ナルニア国物語 第2章:カスピアン王子の角笛 : インタビュー
世界中で読み継がれているがゆえに、数え切れないファンがいる原作を、より多くの観客が納得するかたちでまとめあげ、見事に映画化を成功させた「ナルニア国物語」のプロデューサー、マーク・ジョンソンにインタビュー。映像化成功の秘訣や、シリーズの今後についても聞いてみた。(取材・文:編集部)
マーク・ジョンソン プロデューサー インタビュー
「3作目でとりあえず終わり……ということはないよ」
――1作目がヒットしてファンの期待も高まっている中、第2作を作る上で一番気を遣ったことは?
「続編を作るのは、1作目を作るよりも難しい作業だ。おっしゃる通りファンの期待が高まっているので、彼らをガッカリさせてはいけないというプレッシャーがあるからね。でも、そういうことばかり考えていては映画は作れない。そうしたことは一度忘れて、“この1本に賭ける”という気持ちで臨み、最高の作品を作れば、自ずとファンの期待にも応えられるのではないかと考えているよ」
――C・S・ルイスの原作はわりと淡々と描かれていますが、映画はとてもダイナミックな仕上がりになっていますね。
「監督、脚本家といろいろ話し合って、今回はかなり変更しようということになったんだ。『ライオンと魔女』は原作に忠実だったけど、『カスピアン王子の角笛』のほうはかなり変更している。でも、原作の持つ精神や狙いはちゃんと守っていると思うよ」
――死が描かれていたり、前作よりもダークな部分が強く出ています。前作より大人向けに作ったという意識はあるのでしょうか?
「意識的にそうしようというよりも、原作がより暗くダークでドラマチックだったということだよ。カスピアン王子は叔父に父を殺され、その復讐をしようとするという、シェイクスピア的な要素もあるしね。原作がそうなっているから、映画もよりダークになっているんだと思う」
――C・S・ルイスが書いた原作の順番どおりに映画化されていますが、劇中の年代順に作っていくという方法を取ろうとは考えませんでしたか?
「一番人気のある原作は『ライオンと魔女』だから、まず最初にそれを映画化した。そのおかげでペベンシー兄妹がキャスティングされたが、もし順番を変えると、(子役たちが成長してしまうから)全部キャスティングし直さなければならない。そういうこともあって、ペベンシー兄妹が出てくる『カスピアン王子の角笛』、その後の『朝びらき丸 東の海へ』までの順番は絶対に崩せないと思ったんだ。ちなみに私が一番好きなのは『魔術師のおい』(第6章)だから、早くそれをやりたいんだけどね(笑)」
――次の「第3章」は監督がマイケル・アプテッド(「ネル」「007/ワールド・イズ・ノット・イナフ」)になりましたが、彼に決めた理由は? また、今後のシリーズ展開は?
「3作目は10月から、『タイタニック』を撮影したメキシコのスタジオで撮影に入るよ。マイケルに決めたのは、素晴らしい監督であることがひとつ、俳優をうまく扱えるというところがもうひとつだ。3作目は少年たちが好むアドベンチャー的な要素が強い。『ハリー・ポッター』も、3作目でアルフォンソ・キュアロン監督に代わり、最初はみんな驚いたけど、出来上がった作品は素晴らしかった。それと同じで、マイケルも素晴らしいものを作ってくれると思うよ。今後のシリーズに関しては、『カスピアン王子の角笛』が成功すれば、すぐに4作目の準備にも入りたい。3作目でとりあえず終わるとか、そういうことはないよ」