しあわせのかおり

劇場公開日:

しあわせのかおり

解説

年老いた中国出身の名料理人の王と、王に弟子入りするシングルマザーの貴子の血縁を超えた絆を描くドラマ。誠実だが不器用な王を「アカルイミライ」の藤達也が、仕事を辞めてまで王に弟子入りする貴子を「嫌われ松子の一生」の中谷美紀が好演。金沢の港町にある小さな中国料理店を営む王は、ある日突然病に倒れ、料理を続けるには難しい体になってしまう。デパートの営業で訪れた際に王の料理に魅了された貴子は店の事情を知ると、料理を教えてほしいと王に申し出る。

2008年製作/124分/日本
配給:東映
劇場公開日:2008年10月11日

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(C)2008「しあわせのかおり」製作委員会

映画レビュー

3.0二人の再生の足跡が温かい

2024年6月18日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

店の味の人気度に着目して、あれだけ熱心に出店を働きかけていたのに、店主の健康状態が良くないと知ると、途端に掌を返したように、見切りをつけるー。
デパート側の、そのドラスティックさに、嫌気が差してしまったのかも知れません。貴子としては。

その貴子を演じた中谷美紀が、なんと言っても好演です。
夫の急逝で患った感情障害を、小上海飯店の味に魅せられて、その料理に打ち込むことで、すっかり克服する姿が印象的でした。評論子には。

その小上海飯店で、王(藤竜也)に大恩のある社長子息の記念の会食が開かれることになる―。
ふかひれや乞食鶏など贅を尽くした料理の後に、くだんの社長の達っての希望で提供された卵とトマトの炒め物。
それは、もともと、小上海飯店の定食にも出てくる、ありふれたメニューでしたけれども。

贅を尽くした料理を競い合うように平らげた後なのに、何の変哲もない卵料理が会席者を心底から感動させる、そんなシーンが素敵でした。

まったく予期せず、特別注文の卵とトマトの炒め物を調理することになった王が、中華なべに向かうため、それまで脳梗塞の麻痺で手放すことができなかった杖を、そっと柱に立てかけて置き去るシーンがありました。
そのシーンは(王の所作なのではありますけれども)あたかも貴子が心の障害を克服したこととオーバーラップするように、評論子には思えて、とても印象に残りました。

本作の全編を通じた「温かさ」ということでは、秀作であったと思います。評論子は。

(追記)
おいしそうな料理がたくさん出てくる映画です。空腹で観ると、とても辛い思いをします(実体験・泣)。真剣にストーリーに集中したい向きは、何かを食べて、おなかを満たしてから鑑賞されることを、強く強く、もっと強くお勧めいたします

(追記)
「鍋振り」は、中国料理の基本と聞きますけれども。
実際、新米の料理人は、砂を中華鍋に入れて鍋振りの練習をするとかで、砂と鍋肌との摩擦で、鍋がピカピカになるとも聞きます。
砂を使うのは、食材を節約するということのほか、意図的に鍋を重くすることで、筋力を養うという意味もあるようです。

(追記)
本作の劇場公開は2008年とのことで、当サイトに会員登録するはるか以前のその頃に劇場で鑑賞したのが初観になります。
別作品『おくりびと』の公開がきっかけとなって、久しく足が遠退いていた劇場に、また足を運ぶようになった頃(評論子にとっては、いまも続いている、いわば「評論子の第三次映画ブーム」)の鑑賞作品として覚えていました。
数年ぶりにDVDで再観でしたが、往時の感動が少しも色褪せることなく甦(よみがえ)るような、素敵な一本でもありました。

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talkie

4.0自転車で平和町から大野町へ通うのは大変だと思うぞ・・・

2024年5月22日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

幸せ

 ロケ地のほとんどはわが地元の金沢。知らない場所も数多く登場したのがショックだったため、金沢検定受検を諦めてしまいました。その悔しさゆえに、「大野から野町行き電車?」とか「平和町へ行くのになぜ電車?」と鉄道記念日にちなんで突っ込んでみたりしてみました。ううう、ローカル・・・

 デパートの営業部に勤務する貴子(中谷美紀)が出店交渉のため王さん(藤竜也)が営む小さな中華料理店に通いつめ、味に魅了されて自ら弟子入りするというストーリー。安定した会社勤めを辞める決心にも心打たれますが、貴子が王の心を徐々に開いていくところが好きだ。

 ストーリーは単調ながらも中谷美紀と藤竜也の演技の魅力、それに密かに貴子に恋心を抱く田中圭の見事な金沢弁にのめり込んでしまいました。他の役者さんは“だら”とか“ぞいや”としか言ってなかったし、主演二人が中国人と東京人だったからかもしれません。

