匹敵するのではないでしょうか。「突入せよ!~」と反対に、外からガンガン攻められる有様が山荘内の視点で描かれます。あの事件の際、外から見えなかった中ですが、中からも外はよく見えなかった(と思われる)、そこに壁をぶち割って鉄球が打ち込まれる。柱も梁も折れる!その恐怖!また、映画では水を使うのは特に難しいそうですが、外からの放水も凄まじい勢いでくる。あんな高圧水で叩かれたらカメラなんかひとたまりもなかったでしょう。演じた人・監督さん・撮影陣に最高度の賞賛をおくりたいです。
前半の全共闘運動等のれきしのパートは学校の教科書みたいでカタい描写でした。原田芳雄のナレーションもうまいとは言えなかった。
かつては敵前逃亡をした卑小な男だった森恒夫が、連合赤軍を結成してから独裁者になって、「総括」などとして大勢死に至らしめた過程、永田洋子の酷薄さは劇場を出ようかと思ったくらいでした。その辺もちゃんと描いているのはよかった。
山荘内で攻防の最中にビスケットを一人で食ったとかどうとかで「総括を求める!」などと、この期に及んでも言っている奴もいたりして(劇場内一部失笑)、人間の愚かさを見せつけられました。「理想の国」とか「理想の社会」を追い求めることがこういう残酷な「笑えぬ喜劇」を生むとすれば、より多くの人に見てもらいたい作品です。
井浦新さん目当てで観ました
序盤はニュース映像に時代を俯瞰した(原田芳雄の渋い声の)ナレーションをかぶせ、背景をおさらい。キーワードを赤ゴシック体でバーン。場面にはまったカッコいいBGM。
「革命的認識」をはじめ、「客体化」「主体的」「過程」等々、学生(革命戦士)たちの使う言葉、言ってることが分からなさすぎて、笑えます。
喜劇的なくだりがいくつもあるが(水筒問題、銭湯問題、つまみ食い問題…)当事者は、その馬鹿馬鹿しさに気づかない。
制約の多い閉鎖的な集団の中で、クラスのいじめ、部活のしごきに通じる病理が募っていくさまが描かれる一方で、若者の集団生活らしい健康な連帯感(合唱してたり)も描かれたりして、切ない。
坂井真紀の入浴シーン(全裸の背中)はうまく消化できなかった(後に折られることになる若い健やかな命をより痛ましく見せるため?)が、2回目によく見たら、左肩に青痣があるようにも見えたので、訓練の過酷さとか、その後の運命を暗示したかったのか…サービスショットか。
坂井真紀の遠山さんに関しては、ああいうキャラクターならなんで赤軍派の創設メンバーになって革命戦士として軍事訓練受けようなどと思ったのかが、「母の苦労を見てる」だけでは今一理解できず。当時はあんなふわふわした感じでも、ムーブメントに乗ってしまったのでしょうか。
永田洋子役の女優さんの、これまでの人生のルサンチマンがこもった、酷薄で陰険な表情がよかった。この人は過激な活動に走る理由が見える。ところでヒロコだったんですね。ヨーコだと思ってました。
「日和る」(判断が揺れ動く)というのは、とても人間的で大事なことなんじゃないかと、不動の意思とか不退転の決意とかを求めて自滅していった彼らを見て、思いました。
あさま山荘事件の映画だと思って臨みましたが、そこはほんの終盤にすぎません。長くて重いのは、そこに至るまでの、いわゆる山岳ベース事件の方です。
ちなみに警察側から描いた先行作品、「突入せよ!あさま山荘事件」も観てみましたが、こちらはより娯楽性が強く(ヘンな後味を残さない)、勝てば官軍で佐々敦行がめっちゃカッコよく描かれており、対立する長野県警側が超鈍臭く描かれていてやや気の毒。ラストの主人公(役所広司)のセリフ、私が天海祐希(妻)ならどつきます。
本作に戻ると、山荘の奥さん(奥貫薫)の存在の佇まいがよかった。好きな女優さんです。
最近、今上天皇に係る皇室史を振り返るドキュメンタリーを見ることが多かったのですが、並行して、庶民の世界はこういう風に揺れ動いていたんだなあと、思ったことでした。
最後に、坂井真紀何を着てもオシャレに見えてしまう問題を提起して、終わります。
長かったーーーーーーーーー
1960〜70年代
連合赤軍: 赤軍派+革命左派
共産主義化のための革命を起こそうとする
井浦様は、最後まで逮捕されずに残ってあさま山荘事件を起こした連合赤軍幹部の一人、坂口弘(革命左派)
「自己批判」論理的に反省すること?
「総括」今までの自分の行為を振り返って分析して自己批判し、自分にとって何が一番革命的か考える
「銃による殲滅(せんめつ)戦」
連合赤軍のメンバーは革命戦士になるため山の中で訓練するが、赤軍派創立メンバーの遠山美枝子(坂井真紀)など数名が「総括ができていない!」と赤軍派リーダーの森恒夫(赤軍派)と永田洋子(革命左派)に目をつけられる。
他にも、総括するためという名目で何人ものメンバーが暴力を受けて数名が死んでしまうが、森は彼らを殺したのは自分らではないのであり、その死を共産主義化に対する敗北だと言う。
遠山も「総括するために自分を殴れ!」とか言われ、死ぬのが怖くて従わざるを得ず従うが、そのまま放置されて精神を病んで結局死んでしまう。
ついには幹部メンバーも「処刑」といって殺されたりするが、みんな自分が暴力を振るわれるのが怖くて何も言えない。
小屋を出たあとバラバラに行動するが、井浦様と共に行動していたメンバー5人以外は全員検挙される。
残った5人があさま山荘を占拠する。
いやー頭おかしいでしょ!!
最初から最後まで、自分たちの行為に対する正当化の無理矢理感が半端ない!!
理由なんかどうでもよくて、ただ山の中の集団生活にストレスが溜まってその捌け口としているようにしか見えない〜
「総括」という言葉を何度も何度も繰り返して相手を攻め立てて、リーダーに言われるがままに全員で集団リンチするなんて、頭のおかしい変質者の集まりって感じ。
でも、とにかく胸糞が悪いんだけど、 暴力や殺人を抜きにしたら、連合赤軍メンバーの情熱、求心力、団結力は凄まじい。
今、こんだけ何かに命を捧げられる人っている?
あさま山荘の5人も、あれだけ追い詰められた状況になってもまだ「クッキーを食べていた!総括を求める!」とか言ってるし、あの目の覚めなさは狂気。
頭おかしいと思うけど、あれだけのことを徹底してやったからこそこの事件について今も語り継がれているのかも。
良い語り継がれ方じゃないと思うけど。
共産主義とか私は個人的に「え?」って感じだけど、当時の人は当時の人で思うところがあってそれを目指したんだろうし、そういう時代だったのかなぁ。
思想や求めるものがたとえ間違っていなくても、やり方を間違えるととんでもない方向に行ってしまって、しかもその道程の真っ最中にいるときはそのことに気付けないという危険性がある。
でもでも、その危険を避けるために自分を客観的に振り返る「総括」「自己批判」なんじゃないかと思うんだけどねぇ。
強要されてするもんじゃないね。
学生運動とか赤軍派とかについて予備知識ゼロだし、聞き慣れない言葉ばっかりで、
共産主義化してどうしたかったの?
あの小屋で何してたの?
革命を起こすって何をしようとしてたの?
山荘で「俺たちにあるのは、勝利か死だ」って言っていたけど、どうなれば勝利したことになったの?
という根本的な疑問が残ったのでした。
長かったーーーーーーー
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