劇場公開日 2008年5月31日

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「どんでんどんW返し!ジェヨン監督の構成力の巧みさには唸りました。」僕の彼女はサイボーグ 流山の小地蔵さんの映画レビュー(感想・評価)

4.5どんでんどんW返し!ジェヨン監督の構成力の巧みさには唸りました。

2008年4月30日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 韓国映画のヒットメーカー、クァク・ジェヨン監督が日本のラブコメ漫画を原作に用い、オール日本人俳優をキャストに使って、日本語による韓国映画を作っていることに関心がありました。
 邦画作品と韓流日本映画はどう違うか!
 結論を言うと、韓流に多い喜怒哀楽をハッキリうちだし、キャラが色濃く立っている点で、本作も違いが出ていたと思います。やっぱりラストはお約束の涙腺を直撃されてしまいましたしね。この作品の「パワフルな彼女」と「ちょっと頼りない僕」という設定は、韓流映画の王道パターンにはまっているのでは、ないでしょうか。

 それにしてもジェヨン監督の構成力の巧みさには唸りました。本線に関係なく人助けしてしまうシーンにまで、全て複線として使いこなし、ラストのどんでん返しは、さらにもう一本、予想外のでんどん返しが加わります。ただでさえタイムトラベルものはストーリーが複雑になりやすいもの。そんな複雑なラストではこんがらがってしまいます。
 けれども強烈なでんどん返しで監督は、冒頭から描いてきたシーンの意味を全てひっくり返してしまうのです。
 そこで、もう涙腺攻撃の仕掛けが終了。あとはただ冒頭のシーンをリフレインしているだけなのに、見方が変えられたため、すごく感動してしまいました。

 それにしてもこの作品での綾瀬はるかは良かったです。彼女にかかれば、サイボーグらしく見えてしまうから不思議です。それとご主人様のジローとの共同生活を送るなかで、当初無機質だった表情が次第に人間味を増した表情に変わっていき、最後に恋する人の顔つきになっていくのです。ジローにディスコに連れて行かれたとき、サイボーグ風に踊るところなんぞ傑作でした。
 またマネキンになりすますところも、完璧に人形になりきっていましたよ。

 ただ彼女は全然倫理観がプログラムされていません。着るものは万引きし放題。食べ物は無銭飲食し放題。彼女を作った未来社会には、倫理観が崩壊しているのかなぁ~。
 あと彼女は初期設定でペットを食べ物と設定されていたようです。ジローが買っていたイグアナとカワイイ子猫がなんと鍋になってしまうのです。ホントにネコ鍋。これには少々引きましたけれどね。(ネコは後ほど過去から連れ戻しておりましたが・・・)
 加えてエッチなことには断固拒否のようで、キスすら何も感じないのです。原作やラブコメのファンの方なら、ジローと絡むシーンを期待する人もいるかも知れませんが皆無!ちょっとでも手出ししようとしたら、数メートルは、ぶっ飛ばされるから要注意なんですよ。
 そんな彼女と同居するジローは男として悩みつつも、人間として彼女を扱い、人並みに愛し、優しさをにじませる姿を小出恵介が好演していました。彼の頼りなさが、ファンにとっては、また母性本能をくすぐられるところでしょうね。

 後半の地震のシーンも、これはこれでラブコメとは思えない迫力あるシーンで、本当に起こったらとぞっとさせられました。

 とにかく随所に小ネタも散りばめて散々笑わせておいて、ホロリと落とす楽しさ満載のエンタ作品なんです。デートムービーとしても、お勧めしておきますよ。

流山の小地蔵