 この映画はとにかく料理の映像が凄い!これまでにも洋邦問わず、料理が印象的な映画はあったし、食欲がわいてくる映画は多かったけど、シンプルでありながら撮影角度や音響効果だけで魅せてくれる作品は少ないような気がします。そのリアルさを喩えるなら、タマネギを刻むシーンで涙が出てきてしまうほど・・・。

 名月会へ参加するエピソードではマンネリ化した料理対決モノ路線になるかとも恐れていたのですが、意外な展開でした・・・たしかに蝉の声が聴こえる季節にカキは・・・といった感じ。料理によって人に幸せを与えるといったテーマで比較すると、『バベットの晩餐会』や『厨房で逢いましょう』に近いものがあるのかもしれません。

 ほぼ金沢という映画なのにご当地映画の雰囲気がなかったのはよかったと思う。それどころか泣かせるシーンが上海ロケなんだから金沢のことすら忘れてしまいそうです。ただ、紹興酒の産地紹興の地が大野の町に似ていたことが気にかかる。王さんが金沢に永住しようとしたのも同じ水を感じたためなのだろうか、と。

 この映画を観た後ではなぜだか左手首を鍛えたくなってきますが、我が家では電磁調理器となってしまったため中華鍋を振るうことはできなくなりました。今後、中華料理の世界にチャレンジするためには爆発覚悟でカセットコンロを使うしかないのでしょうか。

【2008年10月映画館にて】

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kossy

5.02008年も2009年も心の桜は散らなかった。

2023年11月29日
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鑑賞方法:VOD
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マサシ

4.0【頑固な紹興市出身の料理人と、出版社に勤めるシングルマザーの料理の絆を描く作品。因みに金沢、京都の一流店で良い気になって酒を呑み過ぎると大変な事になります・・。】

2023年7月23日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

知的

幸せ

■金沢の港町にある小さな中国料理店「小上海飯店」。
 中国出身の年老いた名料理人・王さん(藤竜也)の料理は、誰もが幸せになる逸品揃い。
 だがある日、王さんが脳梗塞に倒れる。
 協力を申し出たのは、幼い娘を抱えたそれまで別店を出店するように上司に指示されていたシングルマザーの山下貴子(中谷美紀)であった。
 何度も王に断られる中、「小上海飯店」に通い、日替わりの定食を食べるうちに、山下は確固なる決意をする。

◆感想

・序盤の王さん演じる藤竜也さんの中国包丁裁きに観惚れる。そして、その丁寧な下準備する姿にも・・。

■いきなり脱線するが、今作の舞台は金沢であるが、観ていると京都の鳳舞系の中華を想起させる。
 食べログなどに紹介されると困るので、店名は記さないが、出汁の取り方などが故高華吉さんに似ていると思ってしまったのである。
 キツスギナイ、柔らかな出汁をベースにした京都中華は美味い。
 但し、お値段はソレなりに高いが、口にすれば納得である。

・今作は王さんが脳梗塞に倒れた後に、中谷美紀演じるシングルマザーの山下貴子が縁あって、その後を引き継ぐ姿を描いた物語であるが、個人的には何故か魅入られた作品である。
 その理由は明らかで、元気だった頃の王さんの開店前の丁寧な下準備シーンである。
 藤竜也さんの中国包丁裁きは、何処までご自身が遣られていたのか分からないが、客に対し、妥協なき料理を出す心意気を感じたモノである。

■私の京都の行きつけの店も同様で、開店時にはカウンターには緊張感が漂う。私は所謂、コース料理が嫌いで、カウンター割烹の店で酒を呑むわけだが、京都にはこのような店は少ない。
 開店早々に店に入り(京都で美味いモノを食べるならば、予約は必須である。)店主がトロ箱に入れた食材を示し”どうしましょう。”と聞いてくる。
 一応余裕をかまして、食材の内容を確認した後に、調理をお願いするのであるが、秋に丹波の松茸を土瓶蒸しや直焼きにして貰う際はドキドキである。
 場合によっては、宿代を超える場合があるからである。

<大分、脱線してしまったが、今作は美味しい料理を提供する料理人の気概を描いた作品であり、とても面白く観賞した作品である。>

■警告
 ・京都や今作の舞台である金沢の一流料理店の食事は、当然美味い。
  だが、調子に乗って呑み過ぎると、後日請求される金額に驚愕する事は記しておきたい。
  私が学生時代に、京都で祇園の女将に格安で呑ませて頂いた後に言われた言葉は今でも覚えている。
  ”貴方は〇〇大学ですね。偉くなりなはれ。そして、偉くなったら、京都にドンドンお金を落としなはれ。”
  ウーム。上手く出来ているなあ。
  それにしても、私は今まで、幾ら京都にお金を落としたのだろうか・・。

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NOBU
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