ハッピーフライト : インタビュー
普段、何気なく利用している飛行機や空港。しかし、そこにはパイロットや客室乗務員はもちろん、グランドスタッフや管制官、整備士、果ては知られざる意外な職業まで、“安全で快適な空の旅”を支える実にさまざまなプロフェッショナルが携わっている。ヒコーキを飛ばすために日夜奮闘を繰り広げる人々の悲喜こもごもを、「ウォーターボーイズ」「スウィングガールズ」の矢口史靖監督が描いた「ハッピーフライト」。本物の旅客機を使った撮影の裏話や、本作のために行ったリサーチで得られたオモシロ話を、監督に語ってもらった。本作を見れば、飛行機や空港を見る目が必ず変わるはず!(取材・文:編集部)
矢口史靖監督 インタビュー
「飛行機に乗りたくてたまらなくなりました」
――実は飛行機に乗るのはあまり好きではなかったそうですが。
「ええ、むしろ怖いくらいでした。もちろん今は大好きですが」
――そうした中でこの映画を作ろうと思ったのは?
「“飛行機映画”が大好きだったんです。子供の頃から、何年かおきにアメリカからやってくる旅客機の映画はほとんど見ていて、いつか飛行機映画を作れたらなというくらいに思っていたんです。まさか実現するとは思っていませんでしたが」
――それをこのタイミングでやろうと思ったのは?
「『ウォーターボーイズ』と『スウィングガールズ』の2本を撮り、青春時代を送っている人たちが、みんなで何かひとつやりとげるということは、自分の中ではほぼやりつくした感がありました。なので次は、彼らが成長した時、どういう人間として描きたいかということもあり、飛行機モノで、働く年齢の人たちが主人公だったら面白いかなと思ったんです」
――今回の映画のために多くの航空業界関係者に取材をしたそうですが、「これは絶対入れたら面白い」と思って使ったネタは?
「職業でいえばバードパトロール(鳥と飛行機の接触事故=“バードストライク”を防止する人たち)。シチュエーションでいえば、CAさんとグランドスタッフさんが、ドアを挟んで飛行機の内側と外側で熾烈なつばぜり合いをしているというところで、この2つは実際に映画にも入れました」
――空港にいる飛行機オタクな人や沿岸で飛行機を撮影している人も登場しますが、そうした人たちにも会ったんでしょうか?
「直接話は聞かなかったんですけど、映画のためにしょっちゅう羽田とかに通っていたら、毎回そんな人たちを見かけるんです(笑)。空港が好きな人、飛行機の写真を撮るのが好きな人、乗るのが好きな人、また、エアバンド(航空無線)という管制官とパイロットがやりとりしている無線を傍受して聞いている人とか。その中で面白いのを組み合わせて入れてみました」
――映画の中で描かれる出来事は、みんな実際に起こったことなんでしょうか?
「聞いたことをもとにしてますけど、そのまんまというのはないですね。より面白おかしくなるようにアレンジしてます。例えば空港での男女の痴話喧嘩とか、そのまま使ったら強烈すぎるという話もありましたし。特にグランドスタッフさんから、いろんな話が聞けて、取材していても面白かったですよ」
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