K-20 怪人二十面相・伝 : 映画評論・批評
2008年12月16日更新
2008年12月20日より日劇2ほかにてロードショー
いい意味でハリウッド映画の影響を感じる日本映画
どうせまた……と決めつけて見始めたら冒頭、早くも「えっ?」。世界観の説明があるだけでなく、それをビジュアルで表現してる! しかも引きの映像&飛行船で。その世界観は物語に大きく貢献し、いつもの「怪盗二十面相」の物語を「K-20」という独特のものにしているのだ。このタイトルの善し悪しはさておき。サーカス出身という主人公の設定は、これまた必然のあるヤマカシ的軽業アクションに連動し、人生に迷うおてんばお嬢様は「カリオストロの城」のクラリスと「スチームボーイ」のヒロインを合わせたような存在感を放つ。まあ、年齢的な問題はさておき。追われる二十面相は「Vフォー・ヴェンデッタ」の影響でスタイリッシュに変わり、彼と主人公の関係もストーリーのなかで活きている。
明智小五郎がミスキャストだの、ヒロインがもっと若ければよかったのにとか、不満もある。でも、日本映画で世界観があり、物語も面白く、デジタルの使い方が上手く、その世界観にあったガジェットも登場し、アクションにだって意味のある映画を見られるなんて!と驚いてしまったのだ。いい意味でハリウッド映画の影響を感じるエンタテインメント。監督さん、お勉強の成果バッチリです。
(渡辺麻紀)