神様のパズル : インタビュー
「男たちの大和/YAMATO」での復活以降、日本映画界を席巻している角川春樹プロデューサーと、「クローズZERO」の大ヒットも記憶に新しい現代日本映画界を代表する鬼才・三池崇史監督がタッグを組んだ「神様のパズル」。宇宙創生に挑んだ2人の若者を描いた本作について、角川プロデューサーと三池監督に話を聞いた。(取材・文:編集部)
角川春樹プロデューサー&三池崇史監督インタビュー
「“チャーミングな映画”になったと思っているよ」(角川春樹)
「ひと回りしてスタートラインに立った感じ」(三池崇史)
――とても若々しい青春映画でしたが、角川プロデューサーはリメイク企画より、こういった企画の方が体質に合っているのではないですか?
角川「体質に合っているかどうかは分からないけれども、獄中に居るときからやりたい企画だったんだよ。だが、果たして映画として成り立つのかどうか、とても見えにくかった。ジャンルを無理矢理分けるとなると、青春映画ということになるが、“宇宙を創ろう”っていう話だけに、その観点はずらさないで描かなければならない。ここが一番の悩みどころだったね。ただ、出来上がれば、今までにない映画が出来上がるんじゃないかなと思っていたし、実際出来上がった後は“チャーミングな映画”になったと思っているよ」
――原作は第3回小松左京賞を受賞した機本伸司によるSF小説ですが、脚色は大変だったのでは?
三池「(脚本の)NAKA雅MURAと角川さんの3人で、シナリオを作りましたが、信じられないような光景でしたよね。『角川さんと打ち合わせしてるよ』『あの角川春樹だぜ』っていう感じで、人生捨てたもんじゃないって思いましたね(笑)。子供の頃から見てた映画を作ってきた人間と一緒に何かモノを作る。しかも今回は、映画として挑戦的で大冒険じゃないですか。こういった企画に呼んでもらったということは、何か今までの色んな経緯があった末に辿り着いた到達点のようでもあるし、逆に角川さんからすると、出発点のように見えるんでしょうね」
――なぜこの題材で三池監督を選んだのですか?
角川「今まで、大林宣彦さんとか青春映画を多く撮っている監督がいるよね。そういうフィールドではない人間と組んで、今まで見たことのない映画を作りたいなと思ったんだよ。“この作品、ジャンルだから、この監督”という当てはめたような決め方は良くないわけだ。だから、もし三池が作るんだったら、とんでもない青春映画になるんじゃないかという期待があって彼を選んだわけです」
――こうやって並んでいると、大人の不良2人でとてもいいコンビに見えます。
角川「ああそう。俺はどこへ行っても、似ているのはその不良性だけで、それ以外は全く異質で、この2人の組み合わせ自体が『神様のパズル』だなんていわれてたんだよ(笑)。でも、同じ匂いはするだろうね。俺が映画を始めてから32年。いままで色々な監督と仕事をしたけど、この三池はわかりやすい性格なんだよねえ(笑)。藤田敏八なんかは中々本当のことを言わないから、面倒だったんだ(笑)」
三池「僕はすぐに見透かされてしまうんです(笑)。角川さんに『お前、本当にこの台本分かってるんだろうな?』って言われると、こっちは『ハイ』と言うしかないんですけど、それを見た角川さんが『ハイ、っていうお前の顔は、分かっていない顔だ。でも、ハイって言い切るんだからやらせてみるか』っていう感じで撮らせてもらえました(笑)。でも、角川さんは桁違いですから、僕とコンビだなんてとんでもないです」
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